スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

新人王戦&区別の形而上学

2023-10-07 19:16:53 | 将棋
 2日に指された第54回新人王戦決勝三番勝負第一局。藤本渚四段と上野裕寿四段は公式戦初対局。
 振駒で上野四段が先手となり,後手の藤本四段の雁木に先手が矢倉で対抗する将棋。後手から仕掛けて金桂交換の駒得に進んだのですが,それで互角だったようです。
                                        
 後手が得した金を角取りに打った局面。結果的にいうとこのように進めたのは後手としてはあまりよくありませんでした。
 先手は☗6八角と逃げました。☖4六金は自然な手にみえますがそこで☗同角☖同角としてしまうのが好手順。一時的に駒損がさらに広がるのですが,4六の歩を取らせたことによって☗4四歩が生じました。
 銀の逃げ場がありませんから☖3三桂と銀を取り返しにいったのですが,☗4三歩成☖同金左に☗5六金と手厚く打つのがまた好手。
                                        
 第2図まで進むとむしろ先手の方が手番も握れて攻め筋が多いのでよくなっています。たぶん先手はかなり深く研究していて,それに後手が嵌ってしまったという将棋だったのではないでしょうか。
 上野四段が先勝。第二局は23日に指される予定です。

 ある属性attributumとその属性に対応する思惟の属性Cogitationis attributumは,同一のもののふたつの側面で,それがそれとは別の属性とその属性に対応する思惟の属性に対して実在的にrealiter区別される。そしてある属性の様態modiと,その属性の別の様態は様態的にmodaliter区別され,この様態はその様態の観念ideaと同一事物のふたつの側面を構成する。よって,ある属性の様態の観念と,それと同じ属性の様態の観念は,思惟の様態cogitandi modiとして様態的に区別される。しかしある属性の様態の観念と,それとは別の属性の様態の観念は,ある属性と別の属性が実在的に区別されるように実在的に区別される。
 もしもこのようにいうなら,実在的区別だけでなく,様態的区別も一元化されることになります。そしてそのためには,ある属性とそれに対応する思惟の属性Cogitationis attributum,またある属性の様態とその様態の観念は同一事物のふたつの側面であるといった方が,そのふたつは実在的に区別されるが平行的関係にあるというより優れていることになります。つまり,スピノザの哲学における区別distinguereの形而上学は,実は平行論より同一説に対して有利に働くことになるのです。よって僕のように,区別の形而上学に訴えることによって,同一説を斥け平行論を採用するという場合は,属性Aと属性Aに対応する思惟の属性の区別も実在的区別であるということを明らかにしておく必要があるのです。
 僕はこの点に関しては,第三部定理二を援用します。この定理Propositioは,人間の身体humanum corpusはその人間の精神mens humanaの何らかの思惟作用の原因causaとはなり得ないし,逆に人間の精神はその人間の身体の運動motusあるいは静止quiesの原因とはなり得ないということをいっています。そしてそのことは,形而上学に依拠して説明することができます。すなわち,人間の身体とその人間の精神の間には共通点がないのであって,第一部定理三によって,共通点がないのであれば一方が他方の原因であったり結果effectusであったりすることはできないという方法です。
 このとき,共通点がないということは,それらが実在的に区別されるということを意味しなければなりません。もしも様態的に区別されるのであれば,それらは一方が他方の原因であったり結果であったりすることができるからです。

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