スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

バルドウィナ&隣人愛の場合

2023-05-20 19:22:17 | 血統
 NHKマイルカップを勝ったシャンパンカラーの輸入基礎繁殖牝馬は2015年にイギリスで産まれた母であるメモリアルライフです。このメモリアルライフが輸入されたのには理由があって,メモリアルライフの祖母,シャンパンカラーの三代母である,1998年にフランスで産まれたバルドウィナという馬が輸入されていて,繁殖牝馬として日本で成功を収めていたからです。Baldwinaは姓のひとつ。英語だとボールドウィナです。ファミリーナンバー1-n
                                        
 2004年にイギリスで1頭の産駒を出産してから輸入。日本での初産駒となったのがワンカラットで,2009年にフィリーズレビューを勝つと2010年には函館スプリントステークスとキーンランドカップ,2012年にはオーシャンステークスを勝ちました。
 ワンカラットの7つ下のの半妹がジュエラー。2016年に桜花賞を勝っています。
 メモリアルライフは2004年にイギリスで産まれたバルドウィナの産駒の娘。メモリアルライフは繁殖生活は日本で送っていて,シャンパンカラーは2頭目の産駒になります。まだ繁殖生活を送っていますから,シャンパンカラーの弟や妹も,いずれは競走馬として出走してくることになるでしょう。
 重賞の勝ち馬はこの3頭だけですが,重賞の入着馬というのはほかにも何頭かいます。バルドウィナはおそらく日本の競馬に対する適性が高い繁殖牝馬で,バルドウィナを一族の祖とする馬たちからは,おそらくまだ活躍馬が出てくるものと思います。

 愛amorという感情affectusは必ずしも理性ratioから生じるわけではありません。受動感情として現実的に存在する人間のうちに生じる場合もあります。第三部定理三九は,愛が能動的に生じようと受動的に生じようと同じように成立するわけですから,どちらにしても愛を感じた人間は,その愛の対象に,条件付きとはいえ親切をなすでしょう。この親切をなす行為自体は合倫理的な行為ではありますが,もしも受動的な愛によって愛する対象に親切をなすのであれば,それは有徳的であるとはいえません。理性に従って愛を感じ,その愛のゆえに親切をなすときだけ,その人間は有徳的であるといわれるのです。
 このことは,『神学・政治論Tractatus Theologico-Politicus』のスピノザの主張と重なる部分があるのであって,あるいはスピノザはこの定理Propositioについて,そのことを想起していたかもしれません。スピノザによれば新約聖書の教えというのはふたつしかなく,そのうちのひとつが隣人を愛せということでした。隣人を愛するということはそれ自体で合倫理的であるといえます。この愛が隣人に対して親切をなす要因となるからです。しかしその聖書の教えに服従することによって隣人を愛し,また隣人に親切をなす人間は,合倫理的ではあっても有徳的であるとはいわれません。ただ理性に従って隣人を愛し,隣人に親切をなす人間だけが有徳的であるといわれるのです。隣人に親切をなすことは共同体や社会societasといった人間の集団に融和を齎すものであって,亀裂を生じさせるようなことではありません。ですからスピノザは新約聖書のこの教えを称揚し,それが合倫理的であるということは是認します。しかしある人間が人間集団に融和を齎すからといって,それだけでその人間が有徳的であるということにはならないのです。
 受動passioというのは第三部定理一により,混乱した観念idea inadaequataに依存します。そして國分がいっている通り,現実的に存在するある人間の受動というのは,その人間の本性natura humanaのみによって説明される力potentiaに対して,その人間とはほかのものの力がより多く表現されている場合にいわれるのでした。したがって,僕たちの精神mensのうちに混乱した観念が発生するということも,力の対比によって説明できる筈です。

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