竜虎 樋口明雄(著)2012年4月発行
1938年、日本の傀儡政権「満州国」が舞台。
馬賊が疾走する大地に、関東軍、満州国軍などの思惑が絡み合い
不信、権力闘争の地となった満州に住む民は疲弊しきっていた。
規律を守り義を重んじる馬賊「徐輝英」らは、
満州国軍に抵抗しながら、
悲惨な状況におかれた小さな村を守る自警団の役割を
担いながら行きのびていた。
ある日、「輝英」達が武器弾薬を奪おうと襲った馬車には、
偶然にも、生きることを諦めた冷ややかな殺気を放つ女がいた。
そう、あの「柴火」が。
そして、当然、その「柴火」と再び対決し決着を付けたいと
強く願いながら生きる「伊達順之助」が登場し、役者が揃う。
本書は『頭弾』『狼叫』につづく大陸冒険活劇の完結編。
広大な満州を駿馬とともに疾走し闘う男達と柴火による
怒濤の最終章は文句なしに興奮もの。
カバー絵は、エンディングでついに対決する二人の映像。
(なんか西部劇っぽく「荒野の決闘」といった感じもするけど
多分、ウエスタンの舞台と満州の荒野は似ているのだろう)
この結末には異論もありそうだが、個人的には満足かな。
とにかく考える暇なく、話の勢いに身を任せ一気に読む。
そんな小説もまた楽し。
わがまま母