何度目になるのか、小津安二郎監督の東京物語を観た。今回印象に残ったのは原節子さんの美しさ。さんざん言われていて、美しさは当然と思っていたのであまり気にしていなかったが、本当に綺麗な人。今更何を言ってんの？ って感じか。当時としてはスタイルも抜群。モノクロ映画なので着ているものがどんな色なのか不明だが、白いブラウスが更に美しさを際立たせて見えた。浴衣の柄も他の人とは異なり、お洒落だったな。とにかくあんな人は滅多にいないと再確認させられた。物語の内容では老いた両親がこどもたちにあんなに遠慮をするものか、とも思えたが田舎者の老親だとああなるのだろうか。常に「ありがとう、ありがとう」の繰り返しで当時としては珍しかったのではないか。親が威張る時代が終わった頃だったのか？ 昔は子が親に反発など出来ずに全て親の言う通りだった筈。それが逆転しているようでやや違和感があった。小津監督の意図は分からないがそこへの反発心もあったのだろうか。笠智衆さんと東山千栄子さんの老夫婦はとてもお似合いで好感が持てた。彼らだからこそ良い映画に仕上がったように思えた。