以前「Man the hunter」という本が世に出て話題になった。原始ホモ族は狩猟にたけ、獰猛な肉食獣など恐れることなく生活し、すでに食物連鎖の頂点に君臨していたといった論文だが、これはその反論本。原題も「 Man the hunted」。確かにアメリカ大陸に生存していた大型哺乳類の多くが人間の「狩り」により絶滅に追い込まれたことは間違いないだろうが、原始の人間が武器らしい道具を使い始めたのはたかだか50万年前から。それより前は絶対的に被捕食者の立場であったことは疑いようのない事実だが、それが劇的な進化につながった論証は残念ながらこの本の中にはない。