スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

女流王位戦&考察主題との関連

2014-04-22 20:53:00 | 将棋
 徳島市で指された第25期女流王位戦五番勝負第一局。対戦成績は甲斐智美女流王位が10勝,清水市代女流六段が12勝。
 振駒で甲斐女流王位が先手。しかしこの将棋は中盤で千日手に。その直前の先手の指し方にまずいところがあったように思います。
 清水女流六段が先手になっての指し直し局は,ごきげん中飛車①-Aに。後手が銀桂交換の駒得を果たしました。
                         
 形は悪いですがとにかく銀を追い払おうと歩を打った局面。先手から▲4三銀成という手があったからでしょうが△8七銀成と突っ込んだのには驚きました。▲同玉に△6四角と好位置に先逃げしておく狙いであったようです。そこでじっと▲7六歩と突きましたが,この手は好手であったのではないでしょうか。△4八歩は手筋の一着で,▲7九飛と逃げることになりました。後手は△5六歩と合わせ,先手は▲7五桂。△7四銀に▲5五銀打と手厚く受けました。
                         
 この局面は先手がリードを奪ったように思えます。ここから後手が暴れ出し,先手は受けに回ってそのリードをさらに広げたと思うのですが,攻め合いに回るタイミングが早すぎたようで,一時は逆転を許したように思います。ただ後手も正しく決めることができず,最後は図の4四の銀が先手の命綱になるような形で先手の勝ちになりました。
 清水六段の先勝。第二局は来月14日です。

 朝倉流と福居流は,共にすべての無限様態を,個物res singularisに類するものと把握していると前提します。これは僕の立場とは異なります。しかしこちらの立場から,今回の考察の主題である,数的に区別可能な二種類の因果性があると考えるべきかそうでないのかということも検討しておく必要があるでしょう。
 まず,『スピノザ「共通概念」試論』は,こうした問いに対しては,解答を与えていないということはないのですが,ほとんど注目されていないと僕は理解しています。福居が思惟の属性の直接無限様態をres singularisに類するものとみなすのは,res singularisに対する神の最近原因性を説明するという目的であり,松田克進がいうところの二重因果性の問題というのは,それとは別個の問題であるという認識が,福居にはあるのではないかと思われます。ですから福居は,この問題を主題化しては何もいっていません。いい換えればこの問いに対する解答と思われるものを福居が抽出しているとしても,そのこと自体は福居の本来の目的とは別の事柄であったと考えておくのが妥当だと思われます。
 一方,『概念と個別性』の方についていえば,これは検討するべき対象として実際に措定されている事柄が,かなり広範にわたっています。そしてそのうちのひとつとして,確かに二重因果性の問題というのも,朝倉自身の視野のうちにあったと僕は理解します。朝倉は間接無限様態だけをres singularisに類するものとみなし,直接無限様態については何も言及していません。おそらく朝倉がそうした手法を採用したのは,朝倉自身が解決したいと望んだ問題については,直接無限様態について何かを言及する必要性がなく,間接無限様態についてだけ説明するだけで十分であると考えたためだろうと思います。探求の対象が広範ですが,二重因果性の問題についてだけいえば,間接無限様態をres singularisに類するものと理解することによって,この問題の解答を与え得ると朝倉は理解していたということになります。

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