(前回からの続き)
アメリカ(とFRB)は「不動産本位制」(膨張し続ける債務に充てるマネーを不動産価格の永続的な上昇に裏付けて捻出するやり方)に頼ったことで逆に自身の墓穴を掘ってしまった―――そのマネー(≒通貨)たるドルが不動産価格を押し上げてほしいのに、これをはるかに上回る利回りをもたらしてくれる金(ゴールド)のほうに吸収されてしまうことで、不動産価格の上昇推力(マネー捻出力)が低下すると同時に、価格が高まるいっぽうの金に通貨としての地位への「復権」を許し、そのあおりでドルは退位・・・というより、ほかならぬ自国民による「コストコ(Costco)・ラン」(金買い・ドル売り)で「駆除」されて逝く・・・という不可逆のプロセスを喚起してしまった―――といえます。前述のように、かの国は、上記が分かっていても、不動産価格の下落を絶対に許容できないので、これを少しでも上げようと虚しくドルを刷り続けるせいで「金>不動産」を「金>>>不動産」へ、さらに「金>>>・・・>>>不動産>>>・・・>>>ドル」になっていく・・・って、金の価値からみれば、ドルは・・・はるか下の、やはり紙切れ・・・
というわけで、もうアメリカとドルは救いようがないのですが、ではどうすればよかったのでしょうか?簡単です。上記になぞらえると、膨張し続ける債務に充てるべきマネーを・・・円の永続的な上昇に裏付けて捻出するやり方、すなわち、こちらの記事に書いた「日本本位制」(円本位制)に乗っかることです。これこそドル価値を真に支える効力のあるスキームといえるのは、本稿前回に記したように、世界各国&通貨のなかで日本・・・の円のみに「円>金」にするポテンシャルがあることからも分かります。
そのため、アメリカとしては、自国の不動産も、金すらも上回る、最強の価値を有し得る円を「味方につける」(≒円にドル・米国債の買い支えをさせる)ことで、ドルが金に「大敗する」(金のドル価格が米国債はもちろん不動産等もしのぐ勢いで永遠に上がり続ける・・・ことで金に法定通貨の座を奪われる)のを防ぐことができた・・・はずでした・・・と、すでに過去形ですけれどね。
でこの仕組みが、2013年春に開始された日銀の現行金融政策「円安(株高金高)誘導」によって円の対米ファイナンス力が激減した(約80円で1ドルが買えたのが、現在では0.5ドル少々しか買えなくなってしまった)がゆえに、これが機能しなくなった(ことが原因で、アメリカはこれに替わるマネー捻出策としての不動産本位制にいっそう依存していくことになった)のは、こちらの記事他で何度も指摘のとおりです。そこは・・・逆に日本の側に、円に対して減価一辺倒のドルを買わされることで生じる国家的損害(巨額為替損)をこれ以上食らうことがないよう、あえて自分(円)の力を落とし、頼りにならなくさせて、アメリカを持続不可能な不動産本位制に誘導し、勝手にドル大増刷すなわち激しいインフレを喚起させて自壊に追い込もう、という、じつに深い?狙いがあり、上記のように実際にその目論見のとおりに、というわけ・・・
「じゃ円本位制がふたたび効力を発揮できるよう、日銀に利上げをさせて為替を円高ドル安に誘導させれば・・・」がとっくの昔に不可能なのは前回書いたとおりです。それによる、現時点の1ドル150円超もの異(低)次元過ぎる円安から急激に円高ドル安に戻っていく際のマネーの円への回帰、そしてドルからの大量流出がもたらす金利の急騰にアメリカは耐えられない(ためにFRBがドルを無限に刷る=インフレ大喚起しかない)からです。まあ・・・いまがこのように極端に円安なぶん、本来のドル円レート(1ドル40円台くらいだろう?)とのギャップがデカすぎて、それだけ上記リバウンドのインパクトがキョ~レツ(150円が、いまの1ドルから5ドル前後へと急膨張!?)となる・・・から、なおさらNGでしょう、円本位制への復帰は・・・