英国経済はますますヤバくなっていくことでしょう(?)。だからといって、では大陸欧州へ、っていうのも十分すぎるほど慎重に判断した方がよさそうですよ・・・
日本の大手自動車メーカー「ホンダ」が今月19日、英国からの撤収を発表しました。同国南部のスウィンドンにある工場を2年後の2021年中に閉鎖するとのことです。これと同時にトルコでの生産終了も発表していることもあって、ホンダはこのたびの決定を、グローバルでの生産配置と能力適正化を考慮したもので「Brexit」(英国のEUからの離脱)とは無関係、としていますが・・・
・・・って、そりゃ、かの国の人々の気持ちに配慮すればそうした言い方になりますよ。実際には、Brexitが上記に少なからぬ影響を及ぼしたことは間違いないとみるべきでしょう。たしかに上記工場は年間生産台数が16万台ほどと、ホンダの全生産能力の3%程度を担うにすぎない小さなもの。それでもここはホンダにとって欧州内で唯一の生産工場であり、現状、欧州での販売が不振とはいえ、その戦略的な重要性から、引き続き同工場で生産を続けるという選択もあり得たはず・・・っても、あくまでそれは英国が同じEU圏内に留まる、すなわち同社の英国生産車が関税フリーでEU各国に輸出できるという前提があっての話です。その前提が間もなく(?)、Brexitで消滅するわけですからね・・・
Brexit後の英国でホンダが自動車を作り続ける合理的な理由はほとんど見つけられません。今後EUは、英国からの輸入自動車に所定の関税をかけるだろうから、その分、メイドインUK車の価格はEU内で上昇し、売り上げが減少するのは必至でしょう。だからといって英国で他地域、たとえば北米輸出向けの生産を増やす・・・ってのも現実的ではありません。ご存知のように米ドナルド・トランプ政権が貿易不均衡問題に厳しいスタンスを取っているからです。それは血を分けた同盟国である英国相手でも変わることはないでしょう。それにホンダはアメリカに大きな工場をすでに有しているわけで、わざわざ大西洋の反対側で対米輸出車を作るまでもありません。となるとこの先、英国に工場を持ち続ける唯一の理由が、同国内での販売に対応するためといったことになりますが、そもそも同国マーケットは小さ過ぎです・・・
以上により、ホンダが英国撤退を決めた真の理由は、同社の世界展開再構築の一環・・・もそうでしょうが、Brexitによって英国が、もはや一大自動車市場であるEUへの「ゲートウェイ」ではなくなるため、とみるべきでしょう。その意味ではこれ、ホンダと同様、英国に生産拠点を置くトヨタ自動車や日産自動車にとっても当てはまるわけです。であれば個人的には、ホンダに続き、トヨタ、日産についても英国撤収を早急に検討、実行に移すべきかと思いますが、いかがでしょうか・・・