スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

濃密な理由&判定結果

2011-01-21 19:07:16 | 歌・小説
 『明暗』がドストエフスキーの小説から受けた最大のものは,そのストーリー展開の仕方,すなわち小説内部に流れる時間の濃密さにあるというのが僕の考え方です。そしてこの時間の濃密さというのは,ドストエフスキーの小説を特徴づけるもののひとつであると僕は思っているのですが,ではなぜドストエフスキーの小説においては,そのように時間が濃密に流れていくのかということを,今度は夏目漱石の小説からは離れて,それ独自で考えてみようと思います。
                         
 もっとも単純な考え方は,これはドストエフスキーに限らず,少なくとも有名なロシアの小説なら全般的にいえることだと思いますが,やはり小説の登場人物の多さというのがあげられるでしょう。とくにドストエフスキーの小説に顕著であるのは,そうした登場人物のほとんどすべてに何らかの肉付けがされていること。したがって,確かに主人公というのはいるのですが,主人公とはいえないような登場人物もまた,その小説の中で,主人公に負けず劣らずの行動をします。そうした人物が何人も登場してくれば,当然ながらその分の描写の量が増えますから小説自体は長くなります。一方,そうした登場人物というのは常に同じ場所にいるわけではありませんから,同時刻に別々の人間の行動が詳しく描写されるということにもなるわけで,よってそこに流れる時間というのは逆に短くなってきます。これを合わせればそれだけ時間は濃密なものになってくるわけです。
 ドストエフスキーの小説の特徴というのは,必ずしも主人公の観点から小説が書かれているわけではないし,また単に主人公の観点からのみ小説を読むことができるというわけではないという点にもあります。いい換えればそれだけ重層的な厚みをもっているといえるかと思います。そしてこの重層性が,小説内部の時間を濃密なものにしていくのです。単純なストーリーの展開という観点から考えるのなら,おおよそそれとは無関係に思われるようなプロットが挟み込まれているということもできるのは事実だと思うのですが,しかしそうしたプロットのひとつひとつが,ドストエフスキーの小説をより魅力的なものにしているように僕には感じられるのです。

 母の見舞いを終えて磯子中央病院から家に戻りますと,ほどなくして電話が鳴りました。これは作業所の妹の担当の方から。作業所から電話があるというのはよくあることですが,それは朝か夜のことで,妹を預かってもらっている時間帯となると滅多にあることではありません。何事かが起ったのではないかといささか動揺しましたが,これは僕の早とちり。単に,クリスマス会が予定よりも早く終了したので,今から家まで送っても大丈夫であるかということの打診でした。僕もこの日はもう外出する予定はありませんでしたからそれで問題なし。3時終了だから3時半頃に戻ってくるのだろうと思っていましたが,それよりも早い時間の帰宅となったわけです。
 話がやや前後しますが,家に戻ったとき,郵便受けに区役所から1通の手紙が届いていました。これは母の介護保険判定の結果の通知でした。そして判定は要支援1ということでした。ご存知の方もいらっしゃるでしょうが,判定結果というのは要支援と要介護のふたつに分かれていて,さらに要支援が1と2,要介護は1から5の段階に分かれています。そしてこの段階によって,介護保険によって何が適用可能であるのかが決められます。要支援1というのは,段階としては最も軽いものに該当します。
 入院直後,またそれから半月ほどの間,母は寝返りを打つことさえもままならないような状態でした。万が一このような状態が継続し,そのまま退院してくるということにでもなったとしたら大変ですから,僕も早期の段階で介護保険を申請するべきであるかどうかをN先生に相談しました。しかし,実際に判定を行うために区役所の方とケアマネージャーが磯子中央病院に来た時点では,母はすでにかなりの程度まで回復していました。なので僕は,もしかしたら介護保険を適用できないという判定が下される可能性もあるのではないかと思っていましたし,仮に適用されるとしても,要介護になることはまずなく,要支援であるだろうと予想していました。したがってこれはまさにその予想通りの結果であったわけです。
 実をいいますと現時点で,まだ介護保険は使っていません。ただこの中に,自宅の改良というのが入っています。すでに説明しているように,1階はバリアフリーになっていますからこれ以上の改良の余地はありませんが,階段には手すりが付いていません。この取り付けにいくらかの補助が出るようで,将来的なことを考えてもこれはやっておいた方がいいと思っていますので,申請するつもりではいます。もっともこれは僕の一存で決められるものではなく,母と相談の上でということにはなりますが。

コメント
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