遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

汐のなごり

2009年02月04日 15時58分21秒 | 読書
        汐のなごり     北重人(著)2008年9月発行

 あまり時代小説を読まない私は、この作品で初めて出会った作家でした。
 『汐のなごり』一冊で、六つの小説(小品)が楽しめます。
 六つのなかで、個人的には、『海羽山』が好きです。
 六つとも江戸時代の東北の厳しい風土に生きる男女や商人を描いています。
 小説には「水潟」という湊町や「海羽山」や「大舟川」といった山川の名称が
 でてくるのですが、これを「酒田」や「鳥海山」「最上川」などと置き換えて、
 山形県の地図を頭に浮かべながら読むとしっくりきました。
 後で、作家紹介欄を見たら、「山形県酒田市生まれ」とあり、納得。
 
 『海上神火』は、貧しさから遊女となった「志津」の吉蔵への思いが描かれ、
 『海羽山』は、天保の大飢饉にみまわれた奥州の北津軽から、共に逃げた
 両親や兄弟と死に別れた「辰吉」が必死に生き延び、
 死に物狂いで商売を学び、後に問屋の主「木津屋喜三郎」となり、
 大飢饉には仮小屋を作り炊き出し「施粥」を率先して行うまでになる。
 そして、死に別れたと思っていた兄が山伏となって生きていることを知り、
 海、山を越えて会いに行く。いい話でした~。
 他に印象的だったのは、『合百の藤次』かな。
 これは当時も行われていた「米相場」の先物売買に人情がからむ面白い話です。

 どれもその時代と人を偲ばせ「日本人だな~」というお話ばかり。
 しかも東北、日本海側の湊町が舞台です。その地方のひととなりの一端を
 知ることができるような気がしました。

   わがまま母
 
 
  
コメント
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