評価=
大正4年苫前三毛別で発生した日本国内での羆による最大犠牲事件を描いた吉村昭著「熊嵐」のもとになった作品。もちろん「熊嵐」もかなり以前に読んだが、書評があまりにも高かったので読んでみることに。さて先日羅臼の水産加工場の出入り口が破壊され、中にあった魚介類が食い荒らされる事件が起こった。クマによるものだ。「慟哭の谷」ではクマの習性を「最初に味を覚えた食物や物品に対する執着が強い。遺留物があるうちは熊はそこから遠ざからない。攻撃が人数の多少に左右されない。手負い熊は凶暴」と分析している。このケースに当てはめると、クマは再度必ずこの番屋に現れ、残ったものを喰いつくす。その際の駆除は確実に行わなければならないーということだろう。三毛別の惨事から今年でちょうど100年、留萌、羽幌支局では企画を考えていると思うが…。