スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ジャパンカップ&不自然な解釈

2012-11-25 18:33:46 | 中央競馬
 イギリスから4頭,フランスから1頭が招待された第32回ジャパンカップ
 ルーラーシップが出遅れ。先手を奪ったのはビートブラック。2番手は内がジェンティルドンナで外がトーセンジョーダン。ソレミアとフェノーメノまでが先行勢。好位はスリプトラとオウケンブルースリ,そしてマウントアトス,エイシンフラッシュ,ローズキングダムの3頭。出遅れた後,最内からやや挽回したルーラーシップとレッドガトーが続き,オルフェーヴルはその後ろ。最初の1000mは60秒2でスローペース。逃げ馬は向正面から2番手以降を離していきましたから,それを除けば超スローペースだったと考えてもよいと思います。
 直線に向いたところでもビートブラックはかなりのリード。しかし外を漸進していたオルフェーヴルが絶好の手応えで2番手集団の外まで進出していましたので,この時点では楽勝になるかと思いました。ただ,一旦は控えてインでこの様子を虎視眈々と窺っていたのがジェンティルドンナで,トーセンジョーダンを内から交わすとオルフェーヴルと並び,ビートブラックを交わすところで外に出して2頭が接触。この2頭の叩き合いは最後まで続き,ハナ差で競り勝った内のジェンティルドンナの優勝。オルフェーヴルが2着。2馬身半差の3着は馬場の中央から外を追い込んだ2頭の争いで,外のルーラーシップが内のダークシャドウをアタマ差だけ捕えました。
 優勝したジェンティルドンナは先月の秋華賞で牝馬三冠を達成。常識的にはエリザベス女王杯に進むところですが,あえて強敵相手のここに挑んでいました。結果的に能力に見合ったレースを選択したということで,これは陣営の慧眼でしょう。ビートブラックを交わすときに外に出て,オルフェーヴルを弾いたために審議の対象になりましたが,逆にオルフェーヴルが抑え込むこともできた筈で,これは騎手の闘志と馬の根性がもたらしたもの。後味の悪さを感じる方もいるでしょうが,僕はむしろ称えたいです。その後も叩き合って,斤量の差はあっても競り勝ったのですから,世界レベルにある馬と考えて間違いないでしょう。父はディープインパクト,全姉に今年の京都牝馬ステークスと関屋記念を勝ったドナウブルー。Gentildonnaはイタリア語で淑女。
 騎乗した岩田康誠[やすなり]騎手は秋華賞以来の大レース制覇。第27回第31回を制していて連覇となるジャパンカップ3勝目。管理している石坂正[せい]調教師も秋華賞以来の大レース制覇でジャパンカップは初勝利。

 スピノザが残した文章だけに注目するのであれば,第二部定理一一系というのは,むしろ第二部定理一一系の意味のように理解する方が自然なのであって,第二部定理一一系の新しい意味のようにこれを解釈するのは,どうも不自然であるような印象というのを僕自身は感じます。
 同様のことは,スピノザが『エチカ』に残したほかの部分からもいえるように思えます。ここではその一例として,第二部定理四〇証明をみてみましょう。
 ここでスピノザは,人間の精神のうちの十全な観念からその精神のうちに別の観念が生じるということを,神が単にその人間の精神の本性を構成する限りで,神の無限知性のうちに神を原因とするある観念があるという意味であるといっています。そしてスピノザはこのことを第二部定理一一系に訴えているのです。
 そこで各々の文言というのを比較して考えれば,第二部定理四〇でスピノザがいっていることは,第二部定理一一系ではその前半部分でいわれていることを根拠にしているように思えます。そしてもしもそれが正しいのであるなら,この証明の帰結からして,第二部定理一一系の前半部分は,ある人間の精神のうちにあるといわれるだけでも十全な観念なのであって,第二部定理一一系の新しい意味は誤りで,以前の第二部定理一一系の意味の方が正しいといわれねばなりません。そしてこれは一例なのであって,スピノザが『エチカ』において第二部定理一一系を援用して何かを証明している場合には,この種の問題がよく生じているのです。
 しかし,第二部定理一二の新しい意味,そして第二部定理九系の消極的意味を解釈として採用する以上,第二部定理一一系の新しい意味も採用されなければならないというのが僕の考え方です。たとえそれが不自然な解釈なのであったとしても,これは絶対だと思うのです。よって,この第二部定理一一系をこの新しい意味で解釈するという以上,この種の問題に関してはそれを解消しておかなければならないといえるでしょう。とくに僕の場合,『エチカ』のことは『エチカ』に訴えるという方法論を採用していますので,この問題を残したままだと,おそらく後にもっと重大な問題が生じるであろうからです。
コメント
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