晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「赤い風船」(56・仏) 80点

2014-02-19 15:32:21 | 外国映画 1946~59

 

・ A・ラモリス監督のシネポエム代表作。

 パリのメニルモンタン街で少年パスカル(パスカル・ラモリス)が見つけた<赤い風船>の映像詩で、カンヌ国際映画賞パルムドール受賞作品。

 3年前「白い馬」でシネポエムというジャンルを切り開いたアルベール・ラモリス監督の代表作で、4年後の長編「素晴らしい風船旅行」のベースにもなっている。

 モーリス・ルルーの音楽に乗って街を漂う<赤い風船>はまるで人間のような意思を持っている。パスカルも雨が降れば傘に入れるなど、親友を得たように振る舞っているところが微笑ましい。モノトーンの街並みや、衣装の人々と対照的な真っ赤な風船が美しい。

 当時難しかったヘリによる空撮で、その映像を見ているだけで心が洗われ癒される36分だ。

「白い馬」(53・仏) 70点

2014-02-19 07:54:48 | 外国映画 1946~59

 

・ シネポエムというジャンルの開拓者、A・ラモリス。

 フランス南部・カマルグ地帯を舞台に野生の馬と少年の交流を描いた短編。カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品。

 「白いたてがみ」と呼ばれる野生馬のリーダーは、カウボーイたちのターゲットにされる。勇猛果敢なリーダーは、なかなか捕らえられないが少年ファルコ(アラン・エムリー)には従順である。

 アルベール・ラモリス監督は、ジャン=ピエール・グルニエのナレーション以外は台詞を最小限に抑え、モノクロの美しい映像でストーリー展開して、シネポエムというジャンルを切り開いて見せてくれた。野生馬の疾走シーンなど撮影には相当苦労しただろうが、その欠陥を見破られない映像に感嘆させられる。

 主人公の弟役で女の子のような可愛いパスカルは、監督の息子で3年後「赤い風船」の主役となっているので、一緒に見るとその成長ぶりが感じられて楽しみが増す。

 メルヘンなのにハッピーエンドではないのが消化不良に陥るが、幻の映画ともいわれた本作が映画館で上映され、DVD化されるのを喜ぶとともに、多くの人に観てもらいたいと願っている。