しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

オデッセイ

2016年02月07日 18時06分32秒 | 作品名(あ行)
第395回「架空のお話のはずなのに、どうしてこれほど共感できるのだろう。」
宇宙はいつでも私の「少年心」をくすぐってくれる。つい先だって観た「スターウォーズ」もそうだ。未知なる世界で繰り広げられる物語に私はワクワクした。そして、今回の作品「オデッセイ」も種類は異なるが未知なる世界(火星)を舞台にした映画である。この映画を知った(予告編を観た)時に思ったのは「火星版キャストアウェイ」かな?くらいの印象でした。極限状態に置かれた宇宙飛行士が自らの知恵と勇気でそれを乗り越えて行くというお話を想像しました。後述しますが、おおむねその印象は間違ってはいませんでした。しかし、それを上回る面白い映画でした。今回の作品は「オデッセイ」です。

火星への有人探査飛行が実現した近未来。火星での調査中に嵐に巻き込まれた調査隊一行はミッションを中止して地球へ戻ることを決断した。しかし、クルーのマーク・ワトニーは嵐によって飛ばされたパラボラアンテナに吹き飛ばされてしまう。生体反応の途切れたワトニーは死んでしまったと思った他のクルーは彼を残し火星を脱出する。しかし、彼は生きていた。空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは次回の調査隊が来るまでの間を生き延びようとあらゆる手段を模索するのだった。一方、地球では彼の生存を確認し、救助すべく新たなミッションを敢行するのだった。

この作品はとてもシンプルなプロットで成り立っている。火星の取り残された宇宙飛行士がたった1人で来るあての無い救出を待つという、ただそれだけの物語だ。しかし、それがとても面白く仕上げられている。さすがこういう作品が得意なリドリー・スコット監督だと思ってしまった。ではなにが面白いのか?

とにかくマーク・ワトニーが前向きなのだ。自分が置き去りになったと理解した瞬間から「死への恐怖」ではなく「生への執着」を見せ始める。それが荒唐無稽なものではなく、限りなく現実感を持った計画であり、説得力のある計画なのだ。火星の土を使ってのジャガイモ栽培に始まり、通信手段の回復やその方法、彼の火星での生活をとにかく前向きに描いていたのが、この作品の評価すべき点である。もしかしたら、夜になれば眠れず涙に暮れた時もあったかも知れない、でもそんな場面は映画の中では全く描かれないのだ。それによって「たった1人で火星に置き去り」という状況が、まるで「サバイバル・ドキュメント番組」でも観るかのようになってしまい。いつの間にか彼を応援するように観てしまっていました。

さらにマーク・ワトニーのサバイバル生活がメインで描かれてはいるのですが、彼を救出しようとする先に脱出したクルーや、地球にいるNASAのスタッフ、次々に現れる有能なキャラクター達が見事に描かれていました。ロケットの協力先として中国が出てくるあたりは、「ああ、そんな時代になったのかぁ。」と変な感情が湧き上がってきてしまいました。そこは日本ではなく中国なんだぁ。とちょっと残念に思いながら。

作品の点数は★★★★★です。宇宙に関する難しい知識が無くてもとても楽しめる作品です。もちろん多少の知識があればもっと楽しめるでしょうが。(昼と夜の気温差とか)少し残念だったのは時間経過があまりきちんと描かれずにあっという間にエンディングを迎えた感じがしてしまった点ですかね。もうすこし画面に表示される「SOL24」(火星での経過日数)を多くして、パラパラめくるように日にちが経過していく様子を描いたら、大変な様子がもっと伝わったような気がします。劇中では一気に日にちが進み過ぎてしまったので。

それでも主人公を演じたマット・デイモンの最後の痩せっぷりは見事でしたけど。あれが実際に痩せたのか、特殊撮影なのかは確認しないことにしよう。(笑)
さらに脇役で登場した人達にもニヤリとさせられます。宇宙船の乗組員としてアントマンでお喋りな相棒を演じたマイケル・ペーニャと、キャプテン・アメリカでバッキー・バーンズを演じたセバスチャン・スタンが同乗していることに、「こんなところで顔合わせを」と余計なことを考えてしまい、劇中に指輪物語の「エルロンド計画」という言葉が登場する場面にはロード・オブ・ザ・リングでボロミアを演じたショーン・ビーンがいるなんて映画ファンの私としては嬉しくなる演出でした。

「ゼロ・グラビティ」もそうですが、宇宙空間を舞台とした作品がこれほど見事に作り上げられることに技術の進歩も感じますが、なにより脚本の重要性を再確認した1本でした。

オデッセイ 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
マット・デイモン,ジェシカ・チャステイン,クリステン・ウィグ,キウェテル・イジョフォー,ジェフ・ダニエルズ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


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