ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文語訳 旧訳聖書 Ⅰ 律法(モーゼ五書)岩波文庫

2020年02月29日 | 書評
夜明け前の筑波山 2020年2月11日 午前6時20分

旧約聖書全39書のうち律法は、モーゼ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)を収める  第25回

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅰ 律法」(岩波文庫2015)

2-2) 出エジプト記    (その8  完)


第32章: 第32、33、34章は神と民の関係が一層複雑で不協和の様相を示す。エジプトを出て以来エホバ、モーゼ、アロン、民衆の思いが試行錯誤の時代を迎える。モーゼはエホバと民衆の間の調整(調停、とりなし)に翻弄される。モーゼが山に登って久しく時間がたつので、民はアロンに尋ねた。アロンは民の女から金の飾り物を取り立ててそれを鋳直して仔牛を作り燔祭を行った。神エホバはモーゼに言った。エジプトの地から導き出した民は悪いことを始めた、エジプトの神を拝んでいると。エホバは怒りこの民を殺そうとしたが、モーゼは必死にとりなしたので事なきを得た。モーゼは急いで山を下り、仔牛の像とと踊りを見たので律法を刻んだ2枚の石板を投げて仔牛の像を壊した。そしてアロンに問い詰めると、民が我々を導く神を作ろうとしただけであるという。民のやりたいようにやらせば仔牛(エジプトの神)になったのである。モーゼはレビの子孫を集めエホバへの信仰を促した。そしてエホバに向かって罪の赦免を乞うた。
第33章: 神は昔ヤコブに約束した乳と蜜の流れる地カナンに向かうべし、その前にカナンに居るカナン人、アモリ人、ヘテ人らを追い払っておくが、神はイスラエルの民と一緒には行かない、この民は強情でいつ裏切るかわからないからだといった。この悪しきお告げを聴いた民は憂えた。モーゼはエホバを信じる人々を集会の幕屋に集めた。幕屋に雲の柱が立ちエホバがモーゼに現われた。モーゼは天幕(生活と牧畜にための移動用テント)に帰ったが、ヌンの子ヨシュアは幕屋を離れなかった。モーゼは神がともにゆかないならどうして神の恩を知ることができるのかとエホバに問うた。こうして神とモーゼの押問答が展開されるのであるが、エホバは神にして人ではないということに尽きる。
第34章: エホバは神との約束である石の板を再度作れとモーゼに命じた。翌朝準備を整えたモーゼは一人でシナイ山に上った。雲の中から神が現れ、モーゼは我らの中に神がいまして頑迷な民を導き給えと乞うた。エホバはモーゼを前にして、いまだ世界になかった奇蹟を行うので良く見ろ、アモリ人。カナン人らをカナンから追い払う。他の国の民と契約を結ぶべからず、他の神を拝むべからず、偶像アシラ像を破壊せよ、我は嫉妬深い神である。汝らは偶像を鋳ってはならない。パンの節莚を行うべし、6日働いたら7日目は休息すべし、これを破ったら殺される。年に3回イスラエルの神の前に出るべし、過越の節の犠牲は翌日まで残しておくな。これらの約束を言葉に書き記せ、これらの言葉を持ってイスラエルと契約を結ぶ。
第35章: 第35,36,37,38,39章は第25,26,27、28、29、30,31章と重複している。その理由は分からないが、再度祭壇の器具の様式や製作職人の話となる。本章は第25章の祭具およびそれを作る職人集団に関する記述と重複するので、省略する。
第36章: (幕屋に関する第26章と重複)省略
第37章: (律法を入れる函、灯台、香壇に関する第27章と重複する)省略
第38章: (壇、盥、庭に関する第27章と重複)省略
第39章: (祭司の衣類に関する第28章と重複)省略 
第40章: (幕屋内の配置に関する第30章と重複)省略

(続く)




文語訳 旧訳聖書 Ⅰ 律法(モーゼ五書)岩波文庫

2020年02月28日 | 書評
夜明け前の筑波山 2020年2月11日 午前7時01分

旧約聖書全39書のうち律法は、モーゼ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)を収める  第24回

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅰ 律法」(岩波文庫2015)

2-2) 出エジプト記      (その7)


第27章: この章では壇の様式について述べる。合歓木でもって壇を造れ、寸法は定めの通り。4隅の角には銅をかぶせる。灰を受ける壺、鉢、火鼎を造れ、器は皆銅で作るべし、銅で金網を作り壇の中ほどの縁の下におく。南側に幕屋の庭をつくれ、寸法は定めの通り。細布の幕を掛ける柱の数は20本、座は銅、鉤・桁は銀で作れ。幕の寸法と枚数は定めの通り。幕屋には燈火を欠かせるな、アロンとその子孫がその燈火を管理すること。
第28章: 第28、29、30、31章はアロンとその子孫の祭司職に就いて述べる。この章は祭司アロンの衣裳についての規則を述べている。エホバはモーゼの兄弟アロンとその子ら、ナダブ、アビウ、エレアザル、イタマルを我に仕える祭司とすると言明した。
第29章: 祭司職アロンの務めについて記述する。若い牡牛と2頭の山羊を取り、無酵パンに油を混ぜた無酵菓子、無酵煎餅を取り一つの篭に入れる。アロンの子らは集会の幕屋の入り口で水を持って浄めること。服を脱いで明衣エポデおよび胸牌をアロンに着せ、エポデの帯を締めさせる。首には頭巾をかぶらせ聖なる金の板を戴かせそこへ灌油を注ぐ。燔祭(火祭)のやり方は以下のごとし。集会の幕屋の前にて牡牛を殺し、牡牛の血を取りて、指で壇の角に塗り、血を壇の下にことごとく灌ぐ。牡牛の内臓を包む脂、肝臓の膜、腎臓を壇の上で焼く。山羊を殺しその血を取り、アロンとその子らの耳、手と足の親指に付け、その血を壇の周囲に灌ぐ。無酵パンに油を混ぜた無酵菓子、無酵煎餅1個をそえてエホバの供え物とする。山羊の胸を取ってエホバに供える。アロンとその子らは集会の幕屋の戸口で山羊の肉と無酵パンを食べる。7日間アロンとその子らは任職の礼を行う。毎日1頭の牡牛を贖うべし。
第30章: 香を焚く壇の様式を定める。合歓木をもって壇を作る、寸法は定めた通りに。4隅の角柱には金をかぶせ、両面に2個の金の環をつけ棹を貫く所とする。香の壇を律法の函の傍らの幕の前に置いて、贖罪所に対面させる。ここはアロンと神が会う場所である。朝と夕べに香を炊くこと、1年に1回燔祭を執り行うこと。贖いの金を幕屋の用にするため供えること、すべての名だたる人は半シケルを差し出すべし。アロンと子らが手と足を洗い清めるため、銅の洗盥を集会の幕屋と壇の間に設けるべし。香物、没薬、肉桂に値段を決めて徴収すること。
第31章: この章は茶道具の「千家十識」と同じように、祭壇の用具の制作者を指名する。金銀銅の加工製作にはユダの支流なるホルの子なるウリの子のベザレルがあたる、彫金・埋め金に優れた技を持つからである。幕屋、函、贖罪所の壇と器具、机、灯台、香壇、衣、洗盥の製作には、ダンの支流なるアヒサマクの子アホリアブがあたる。京都には仏具専門店が東本願寺と西本願寺の間の正面通り町に集中している。それと同じことであろうが仏具屋は民間企業の店であるが、むしろこのユダヤ教祭壇製作は朝廷御用達の専売公社みたいな組織であるところが異なる。

(つづく)


文語訳 旧訳聖書 Ⅰ 律法(モーゼ五書)岩波文庫

2020年02月27日 | 書評
夜明け前の筑波山 2020年2月11日 午前7時00分

旧約聖書全39書のうち律法は、モーゼ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)を収める  第23回

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅰ 律法」(岩波文庫2015)

2-2) 出エジプト記      (その6)


第23章: 本章は道徳律、エホバの宗教律に関する事例集である。
* 偽りの風説を言いふらしてはならない。悪人と手を組んで人を陥れる企みに組してはいけない。
* 汝の敵の家畜が迷い出て保護したら、持ち主に必ず返すこと。善良な人が倒れていたらこれを助けて荷を持ってあげなさい。
* 貧しい者が訴訟をしたとき、その判決を曲げてはいけない。正しい人と罪なき者を殺してはならない。賄賂は人の目をくらまし正しい人の言葉を曲げるもの。賄賂を受けてはならない。
* 6年間は耕して収穫しなさい。第7年目は休耕地にすること。また6日間働いて7日目は休むこと。家畜、僕あるいは婢を休ませ息をつかせなさい。
* 神のいうことに配慮すること。他の神々の名を称えてはいけない。
* 年に3回神の節筵を守り、無発酵のパンの節礼を守ること。収穫および収蔵の節筵を守ること。汝生贄の血は種入りパンとともに捧ぐべからず。 
第24章: エホバよりモーゼにお呼び出しがかかった。汝はアロン、アビウ、ナダブおよび70人のイスラエルの長老と一緒に来たれ、ただしモーゼを除いて皆ははるか遠くから拝むべし、モーゼ一人エホバに近づくことができる。モーゼは翌日朝早く山のふもとに壇を築き、12のイスラエル支流の柱を立て、燔祭を献じて牛をもって酬恩祭を供えた。ウシの血の半分を鉢に入れ壇の上に注いだ。契約の書を民に聞かせた。長老たちは遠くからイスラエルの神を見た。6日間雲が山を覆い、7日目にエホバが雲の中からモーゼを呼んだ。モーゼ雲の中に入り40日間山に籠った。ここにおいてエホバは律法と戒めを書いた石板を与えた。
第25章: 第25,26,27章は聖所(神殿)の構造や器具について詳細な規則を記述している。この章は祭壇、礼拝所の実に細かい規則を述べる。神はイスラエルの民より献物を取ることをモーゼに命じた。献物とは金、銀、銅、染色した糸、麻、山羊毛、雄羊の皮、合歓木、灯油、塗膏、香料、胸牌に嵌める玉である。神のために聖所を作るべし。幕屋の様式、器具の様式を定めその中に神は宿る。契約書を入れる箱は合歓木をもって作る。箱の長さ、幅、高さを定めた。そして純金を持って箱を覆うこと。贖罪所をつくる。贖罪所の中央に契約の箱を置きその両側に大きな翼を持つケルビムを二つ置くこと。ケルビム寸法は定めの通り(省略)。金を持って2つのケルビムを作り贖罪所の両側に置くべし。その中央から神はモーゼに言い伝えることを語りかける。合歓木をもって供物をささげる机を作れ、寸法は定めたとおり。純金で机を覆い、金の縁を作る。皿、匙、杓、酒杯をおき、常にパンを供えよ。純金を持って灯台を作れ、台座は花模様とし6つの枝をつけ、7つの燈火とする。
第26章: この章では幕屋の様式についのて規則を述べている。幕屋のために10の幕を作ること、麻の撚り糸と染色された糸で幕を作りケルビムを織り出す事。幕寸法は定めた通りに作り連ねて5枚づつ2組の幕を作る。一組の縁は50枚の青色の襷をつける。幕の蓋いには山羊の毛で幕を作る、寸法は定めた通りに。それには銅の輪をつけた50の襷をつける。合歓木で幕屋の竪板を作る、寸法は定めた通りに。南北の方には各々20枚の板を作り、西の方には6枚の板を使用する。合歓木で正面に5本の横木を作り、合計15本の横木を作る。青紫紅の糸および麻で幕を作りケルビムをその上に置く。金をかぶせた4本の柱の上に幕を掛ける。また青紫紅の糸および麻の糸で帷を織り幕屋の入り口に掛ける。帷を掛けるため合歓木で5本の柱を作り金をかぶせる。

(続く)


文語訳 旧訳聖書 Ⅰ 律法(モーゼ五書)岩波文庫

2020年02月26日 | 書評
夜明け前の筑波山 2020年2月11日 午前6時59分

旧約聖書全39書のうち律法は、モーゼ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)を収める  第22回

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅰ 律法」(岩波文庫2015)

2-2) 出エジプト記      (その5)


第21章: 前章は「モーゼの十戒」と言われるものであるが、エホバが述べた民の前に立つ律法(道徳律、刑法、民法、商法に相当する)の具体例を次の3章に述べる。雑多にわたるので箇条書きにして記す。第21章は殺人・傷害などの刑法、奴隷の処分に関する民法・商法に関する事例集である。
* 僕を買うときは6年間の年季奉公とし、7年目には釈放しなければならない。独り者なら独りで、妻が居たなら妻もともに釈放する。主人がこれに妻を与え子どもが出来た時はその子は主人のものである。もし僕が釈放はいやだというなら、士師の裁きを得て証しとして僕の耳に錐で穴をあける。そうすればいつまでも使うことができる。
* 人が娘を売って婢とするときは、僕として釈放はしない。女が主人の気に入らないときは別に売ることはできる。そうでないなら女を異邦人に転売してはいけない。息子に与えるときはこれを女子として扱え。息子に娶ることがっても、婢には衣食を与え、セックスは断絶してはいけない。
* 人を撃ち殺した者は殺されるべし。故意ではなく神に仕える者を殺したものは、駆け込み場所に逃れることができる。隣人を謀って殺した場合は殺されるべし。人をかどわかした者は殺されるべし。
* その父、母を罵る者は殺されるベし。人と争い相手を死に至らない程度の怪我を負わせた者は赦される。しかし傷が癒えるまでの生活費は償う。主人が杖をもって僕あるいは婢を撃って死なしめたときは罰せられる。
* 争って妊婦を撃ちその子を堕胎させたとき、その夫の訴えにより裁判を受ける。命には命をもって贖い、目には目をもって贖い、手には手を、歯には歯を、足には足を、傷には傷をもって贖う。
* 僕あるいは婢の一つの眼(歯)を撃って潰したら釈放しなければならない。
* 牛が人を殺したら、その牛を必ず石にて撃ち殺す。ただしその牛の所有者には罪はない。人を襲う癖のある牛を忠告があったにもかかわらず放置すれば、その牛は殺されその主も殺される。牛が僕あるいは婢を衝いたなら銀30シケルを払うこと。
* 穴を掘って覆わなかったことで、牛、ロバが穴に落ちたら、穴の持ち主は家畜の所有者に賠償金を払う。家畜が死んだならそれは穴の持ち主のものとなる。
* 2匹の牛が片方の牛を衝き殺したならば、二人の牛の所有者は生きている牛を売って、その価を2分する。死んだ牛も2分する。
第22章: 本章は盗みの刑法、民法、宗教、国際法に関する事例である。 
* 人の牛・羊を盗み殺し売るときは5倍返しで賠償する。盗人が討ち入るのを殺しても、血で贖う必要はない。盗まれた家畜が生きているならば2倍返しで贖う。
* 人の畑に家畜を放って畑のものを食わせた場合、自分の畑の収穫物で贖う。火が飛んで穀物や田畑を焼いたなら、火を焚いた者は贖うべし。
* 人が物や金を人に預けて盗まれたときは、盗人が見つかれば2倍返しで賠償させる。盗人が現れないときはその家の主を裁判所において吟味し、どう見ても咎めがない時は法官の裁定による。
* 家畜を隣人に預けて、家畜が死ぬか傷つけられるか盗まれたとき、証人がいないならば、神に誓って隣人が主張するならそれを承認する他は無く、隣人は罰せられない。しかし盗まれたなら隣人は所有者に償う。隣人より借りた人が傷付けられたり殺されたとき、所有者がその場にいなければ隣人が償うべし。
* いいなずけの居る娘と寝たならば、贈り物をしてその娘を妻とすべし。相手の父がこれを拒むならば、慰謝料を支払うこと。
* 魔女は殺すべし。家畜を姦す者は殺すべし。
* エホバ以外の神に生贄を捧げるものは殺すべし。異国の人を圧迫し苦しめてはいけない。無法に苦しめたときはエホバは汝らを殺す。
* 神を罵ること、民の司を呪うことは許されない。神には犠牲と祭りを行うこと。

(つづく)







文語訳 旧訳聖書 Ⅰ 律法(モーゼ五書)岩波文庫

2020年02月25日 | 書評
夜明け前の筑波山 2020年2月11日 午前6時58分

旧約聖書全39書のうち律法は、モーゼ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)を収める  第21回

2) 「文語訳旧約聖書 Ⅰ 律法」(岩波文庫2015)

2-2) 出エジプト記      (その4)


第16章: イスラエルの民はエリムを発って、エジプトを出て2か月半にシンという曠野に着いた。ここでイスラムの民よりモーゼとアロンに向かって不平不満が噴出した。エジプトに居た時は肉やパンを食べられたのに、エホバは我らを導き出して飢え死にさせる気かという。その民の声を聴いたエホバはモーゼに、普段の2倍の量のパンと肉を与えよう、彼らが我が律法に従うかどうかを見ようといった。ところが民は食料が多すぎるため食べ残しを腐らせる始末であった。安息日には食料配布は無い、余分の食料は蓄えて置くべしというエホバの命に従い、マナという菓子を保存食とした。イスラエルの人が生活できる地に至るまでの40年間マナを食べたという。
第17章: イスラエルの民はシンの曠野を出てレピアムに天幕を張ったが、この地には飲む水がなかった。又民はモーゼに向かって石をもって打つがごとく不平をいった。エホバはモーゼに、ホレブの磐の上に立って磐を打てば水が出ると教えた。その地をマッサと呼ぶ。この時アマレクがイスラエルの民を襲った。モーゼはヨシュアに人を選んで明日アマレクと戦へと命令し、モーゼとアロン、ホルは丘の頂にたち手をあげてイスラエルを勝利に導いた。
第18章: モーゼの舅にあたるミデアンンの祭司エテロが、モーゼがイスラエルの民を導いたことを聞き及び、モーゼの妻チッポラと二人の子どもを連れてやってきた。子の名はゲショルムとエリゼルである。エホバを褒め称え、燔祭と犠牲を持って、イスラエルの長老らも集まって神の前で食した。エテロはモーゼが一日中民に執政するところを見て、モーゼが民を裁く労が重く体が持たないだろうと心配して提案をした。民の長を決め行政と組織を整備することであった。10人、50人、100人、1000人の司を決め、常は彼らが小事を捌き、大事はモーゼに報告することである。つまり国家の行政の体制である。
第19章: イスラエルの民がエジプトの地を出てから3か月が過ぎて、シナイの曠野に至って天幕を張った。山よりエホバはモーゼを呼んでいった。汝イスラエル(ヤコブ)の家に、エホバのいうことを聴き我が契約を守るならば汝らは我が宝になり、汝に全土を与える。汝は祭司の国になり聖なる民になることをイスラエルの民に伝えよと。モーゼはイスラエルの長老を集めてエホバの言葉を伝えた。エホバは3日後シナイ山に降りるので、民は衣服を改め、山に上らず境で待て、ラッパを長く吹き鳴らしたらモーゼとアロンだけは山に登るべしといった。
第20章: モーゼはエホバの言葉を聞いて、山を下りイスラエルの民に次の神の言葉を伝えた。神この一切の言葉を伝える。我は汝らを奴隷の家のエジプトから導き出したものである。
「モーゼの十戒」
① 汝は我以外を神としてはいけない。
② 汝何の偶像も彫むべからず。これを拝むことを禁じる。
③ エホバは妬み深い神なので我に反意を示すものには、3・4代憎む。我を愛し戒めを守るものには千代に恵みを施す。神エホバの名をみだりに口にしてはいけない。罰をあたえる。
④ 安息日は潔くし、何の業もしてはいけない。
⑤ 汝の父母を敬え。汝に与えた地において命を長らえるためである。
⑥ 汝殺すなかれ。
⑦ 汝姦淫するなかれ。
⑧ 汝盗むなかれ。
⑨ 汝隣人に虚妄の証言をしてはいけない。 
⑩ 汝隣人の家を貧るなかれ、隣人の妻、財産、所有物を貧るなかれ。
さらにエホバがモーゼにいうことは、銀の神も金の神をも造ってはいけない。土の上に壇を築きその上で燔祭と酬恩祭、犠牲をそなえるべし。石の壇を作るなら切石、鑿を用いてはいけない。壇の階より登ってはいけない。

(つづく)<.span>