晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「帰らない日々」(07・米) 75点

2014-02-13 16:34:44 | (米国) 2000~09 

 ・ 達者な演技も、消化不良のままだった・・・。

 ジョン・バーナム・シュワルツの原作を「ホテル・ルワンダ」のテリー・ジョージ監督が映画化。

 大学教授イーサン(ホアキン・フェニックス)は息子をひき逃げで一瞬にして失ってしまう。加害者は弁護士のドワイト(マーク・ラファロ)で、独り息子と野球観戦の帰りだった。

 事故の被害者と加害者の家族を対等に扱いながら、愛する息子を奪われた父親と、愛する息子を失いたくない父親を緊迫感を持って描いている。

 どちらの父親も失ったものが余りにも大きく、解決の道は見つかりそうもない。ここでは加害者は自首も儘ならず思い悩み、被害者は自分で犯人を見つけ出して復讐心を剥き出しにする。

 常識的には加害者の行動に同情の余地はないが、何故か加害者に同情してしまう不条理な自分がいる。交通事故は誰にでも起こり得ることで、被害者も加害者も不幸なことだが、被害者が最愛の人を失う悲しみは何物にも代えがたいというのに・・・。再生の機会があるとすれば被害者のほうで加害者には立ち直りの困難さがハッキリしているため、我が身に置き換え観ていたせいだろうか?

 エンディングのタイトル・ロールのあとも、消化不良のまま映画館を出た記憶がある。

 それぞれの妻にジェニファー・コネリー、ミラ・ソルヴィノと二人のオスカー女優を据え、確かな演技を見せてくれたが、父親中心の家族愛を描いたこの作品では見せ場が少なかった。