ババヤガの夜 王谷 晶(著)2020年10月発行
この北上次郎氏の書評↓ が、なかなかに刺激的で読んでみたくなった本。
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なんだか愉しくなってくる。どんどこ血が脈打ってくる。
王谷晶『ババヤガの夜』(河出書房新社)だ。
暴力団に拉致されても音を上げず、果敢に闘うファイターながら、
自分を襲ってくるドーベルマンを殺すことが出来ない。
やくざを殴って失神させても犬は殺せないのだ。新道依子はそういうファイターだ。
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読み始めるも、あまりこの手の小説は読んだことない者とって、なんとも衝撃的!
いきなりの激しいアクション爆発の連続に、ショックやダメージを受けつつも、
ついページをめくってしまう魅力が、、、。
ヒロインの「新道依子」は、祖父に徹底的に鍛えられ超レアな育ち方をしており、
その過程で、自分の暴力体質に気づき、一人で気ままに生きていこうと決めていた。
が、ある夜、偶然の成り行きで、新宿で絡んできたヤクザと格闘となりバンバン
やっつけるが、最期はビールびんで後頭部を殴られ暴力団の事務所に拉致されてしまう。
しかしそこで、彼女の異常な喧嘩強さが見込まれ、組の会長の娘のボディガードを
させられる羽目になり、組長宅でヤクザたちと同居し、会長の一人娘「尚子」の
毎日のスケジュールに合わせ送迎などをする生活を送ることになるのだが、、、。
この小説、バイオレンスアクションやヤクザ社会の理不尽な恐怖、など、
とにかくスピード感満載ながらも、それだけではないストーリー展開が待っていて、
ラストに向かい謎解きシーンが描かれ、人間的な深さもじんわり味わえる。
構成力、筆力の強さがビンビンと伝わってきて、面白かった。
好き嫌いは別として、著者の凄いパワーを感じる。
わがまま母
※『ババヤガ』の意味が気になり検索してみたら・・・
スラブ民話(北欧、ロシア付近)に登場する「妖婆」の名称らしい。
物語によっては、彼女の助けを借りるのは危険な行為として描かれることも。
ただ、災いに陥った主人公たちを彼女が助ける民話もあるし、たいていの民話では
主人公が礼儀正しさ、節度の遵守、魂の清らかさを示せば善玉としてふるまう。
・・・とのこと。(by ウィキペディア)
ですが、あくまでも母の妄想ですが、
著者が題名に用いようとしたのは、もう少し違う意味を含む物語との出会いがあったのでは?