しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

劇場版SPEC~天~

2012年04月29日 18時25分52秒 | 作品名(さ行)
第263回「あの演出をどれだけ受け入れられるかどうか」

最近、よく見かける光景がある。今回の作品「劇場版SPEC~天~」などのように、テレビドラマから映画化された作品に出演している俳優さんが宣伝のためにバラエティに出演し、こんなセリフを言う。「ドラマを観ていない人も、この映画から観ても十分楽しめますから、是非映画館に足を運んでください。」と。そんなセリフのほとんどは嘘であると私は思う。1クールという時間の中で描かれた世界観とキャラクターをテレビシリーズを観ずに劇場へ足を運んだ人にどれだけ伝えられるだろうか?私個人的にはほとんど無理だと思っています。特に今回の「劇場版SPEC~天~」のように観る人を選ぶ作品ならなおさらです。

通常の捜査では解決できない特殊な事件を専門に扱う部署「警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係」・・・通称「未詳(ミショウ)」の特別捜査官、当麻紗綾と瀬文焚流。スペックホルダーと呼ばれる特殊能力者による数々の難事件を解決してきた2人の前に、海上のクルーザーから大量のミイラ死体が発見されたという知らせが届く。それはかつて未詳にいた捜査官を殺したスペックホルダーの能力によるものだった。捜査を進めるうちに当麻の前に死んだはずの一十一(にのまえじゅういち)が姿を現す。彼は仲間を集めて自らが日本を支配するため、権力者達を次々と殺害していく。当麻と瀬文は一を止めることはできるのか?

この作品の監督である堤幸彦という人は作品によって、かなり演出に偏りのある人だと私は思う。なかでも「ケイゾク」「トリック」そしてこの「SPEC」という作品は監督が楽しんで作っているのと同時に、観る人をかなり選ぶ作品ではないでしょうか。
もちろん、大筋の話はとても魅力的で真面目に作られているのですが、その合間に起こるギャグやセリフなど、大真面目にストーリーに集中しようと観ている観客を嘲笑うかのように、数々のおかしな出来事が巻き起こっていく。その演出をわかっていない(この作品が初見の人など)人などは、どう受け止めていいのか困らないのだろうかと、余計な心配をしてしまう。だからこそ、冒頭で述べたようにこの劇場版から観ようとする人が、純粋にこの作品だけ観て楽しめるはずがないと私は思ってしまう。そのくらいストーリー、演出ともに独特な世界観が展開される作品なのである。それが魅力的で多くのファンを獲得しているのも間違いない事実ではあるのですが・・・

スペックホルダーと呼ばれる特殊能力者達も、その特異な能力を発揮しようとする時の間抜けなポーズや掛け声など、重厚なストーリーとは裏腹にそのバカバカしさに、それを理解しているはずの私でさえ、「それ本当に必要か?せっかくの世界観を壊してないか?」などと心配しながらの鑑賞となりました。意味不明の登場人物や展開なども多くありましたしね。

点数は★★★☆☆です。堤幸彦演出をある程度理解している私がこの点数なのですから、初めてそれに触れる人にとっては「なんだろうなぁ?」と首を傾げてしまうことも多々あることでしょう。もしドラマから観ていないのであれば、いずれ放送されるであろう地上波を待ったほうが賢明だと思います。

それにしても「絶対にSPEC~欠~なんてやらねぇからな!」なんて言ったって、まだまだ未回収な伏線が何本もあったり、飛ぶ鳥を落とす勢いのあの若手俳優を顔すら映さないあんな贅沢な使い方をしたりと、思いっきり続編を意識した終わり方ですから、おそらく完結編があるんでしょうねぇ。

タイトルは「劇場版SPEC~訣~」なんてどうでしょう。

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