スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

中野カップレース&デカルトの延長論

2016-06-28 19:13:20 | 競輪
 被災地支援競輪として開催された久留米記念の決勝。並びは新田‐守沢の北日本,古性‐村上の近畿,徳永‐松岡‐坂本‐園田の九州で木暮は単騎。
 前受けは新田。3番手に古性,5番手に木暮,6番手に徳永で周回。徳永は残り2周のホームから発進。一気に前を叩きにいったのですが,古性が応戦したため先行争いに。合わされたとみたか松岡は徳永を追わず,バックで村上の後ろに。打鐘の時点でもまだ先行争い。園田の後ろに木暮が入り,その後ろに新田という隊列で,徳永を除けば一列棒状。徳永は残り1周のホームに入るあたりで浮いて後退。すぐに松岡が自力で発進し,坂本までは出ましたが園田は村上に捌かれ,坂本の後ろに村上。木暮がこの後ろに入ろうとしましたがこれは園田が阻止。3番手になった村上はバックですぐに発進。木暮の後ろに続いていた新田も動いていましたが,村上の外を回されることに。坂本はコーナーで村上を大きく牽制。このために新田はさらに外に浮かされ,逆に松岡と坂本の間に進路ができて,そこを突いたのが新田を追っていた守沢。直線の入口では先頭に出て,そのまま優勝。半車身差の2着に坂本。守沢を追った園田が1車輪差で3着。立て直して大外を伸びた新田は8分の1車輪差の4着まで。
 優勝した秋田の守沢太志選手は記念競輪初優勝。ここは前を回る選手の中では新田の力がはっきりと上位。ただ守沢は昨日も新田マークのレースで離されそうになっていましたから,新田の発進にマークしきれるかどうか不安視していました。バックに入ったところでかなりごちゃついたため,さほど加速がついた捲りにならなかったこともあり,きちんとマーク。さらにその後の坂本の動きで漁夫の利を得たという感はあります。自力があるのであのように進路ができれば突き抜けることは可能。そのチャンスを見逃さなかったことが優勝に結実したということだと思います。

 僕には化学とか物理学に関わる知識が決定的に欠如しています。ですから粒子論について,ロバート・ボイルRobert Boyleと論争していた時代と,『エチカ』の自然学Physical Digressionを執筆していた時期に,スピノザには相違があるという工藤の見解opinioについても,そうした観点からは何も結論を出すことはできません。いい換えれば工藤の主張の是非について何らかの判断を下すということはできないのです。ただ,『スピノザ哲学研究』では,ボイルと論争していた時期のスピノザは,デカルトRené Descartesの立場からボイルを批判したとされていますので,その点との関係で,それを一般的にどう認識しておくのが妥当であるのかということについて,僕なりの見解だけは表明しておきましょう。
 『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』は,第一部が思惟の属性Cogitationis attributumに関する議論で,第二部が延長の属性Extensionis attributumに関する議論であるというように,基本的にはなっています。この当時のスピノザが,第二部で示されているデカルトの延長論について,そのすべてを是認していたというようには考えておかない方が安全であるというのが僕の基本的な見解です。
                                     
 『デカルトの哲学原理』にはマイエルLodewijk Meyerによる序文があり,そこではこの著書の中には,スピノザ自身の考え方によれば誤謬errorであって排斥するべきものがあるという主旨のことが書かれています。書簡十五から分かるように,この序文はスピノザの指示のもとに書き直されたものです。マイエルが強調している事柄は第一部と関係していますが,だからといって第二部の中にもスピノザが誤謬であるとみなしている事柄がなかったというわけではないのです。
 スピノザがオルデンブルクHeinrich Ordenburgに宛てた書簡三十二からは,少なくともスピノザがデカルトが示した運動motusの第六規則は誤謬であると考えていることが判明します。これはスピノザがフォールブルフVoorburgに移住した後に出された手紙で,『デカルトの哲学原理』について講義していた時期やボイルと論争していた時期よりは後になりますから,工藤の論考に対しては何も有効ではありませんが,スピノザがデカルトの延長論をすべて受け入れていたわけではないということの根拠のひとつにはなり得るでしょう。

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