遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

風をつかまえた少年

2011年06月06日 15時28分24秒 | 読書

        風をつかまえた少年
        
           14歳だったぼくは
            たったひとりで
             風力発電をつくった   
                  
                  ウィリアム・カムクワンバ
                  ブライアン・ミーラー  (著)2010年11月発行

   折りしも、脱原発、自然エネルギー待望の機運高まる時期に読むことに
   なったが単なる偶然なのか?と思いながら読んだ。
   
   アフリカ東南部の最貧国、マラウイに住む少年「カムクワンバ」の実話で
   ある。
   ひどい飢饉で常に死の一歩手前のような日々を暮らしながらも、
   家族や地域の人の役に立ちたいと、独力で風車をつくってしまった
   なんとも逞しく明るくやさしい「カムクワンバ」。
   貧しくて学費が払えず中学校を中退せざるを得なかった彼が
   一冊の本と出合い、彼の人生が変わっていく。
   そして、それは彼のみならず両親や友人など
   彼の周りの人々まで変えていくことになる。
   その一冊とは、アフリカ支援のNPOが村の一角に設けた小さな図書館
   にあった「エネルギーの利用」という米国の教科書。
   「空にそびえる美しく巨大な機械」の写真に魅せられたカムクワンバは
   風で電気をつくることができることを学び、風力発電機を作ることに挑む
   ことになる。
   もちろん、一日一食もままならない生活なので材料を買うことなど出来ない。
   なので、材料は全て、廃品置き場から調達。
   村の廃品置き場も、彼にいわせれば「具体的な目的と計画をもって眺めると
   目の前にあるのは宝の山以外の何物でもなかった。・・・」
   古い揚水ポンプやフィルター、ホース、パイプ、鋤など、、、
   それら捨ててあるものや古い自転車を利用、工夫を重ね、
   時には友人の助けを借り、ついに彼は自宅前に、ユニークな風車を作って
   発電させることに成功する。
   一冊の本に触発され、機械いじりが大好きな少年が、夢をかなえてゆく姿
   は、なんだか少し前までの日本人の姿に重なるところがあり懐かしさを
   覚えた。
   後に彼は「トライして、やり遂げた」と語っている。
   そして、様々な困難を乗り越える彼の強い探究心の源となっているのが、
   両親への思いやり、というのがヒシヒシと伝わってきて微笑ましい。
   電気があれば、母親は何㌔も水汲みに歩かなくて済む。
   日が落ちてからも家族で本を読んだり、一緒にラジオを聴く事ができる。
   父親の畑に水を送ることができれば、旱魃から作物を守ることが出来る。
   そんなやさしい「カムクワンバ」の思いが、風車(発電機)として実り、
   それを機にさらに広い世界に飛び立つチャンスを得ることができて、
   読んでいるこちらも嬉しくなる。
   貧しく飢えに苦しむ状況での家族愛、友情に感動。
   
   ただ、物語中盤まで(風車作りに至る前)は、マラウイを襲った飢餓の
   有様が克明に描かれていて、目の前にせまる飢え、飢餓による村の崩壊など
   貧困の凄まじさが印象に残った。
   
   「カムクワンバ」の素朴な気持ち「技術によって社会をよりよいものにしたい」
   そんな純粋な願いがかなう世であって欲しいものだ。
   

    わがまま母
   
コメント
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