ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

舛添厚生労働大臣になって、厚生労働省の善政

2008年12月10日 | 時事問題
asahi.com 2008年12月10日
中学生以下全員に保険証 無保険問題で救済法案可決
 保護者が国民健康保険(国保)の保険料を滞納して「無保険」状態になった子どもを救済するための国保法改正案が10日、衆院厚生労働委員会で全会一致で可決された。滞納世帯であっても、中学生以下の子どもには6カ月の短期保険証を交付する内容。今国会で成立する見通しだ。


蝶「アサギマダラ」の長旅 渡り鳥ならぬ「渡り蝶」

2008年12月10日 | 時事問題
asahi.com 2008年12月10日7時58分
羽ぼろぼろ 下呂から奄美へ、苦難の1100キロ
 岐阜県下呂市の観音峠で9月下旬に捕獲され、マーキングして放たれた「アサギマダラ」が、南西に1110キロ離れた鹿児島県奄美市の本茶峠で40日後に捕獲されていたことがわかった。この個体は途中、高知県でも捕獲されており、3度目の捕獲になる。苦難の長旅を物語るように、美しい羽はぼろぼろで、奄美の地で旅を終えた。

蝶の命ははかないものと思っていましたが、これほどの長距離を移動するとは感動!

読書ノート 辻井喬 上野千鶴子対談 「ポスト消費社会のゆくえ」 文藝新書

2008年12月10日 | 書評
セゾングループの歩みから日本の消費社会を総括し、ポスト消費社会の姿を探る 第7回

序(7)


 本書は対談形式となっているが、対談というのは大概は周到に準備された編集者と打ち合わせを終えて、問題提出とまとめという司会者が居て、ある大御所を突っ込んで、結論をあぶりだすという目論みが存在している。各自が文章を持ち合ってきて編集するわけではなく、生身の人間を相手にするのだから、駆け引きはあるが激しい対立はなく、用意された結論に編集者が満足するという流れであるのはやむをえない。ここでは上野千鶴子氏が司会者(調理人)で、辻井喬氏が解剖の対象(俎板の鯉)である。漫才で言えば上野氏が「つっこみ」役で、辻井氏は「呆け」役を演じている。では上野氏が分類する時代区分に従って、本書を追ってゆこう。大きくは1950-1960年代、1970-1980年代、1990年代から今日の三時代に区分される。前の二区分は成功と拡大のサクセスストーリーで、何処の会社もそうであったろうから、西武グループの特徴はでているが、格別西武流通グループだけの成功の秘密と云う話にはならない。むしろダイエーの仲内功さんの流通革命の話のほうが魅力あるかもしれない。すると本書は第3の時代1990年以降の失敗のほうに主題があるように思える。その失敗の原因を辻井喬の経営者としての資質にするところが本書の醍醐味である。批判を甘んじて受ける辻井喬氏の摩訶不思議さに氏の文人たる所以をみるようだ。

経済問題  春山昇華著 「サブプライム後に何が起きているのか」 宝島新書

2008年12月10日 | 書評
格付け信用の失墜とレバレッジ手法の終焉 第12回 最終回

5)世界金融の覇権交代の流れ  (2)
2006年度まで世界の金融市場は①アメリカの証券化資金 ②中国の貿易黒字 ③石油ガス生産国の貿易黒字で積みあがった余剰資金で支えられてきた。証券化バブルが崩壊した今日、レバレッジ手法は減少するだろう。黒字を溜め込んだ国が新しい金持ちになる。世界金融は欧米から重心が移動しつつある。日本の生きる道は、コスト競争で中国には勝てないので、トヨタの成功例に学んでトータルなコストパフォーマンスで競争力を向上させることと、任天堂のように他者が真似できないような製品を提供する事であろうか。日本の経済力は1988年をピークとし、国民所得の世界順位は93年がピークであり、労働人口は96年がピークで、総人口のピークは2004年であった。日本は穏かに衰退を続けている。ヨーロッパ並みの小国になるだろう、それもいいじゃないかという考えもうなずける。覇権国家は疲れるし、殺伐とした殺人国家にはなりたくない。製造業主体の経済から、知識主体の経済へ移行しつつある。金融中心ということはなりたくないが。

文藝散歩 「ギリシャ悲劇」

2008年12月10日 | 書評
啓蒙・理性の世紀、紀元前5世紀都市国家アテネの繁栄と没落を描くギリシャ悲劇 第12回

丹下和彦編 「ギリシャ悲劇」 中公新書 (11)


2)アイスキュロス 「オレステイア三部作」ー法の正義 (4)

(3) 「慈しみの女神達」ー裁きと赦しのドラマ
デルポイのアポロン神殿の前で加護を祈るオレステスに対して、アポロン神は「自分が母を殺せと命じた」といい、復讐神エリニュスと激しく対立する。そして審判はアテナ女神の裁きに委ねられる。アテナは市民の中から選んだ陪審員を設置して、パゴスの法廷においてオレステスの無罪を宣言した。都市国家アテナイにおける法の正義の確立、法治国家アテナイの宣言である。陪審員制度を採用している事も注目される。復讐神エリニュスはなかなか納得しないが、アテナ神の説得を受け入れ、慈しみの女神として市民らの安寧を図ることを約束する。復讐神エリニュスは慈しみの女神エウメニデスに変貌した。