スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

阿波おどり杯争覇戦&懐疑論的国家

2022-07-03 19:19:58 | 競輪
 小松島記念の決勝。並びは高久保‐志智の近畿中部,松浦‐室井の中四国,太田‐阿竹‐小倉の徳島で真杉と山田は単騎。
 小倉と松浦がスタートを取りにいき,小倉が誘導の後ろを確保して太田の前受け。4番手に真杉,5番手に松浦,7番手に山田,8番手に高久保で周回。残り3周のバックの出口から松浦が上昇を開始。山田,さらに高久保もこの動きに乗りました。ホームで松浦が太田を叩きましたが,太田は後ろまでは引きませんでした。バックでは山田までの3人が前に出て打鐘。4番手が外の高久保と内の太田で併走に。松浦はペースを上げなかったので外の併走を嫌った高久保が発進。このラインに続いたのが真杉で,この3人で松浦を叩いて高久保の先行に。バックから太田,松浦と動いていきましたが,一足先に3番手を回っていた真杉が単騎で発進。前のふたりを捲り切りました。真杉と高久保の差はやや開きましたが高久保マークの志智が真杉にスイッチ。直線は粘る真杉と差し切りを狙う志智のふたりの接戦となってフィニッシュ。写真判定となりましたが優勝は真杉。志智がタイヤ差で2着。直線で志智の外から追い込んだ松浦が半車身差の3着。
 優勝した栃木の真杉匠選手は3月の名古屋記念以来の優勝で記念競輪2勝目。このレースは地元ラインが結束せずにふたつのラインに別れました。これは松浦が先行して太田が捲るという作戦なのではないかと予測したのですが.思いのほか松浦と太田が互いに互いを牽制するようなレースとなりました。つまりあくまでも別々のラインとして競い合うということだったのでしょう。そういうレースになりましたので,単騎ながら先行ラインの3番手を取った真杉にとって有利な展開に。高久保ラインが松浦を叩いたときに,3番手の真杉と松浦の間で車間がやや開いてしまったのが結果論ではありますが松浦にとっては誤算。松浦が追い付いてくる前に単騎で捲っていた真杉の思い切りの良さが優勝を引き寄せたといえそうです。

 『国家論Tractatus Politicus』におけるスピノザの主張の検討に入る前に,いっておきたいことがあります。
                                        
 ガリレオGalileo Galileiは,宗教裁判の影響で,表面上のこととはいえ,自説を撤回せざるを得ませんでした。またブルーノGiordano Brunoはそれを拒否したので,火炙りの刑に処されました。これは国家Imperiumが,理性ratioが聖書に従属するべきであるという体制であったがゆえの出来事です。理性が聖書に従属するべきであるという主張は,懐疑論者scepticiとしてスピノザは否定します。したがってこうした国家は懐疑論的な国家であることになって,スピノザの哲学あるいは倫理的観点から否定されるのです。これは国家の体制がどのようなものであるかということと関係ありません。要するに懐疑論的な国家というのは,その政治体制がどうあるのかということとは無関係に否定されます。いい換えればそれは,『国家論』の言説を検討する以前の結論なのです。
 独断論的な国家というのもスピノザの哲学からは否定されるのですが,それは倫理的な観点から否定されるわけではなく,現実性という観点から否定されるのでした。これに対して懐疑論的国家は,現実性という観点から否定されるのではなく,倫理的観点から否定されるのです。現実性という観点からいえば,懐疑論的国家というのは現実的に存在したのだし,現在でも存在します。そしてこれからも存在することになるでしょう。
 そして,理性が聖書に従属するべきであるというのが懐疑論的国家であるのですが,これは聖書だけに適用されるわけではありません。理性が何かに従属するべきであると主張するなら,それはすべからく懐疑論者といわれるべきであり,そうしたことを国民に要求する国家は懐疑論的国家であることになります。ですから上述の例のような,宗教裁判を行った時代のイタリアのような国家だけが懐疑論的国家に該当するわけではありません。たとえばスピノザの父は,ユダヤ人に対する迫害から逃れるためにオランダに移住したのですが,特定の人種を迫害するような国家もまた懐疑論的国家といわれなければなりません。現代でいえば,タリバンが支配するアフガニスタンなどは懐疑論的国家です。こうした国家は否定されるのです。

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