(前回からの続き)
前述のとおり、フランスが対外収支を悪化させることとなったターニング・ポイントは、EU共通通貨「ユーロ」の導入(2002年)といえるでしょう。まあ・・・悪くなってもしばらくはよかったのでしょう、が・・・同国は以降20年あまりもユーロの「強さ」に安住し、輸入代替・輸出振興等をおろそかにし続けて(ギリシャやスペインなどとともに)すっかり(大)赤字体質になってしまったことで・・・さすがの?ユーロも、これに引きずり降ろされるかたちでその実力が相対的に低下してしまったわけです。そのあたりは、先述した、かの国の2022年の巨額赤字の主因となったエネルギーのユーロ換算輸入額の大きさに表れています。すなわち・・・それだけユーロが弱体化した(購買力が小さくなった)ことで、かの国民らはその弊害である・・・インフレに苦しめられる羽目に・・・(同年5.9%!)
ここでフランスはようやくその大きな原因が自分たちの上記赤字にあることに気づいたようで(?)、これを減少させようと、国家をあげてメイド・イン・フランスの輸出強化に乗り出しています。かといって・・・先述のように(自国産業の競争力向上等をサボってきたため)、いまさら「〇ノー」などが急に外国に売れるワケ(魅力)がないことはフランス自身がいちばんよく分かっているはず。では何を?・・・とくれば、やはり武器・兵器の類になるしかないですね・・・
そのあたりは以下の数字などで明らかです。ストックホルム国際平和研究所によると、2019~2023年の5年間のフランスの武器の輸出はその前の5年比で47%も増加し、国別ランキングでロシアを抜いてアメリカに次ぐ世界2位!になりました(ってトレビア~ン?)。同国のGDPは世界7位(2023年)ですから、他国と比べても、いかに武器の対外販売に傾倒しているかが分かるというものです。実際、日経新聞などによれば、かの「政府は外交力をテコに世界各国への輸出を拡大することで」自国の軍需産業にいっそうの武器の生産を促しているそうな・・・
「まあこの間、欧州ではロシアによるウクライナ侵攻があったからね」たしかに。そこを念頭に?エマニュエル・マクロン大統領は、武器工場でのあいさつなどで「戦時経済が戻ってきた」という、第一次世界大戦などの総動員体制を指す表現をしばしば用いて、ウクライナ向けの弾薬等のいっそうの生産増を働きかけています。ところが・・・そのロシアに対してもフランスは直前といえる2020年ごろまで、当時の最新鋭の武器を販売していたことがNGOに暴露されています。この点、2014年のロシアのウクライナ領クリミア半島侵攻・併合の際にEUは、同国への武器輸出を禁止する制裁を開始したにもかかわらず、フランスは以後も売り続けたことになりますが、同大統領は、それは契約が残っていたためで国際法上は問題ない、といった主旨の、何とも苦しい弁明をしています・・・
上記からすれば、ぶっちゃけフランスは、メイド・イン・フランス・・・の武器を買ってくれるところには、ロシアだろうがウクライナだろうがインド(いちばんの売り先)だろうが、つまり対立関係にある双方も含め、どこにだって売る・・・ことで少しでも自国の収支を改善して経済成長(とインフレ[ユーロ信認低下]の抑止)を図りたい、ということなのでしょう。なので、ロシアの脅威に各国は備えを!なんてことは、そんなヤ〇シ~本心を覆い隠すための大義名分に過ぎないのでしょうね・・・
こうして彼ら彼女らは必然的にこれらが売れる、戦争と対立(殺し合い&憎しみ合い)に満ちた世界を望み続けることになるわけです。すなわち・・・多くのフレンチ・カソリックは今日も荘厳なノートルダム大聖堂に集い、スんゴイ恰好をした神父とともにイエス様?に祈りを捧げます、自分たち・・・以外の人々がそうありますように、と。そこは上述の、かの国の威信の象徴でもある自国オリンピック「メダル」の「見た目」(伽藍)の華麗さと「中身」(願い事)の劣悪さが映すところでもありますね・・・