遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

戦争広告代理店

2016年09月28日 11時46分35秒 | 読書

        ドキュメント
      戦争広告代理店   
          情報操作とボスニア紛争
                         高木徹(著)2002年6月発行

     8月にスロベニアとクロアチアの観光旅行をするにあたり、
     図書館で、これらの国に関する旅行記などの本をさがしたのですが、  
     ほとんど見つからず、困ったものでした。
     それほどにこの地域の本は少ないですねえ。

     それ以前に、旅行を検索中、ボスニアに立ち寄るツアーもわずかながらあり
     考えましたが、どうもボスニア紛争の映像が浮かび、気分が重くなり、
     選びませんでした。
     
     旧ユーゴスラビア、元チトー大統領の死後は、
     昔からバルカンの火薬庫といわれるだけあり、
     ついこの前まで、各地で国内内戦が続き悲惨な状況で
     混乱していたという印象。
     

     ただ、そんな自分の記憶とは、TVや雑誌、新聞によって作られたものに過ぎず、
     実際にはどんな事が起こっていたのか、何が真実だったのか、、、
     
     ナチに最後まで抵抗し戦ったというセルビア人が、紛争では悪者だった?
     ボスニア紛争で国連から派遣された日本人の明石氏が
     何故あれほど欧米やボスニアで批判されなければなかったのか?
     これまで、なんとなくモヤモヤとしたまま埋もれていた疑問。
     今回、ボスニア・ヘルツェゴビナの近隣国、スロベニアとクロアチアを
     旅したことにより、再確認したくなり、本書を読んでみることに。

     本書は、2000年NHKスペシャル「民族浄化〜ユーゴ・情報戦の内幕〜」
     というドキュメンタリーをもとに出版されており、
     多岐にわたる非常に綿密な取材に基づいて描かれているので、
     リアル感満載で、驚くとともに、考えさせられることばかりです。
     政治家、外務省の方々には是非、読んでいただかねば。

     作者、あとがきに
 
     アメリカのPR企業が「情報」という武器をつかって戦争の行方さえも左右している
     国際政治の現実を描いている。
     ここで取り上げた「情報戦争」は現在日本の外交、内政、あるいはビジネスの現場
     でも毎日起きていると言ってよい。それはほとんどの場合、もし本書の主人公である
     PRのプロフェッショナル、ジム・ハーフがいたなら、このような最悪な事態は訪れな
     かっただろう、という意味合いにおいてである。

     とあるのだが、確かに、外務省や大企業に、ジム・ハーフがいたなら助かるだろうな、
     と思う気持ちも反面、それで本当にいいのか、という疑問も残るが。
     それほどに、本書に書かれた情報操作の内幕がリアルで、その恐ろしさに愕然とした。

     結局、本書を読む限り、
     映像などにより記憶していた、ボスニア内戦における国際的評価としての
     残虐なセルビア人対虐げれたモスリム、という構図は、
     アメリカの広告代理店のプロにより、見事なまでに作られたものだった。

     情報操作の善悪はともかく、瞬く間にSNS等で情報が世界を席巻する現在、
     その情報がいかようにも操作可能で、プロの手にかかれば、為政者も大衆も、
     苦もなく誘導されかねない社会に暮らしている現実を認識し、心せねばならない、
     ということを教えてくれていると思う。
     まあ、それは本書の主旨ではなく、個人的感想なのだが。
     つい15年〜20年前の歴史の内幕が描かれ、示唆に富む面白い本でした。
 
     今、ボスニア・ヘルツェゴビナの観光の目玉となっている古い街モスタル、
     修復された橋を見に行く日が来るかどうか、、、まだ分からないな〜。


        わがまま母

      
     
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