くちびるに歌を 中田永一(著)2011年11月発行
本書は、(私のかなり怪しい記憶ですが)確か2012年の本屋大賞の選ばれたのではなかったかと。
「とてもいい本だ」「感動した」という推薦文をあちこちで目にした記憶があるので、
読んでみました。
で、この小説、いい話だなあ・・・と思うし、
巧いなあ、、、とも思いました。
が、こんなにうまくできていて内容も感動的なのですが、
個人的にはさほど感動はせずに読み終わってしまったのが
自分でも不思議なのです。
小説の舞台は五島列島の小さな島。
島の中学校の合唱部の生徒達がNコンに出場すべく
男女間のわだかまりや、家庭の問題やそれぞれが抱える問題を
乗り越えながら、ひとつの目的に向かって努力する姿を描いている。
主に、男嫌いの「ナズナ」と、
人と関わることを避け存在感を消そうとしているかのような「サトル」
この二人の目線で話が描かれていくが、他の生徒もそれぞれ魅力的だ。
島の中学生が主人公だし、Nコンを目標に彼らが心を合わせ頑張る姿なんて、
もうテーマとしてはどう考えても感動的な話なのだが、
個人的には、
コンクールの課題曲となったアンジェラ・アキの『手紙~拝啓 十五の君へ』
の歌詞のほうがずっと心に響いてきてしまったのには、困った。
とはいうものの、
子供から大人への成長途上にある十五歳の中学生が悩みながらも
合唱を通じて大人への階段を登っていく、美しい物語に間違いなしです。
わがまま母