スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

香港国際競走&興味深い点

2012-12-10 18:51:13 | 海外競馬
 昨日の香港国際競走には,日本から3レースにのべ5頭が招待されました。
 香港ヴァーズGⅠ芝2400mには一昨年の天皇賞(春)を勝ったジャガーメイルが実に4年連続の参戦。中団の内の追走から向正面で好位まで進出。超スローペースで直線入口では雁行状態。外から2頭目をよく伸びましたが,すぐ内の馬との叩き合いに敗れ,僅差の2着でした。
 そもそも天皇賞を勝って以来は3着が最高という馬で,その点を考えれば健闘でしょう。香港の馬場にも適性があるのでしょうし,能力が極端に衰えているというわけではないようです。この馬で2着ならば,日本のトップクラスならば勝てる計算ですが,国内のレース日程からはそれは難しそうではあります。
 香港スプリントGⅠ芝1200mには昨年のJRA賞最優秀短距離馬のカレンチャンと,そのカレンチャンを今秋のスプリンターズステークスで2着に降したロードカナロアの同厩舎の2頭。
 カレンチャンは出負け。逆にロードカナロアは逃げることもできそうな発馬から2番手3頭の外。さらに1頭が追い上げたので3番手から追走。そのまま手応えよく直線も外から伸び,残り100m手前で先頭に立つと2馬身半差の快勝。カレンチャンはずっと内を回ってきましたが,ミドルペースということもあり,目立った伸び脚はなく7着。
 よくいうようにこの路線の日本馬は全体的なレベルが低いのですが,近況と近年の結果から,今年の2頭は優勝争いをしてもおかしくはないと思っていました。とはいえこれだけの着差をつけてロードカナロアが勝つとは想像以上の結果で,この馬は日本を代表する歴史的スプリンターの1頭になったといえるでしょう。カレンチャンはおそらく想定していたようなレースができなかった筈で,結果以前にその点が残念でした。
 優勝したロードカナロアスプリンターズステークスに続いて大レース2勝目。父はキングカメハメハ。Kanaloaはハワイの海の神。日本馬による海外重賞制覇は9月のフォワ賞以来。香港では4月のエリザベス女王Ⅱ世カップ以来。香港スプリントは初勝利。騎乗した岩田康誠[やすなり]騎手はジャパンカップ以来の大レース制覇。海外重賞は2006年のメルボルンカップ以来の2勝目。管理している安田隆行調教師はスプリンターズステークス以来の大レース制覇で海外重賞初勝利。
 香港マイルGⅠ芝1600mには一昨年のJRA賞最優秀2歳牡馬のグランプリボスと,そのグランプリボスを先月のマイルチャンピオンシップで2着に降したサダムパテック。
 グランプリボスは3,4番手の外,サダムパテックは中団追走。このレースはスローペースで,直線入口辺りからはペースアップ。グランプリボスはそこからもう騎手の手が激しく動き始め,前からは離され,後ろからは飲み込まれでよいところなく最下位に惨敗。サダムパテックはそのグランプリボスの外に出てきましたが,目立った脚色はなく,6着まで。
 サダムパテックの前走はあまりにうまくいった感がありましたので,恵まれなければ厳しいだろうと思っていました。そういう意味では能力通りの結果だったといえなくもないのではないかと思います。むしろグランプリボスの方が期待できると考えていて,この結果は何らかの理由で力を十全には発揮できなかったもの。勝ち負けは難しかったようにも思いますが,それでもこんなに負ける馬ではない筈で,やや残念な気持ちも残ります。

 スピノザ自身がふたつの平行論を,分類可能な別種の平行論であると考えていたかどうかは僕には分かりませんから,その点についての判断は差し控えます。ただ,僕は確かにこれは,ふたつの平行論であるといえるように思います。
                          
 こうした考え方は僕に特有のものではありません。たとえば松田克進は『スピノザの形而上学』の中で,平行論についても論述しています。そしてそこでは確かに,形相的事物と客観的事物すなわちその観念ideaとの平行論と,思惟属性Cogitationis attributum内での平行論というのが,分類することが可能であるようなふたつの平行論であると読解できるように論述されています。もっとも,松田の分析というのは,たとえば形相的なあるAという属性と思惟の属性との間にある平行論と,それとは別の形相的なBという属性と思惟の属性との間に成立するような平行論も,別の平行論であると読解できるような分析にはなっています。第一部定義六からして,形相的な属性というのは無限に多くあるわけですから,この場合には無限に多くのinfinita平行論があると考えてもよいかもしれません。ただ,いずれにしても,少なくともふたつの平行論があるという点に関しては,松田と僕との間では一致が図れるものと僕は思っています。
 ただし,第二部定理九系の読解に関して,僕と福居純との間にある相違に関連して,僕が注目したいのは,各々がこれらふたつの平行論の,別の平行論によって第二部定理九系を理解しているということではないのです。なので,福居が第二部定理九系,福居の場合には第二部定理九を含むわけですが,これらをどういった根拠によって,思惟属性内における平行論的内容を有していると読解するのかということについては,僕はここでは触れません。書評にも書いたように,『スピノザ『エチカ』の研究』は,『エチカ』を探求しようという場合の必携の書ですから,その部分は福居自身の著書をお読みください。
 では,僕にとって何が興味深いのかといえば,たとえそれが思惟属性内でのことであったとしても,福居が第二部定理九のうちに平行論的内容を見出したということなのです。これは僕には斬新な視点でした。
コメント
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