ブログ 「ごまめの歯軋り」

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文芸散歩 柳田国男著 「日本の昔話」(改訂版) (角川ソフィア文庫1960年5月)

2017年12月31日 | 書評
「日本の伝説」姉妹編、「むかしむかし、あるところに・・」で始まる全国で語り継がれた昔話106篇 第6回

41) 夢を見た息子
親も匙を投げるほどののら息子が夢を見ました。とてもいい夢だったので誰にも話しません。野原の一軒家に鬼婆がいました。鬼婆は息子の夢が聞きたくて空を飛べる団扇を交換しようとしましたが、息子はまず試してみると言って団扇を取って空を飛んで逃げました。海の上で疲れて小さな島に着陸しましたら、それはクジラの背中だったのです。鯨は夢を聞きたくて、刺すと死ぬ針と、生き返る針と交換しようと言いました。息子は死ぬ針で鯨を殺し、ある城下町に降りました。城下町ではお姫様が亡くなって悲しみに沈んでいます。息子はお姫様を生き返らせることができると言って城に行き、生き返る針で刺すとお姫様が生き返り御殿様から大変なお金を戴き、両親と平和に暮らしました。

42) 寝太郎三助
朝から晩まで寝ている寝太郎三助が何を考えたのか、山に行き雉を捕まえてきました。その雉を抱えて、庄屋の家にゆき木の上に隠れて主人の帰るのを待ちました。そして主人に「寝太郎三助を婿に取らないと、三日以内に家が焼ける」といって、雉の尾に提灯を下げて飛ばしました。主人はきっと神様のお告げに違いないと思い込み、翌日寝太郎三助を婿にしてくれるよう頼みに行きました。こうして寝太郎は一生安楽に寝て暮らしました。

43) だんぶり長者
奥州では蜻蛉のことをだんぶりと言います。よく働く百姓でしたが、畑で一休みして寝ている時、女房が見ていますと蜻蛉がたくさんやってきて男の顔の周りを飛び回りました。男は起き上がっていい夢を見たといって岩の陰に行くと泉酒が流れ出していました。また山に行くと黄金が出てきたのでお金持ちになりました。それでだんぶり長者と呼ばれるようになりました。長者には美しい娘がいてさる高貴な方の妃になりました。

44) 藁しび長者
金持ちの家の隣に貧乏な男が住んでいました。貧乏な男は隣の家に行き金持ちの娘さんを嫁に欲しいと頼みましたが、金持ちは一本の藁しびを与えて、この藁しびを元手に千万長者に成ったら娘をやると言いました。後は連鎖反応のように藁しび→芭蕉の葉→味噌→剃刀→脇差→殿さまから大金を得ることができ、金持ちの娘を嫁にすることが出来ました。

45) 炭焼小五郎
豊後の真野長者は昔三重の内山に住む小五郎という貧しい炭焼きでした。そこに京都の清水の観音様のお告げであなたの嫁になるためといって美しい娘がやってきました。食べるものもないのでお断りをしたら、男に小判2枚を渡して町で食料を買ってくるようにといいます。途中の池のおしどりが二羽いたので、小判2枚を投げても当たりませんでした。男がしおしお家に帰ってくると娘はびっくりしてあれは小判というもので石ではない、あれで食料ならかなりのものが買えたのにと残念がりました。小五郎はあんなものなら裏山にころがっているといいます。つまり小五郎は小判や金の価値を全く知らなかったのです。そして二人は裏山に行き金塊を拾って小屋に入れ、おお金持ちになったそうです。観音信仰と金の価値のお話です。

46) 金の椿
気の短い殿さまがいました。宴会が夜遅くまで続いたので奥方は思わずあくびをしました。すると殿さまは怒って奥方を島流しにしました。その時お腹にいた子供が島で生まれ12歳になった時、島流しの話を聞いて、殿さまに談判をするため城に往きました。山に咲く椿を手にもって、もし絶対にあくびをしな人がいたらこの木は金の椿になると言ったところ、殿様は笑ってあくびをしない人がいるものかといいました。そこで1回あくびをしたばかりに島流しにあった奥方の話をすると、殿さまは自分の非を悟りました。

47) 鶯姫
かぐや姫のお話です。駿河の竹取の翁が竹林に入って、鶯の巣に光り輝く卵を見つけました。卵を持ち帰って卵からお姫様が生まれました。光輝くゆえに「かぐや姫」と名付けました。後はかぐや姫の話と全く同じです。

48) 瓜子姫
むかしむかし爺と婆がありました。爺は山へ芝刈りに、婆は川に洗濯をしました。(出だしは桃太郎の話と同じです) 川上から瓜が一つ流れてきました。瓜を拾って帰って割りますと中から瓜子姫が出て来ました。大事に育てて大きくなったので、鎮守様のお祭りに出かける籠を求めに町へゆきました。瓜子姫は機を織っていますと、天邪鬼が入ってきて瓜子姫を裏の柿の木に縛り着物を奪って瓜子姫に成りすまして機を織っていました。そこへ爺と婆が籠を買って帰ってくると、天邪鬼はさっそく籠に乗り込もうとしました。すると裏で「瓜子を載せないで、天邪鬼ばかり載せる」と言って泣く瓜子の声が聞こえました。気が付いた爺は鎌をもっ天邪鬼の首を切り落とし、黍畑に捨てました。吉備の茎が赤いのはその血のせいです。

49) 竹の子童子
桶屋の三吉という小僧がいました。樋に使う竹を切り出しに裏の竹山に入りました。するとさんちゃん、さんちゃんと呼ぶ声が竹の中からしました。竹を切ると中から5寸ばかりの男の子が出て来ました。悪い竹につかまって天に帰れなくなった竹の子童子といい、年は1234歳だといます。お礼に三ちゃんの願い事を聞いてくれるというので、三吉は侍にしてもらい武者修行に出かけました。

50) 米袋粟袋
シンデレラの継母物語です。姉は米袋と言い母親はなくなりました。妹は粟袋といい継母の子です。継母は姉を憎みました。山に栗を拾いにゆくとき、姉には腐った古叺を持たせ、妹には新しいこだすを持たせました。妹の方はすぐ一杯になりましたが、姉の方は袋から落ちていつまでも一杯になりません。一人山に取り残された姉は川に降りて水を飲もうとすると、一羽の小鳥が現れ、私はお前のお母さんだったといい、晴れ着の小袖と葵の笛と新しいこだすを娘に与えました。あたらしいこだすを使って栗を一杯集めて持って帰りました。隣の村のお祭りには貰った小袖を出して着て笛を吹て出かけました。村の人たちの評判の娘となりました。姉妹の器量の違いは一目瞭然で、姉は嫁に貰われて幸せになりました。妹は荷車に載せて「嫁はいらんかね」と売り歩くうちに転げて妹は田螺になり、継母は堰貝になったそうです

(つづく)
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文芸散歩 柳田国男著 「日本の昔話」(改訂版) (角川ソフィア文庫1960年5月)

2017年12月30日 | 書評
「日本の伝説」姉妹編、「むかしむかし、あるところに・・」で始まる全国で語り継がれた昔話106篇  第5回

31) 三枚のお札
ある寺の小僧は杉の葉を拾いに山へゆきました。そこに女が現れ、私はお前のおばだが遊びにいらっしゃいという。寺に帰って和尚さんに話をすると、おかしいねおまえには叔母はいないはずだが、ひょっとすると山姥かもしれないのでお札を持って行きなさいと小僧にお札を渡しました。小僧は山のおばのお家に行きました。御馳走ができるまで待っていなさいとうので、隣の部屋から覗くと山姥が湯を沸かして包丁を研いでいました。小僧は山姥に違いないと思って逃げようとしましたが、捕まりました。腰を縄で結わえられた小僧は便所から逃げようとして、縄を解いて柱に結び付け、お札に返事をするよう言いつけて逃げました。山姥はまだかというとお札はまだだと答えます。何時までも便所に居るのはおかしいと思った山姥が縄を引っ張ると便所の柱が壊れました。小僧は一目散に逃げましたが、山姥が迫ってくるたびにお札を置いて、川に成れ、山に成れと言って、お寺まで逃げ帰りました。和尚さんは小僧をお経の箱の中に隠しました。手も足も出ない山姥に、和尚さんは化け比べをしようといって和尚さんは豆腐に、山姥は味噌に化けたところを素早く和尚さんは味噌をぺろりと食べました。

32) 古箕にふるしき、古太鼓
化け物が出るという噂の立った荒れ寺には住職もいません。度胸のいい旅人が一人この寺に一夜の宿を雁に来ました。村の人は止めた方がいいと言いましたが、なに構うものかと言って泊まりました。夜も更けて古太鼓がごろっと鳴って、次にすごい音がするふるしきが出て、そして箕が出て藁に大きな音がして欠けたさわちがで揃うと、四ツがぐるぐる踊り出しました。夜が明けるるようになるとそれぞれ隠れてしまいました。 何のことはない、寺の古いものが出て踊っただけのことで、旅人は平然と寺を後にしました。

33) にわか入道
ある村で悪い狐がでて悪戯をして困っていました。狐には騙されないぞといっていた人が、河原で狐が赤ん坊を抱いた女に変身するのを見ました。男が路端の石をぶつけますと赤ん坊の頭に当たって死にました。おんなはどうしても承知しませんので、見誤ったかもしれないとして坊主になって詫びることになり、寺の和尚さんに頭を丸めてもらうことになりました。ところがその剃り方のあまりに痛いことで、ふと我に返ると、そこには赤ん坊も女もお和尚さんもいなかった。狐に騙されたのです。

34) 小僧と狐
昔ずいてんという名の小僧がいました。和尚さんが出かけたのでお寺の留守番をしていました。すると玄関でずいてんと呼ぶ声がします。賢い小僧さんだったので、本堂の窓から様子をうかがっていたら狐が戸を叩いていました。本堂に追い込んで捕まえようとすると、なんと二人のお釈迦様が立っていました。小僧は本当のお釈迦さまは念仏をあげると舌を出すというと、狐のお釈迦さまは舌を出しました。そして庫裏に行って食事をするとき狐のお釈迦さまはのこのこついてきました。まず行水をしましょうといって大釜の中に狐を招き入れて、蓋をして火を焚きました。和尚さんが帰って来た時には狐の丸煮が出来上がっていました。

35) 片目の爺
奥州の田舎に爺と婆が住んでいました。爺は右目が潰れた片目でした。ある晩遅く「婆帰ったぞ」といって左目の片目の爺が帰ってきました。婆はすぐこれは狐が化けたなと分かり、「爺は酔って帰ると、すぐに俵に入って縄をかけてくれというぞな」というと。狐の爺はそう言って自ら俵に入りましたところ、婆はきつく縄をかけて吊るしました。本当の爺が帰ってきて狐汁を二人して食べたということです。

36) たのきゅう
「たのきゅう」という旅役者が、母を故郷に残して稼ぎの旅に出ていました。母親が病気になったという知らせを受け取り急いで帰る途中、大きな山の麓の茶屋の婆さんが、この山にはうわばみがでるのでもう今日は遅いので泊まって山越えは翌朝にしなさいと言った。しかしたのきゅうは少しでも急ぎたいので山道に入り、峠で一休みをしました。そこへ白髪の爺さんが出てきておまえは誰だと問いかけました。「たのきゅう」ですと言うと、老人は狸と聞き間違えて、実は私も人間ではない、うわばみじゃといいました。一つ化けてみてくれといいますので、たのきゅうは芝居で使うお面をかぶって踊りました。そして世間話をしてうわばみはお前の嫌いなものは何だと聞きますので、たのきゅうは小判だといいました。うわばみの嫌いなものはたばこのやにと柿の渋だと言いました。人間には言うなと言って姿を消しました。これはいいことを聞いたと思って翌朝一気に山を下りて村の人にこのことを告げると、村人はうわばみ退治の用意をしました。これを知ったうわばみは山から逃げて、たのきゅうの家に行き小判を山ほど投げ入れて、仇討ちをしたつもりで退散しましたとさ。

37) 化けくらべ
お花という狐と権兵衛という狸が化け比べをしました。明日の夜明神様の境内で会うことになり、お花狐は精一杯きれいな娘に化けて、明神様の鳥居の前までくると、その前に湯気を立てたおいしそうな饅頭が落ちていました。狐は思わず饅頭を取って食べようとすると、「勝ったぞ」と饅頭が口をききました。権兵衛狸が饅頭に化けて、食いしん坊のお花狐をだましたのでした。

38) 猫と狩人
狩人の家で古猫を飼っていました。大きな古猫ほど横着なものはいません。戸棚の魚は盗むし、犬を追いかける、子どもにとびかかるなど悪戯が度を越していました。そこで御かみさんにこっぴどく叩かれて恨みに思い仕返しをしようとしました。狩人が鉛を溶かして鉄砲の玉を13個こしらえたのを古猫はじっと見ていました。かりゅうどが鉄砲と玉を持って山に入るると、大きな岩の上に見たことのない獣がいました。狩人は鉄砲をどんと打ちましたが、当たったはずなのに獣はまだ立っています。狩人は続けさまに13発撃ちましたが、それでも獣は立っています。狩人には「守り玉」と言って最後の一発を肌身離さず持っています。それを籠めてドンと打つと確かに獣は倒れました。なんとそれは自分の家の古猫だったのです。古猫は玉は13発だと勘定して、茶釜の鉄の蓋を盗んで楯にして玉を防ぎ玉が無くなったら襲い掛かろうとしていたのです。守り玉を持っているとまでは知らなかった古猫の知恵の限界でした。

39) 湊の杙
三河の平坂の湊に悪い狸が杙に化けて、船頭が杙に縄を巻き付けると、そのあと舟を流してしまうのでした。湊の元気のいい者が狸退治に乗り出しました。夜船を岸に近づけ、杙がないところに行って杙がないと大きな声で言うと、ひょこと杙が出て来ると荒縄で杙をぐるぐる巻きにして棒で杙を滅多打ちにすると狸の化けの皮がはがれました。

40) 味噌買橋
乗鞍岳の麓に長吉という正直な炭焼きがいました。夢で高山の味噌買橋に行けがきっといいことがあるというお告げでした。炭を背負って橋のたもとで何日も経っていましたが何にもいことはありません。橋のそばの豆腐屋ががやってきて、どうしてここに立っているのかとと聞きました。長吉は夢の話をしましたが、豆腐屋は笑って「お前さんはどうかしてるよ、私もこの前夢を見て乗鞍岳の麓の村の長吉という炭焼きの家の傍の杉の木の下に宝物が埋まっているという夢さ。夢なんてあてになるものか」と言いました。長吉はハッとして家に飛んで帰り、杉の木の下を掘ると、金銀の財宝が出てきて、たちまち長者になりました。(この話は実に虚を突く話です)

(つづく)
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文芸散歩 柳田国男著 「日本の昔話」(改訂版) (角川ソフィア文庫1960年5月)

2017年12月29日 | 書評
「日本の伝説」姉妹編、「むかしむかし、あるところに・・」で始まる全国で語り継がれた昔話106篇 第4回

21) 黄金小臼
奥州みぞろヶ沼のほとりに二人の兄弟が住んでいました。兄はすこし愚かで弟はこざかしい男でした。弟は兄を追い使って草刈りばかりさせていました。兄が沼のほとりにいると、沼から美しい女性が現れて一通の手紙を御駒が嶽のふもとにある八郎が沼に住んでいる姉妹に渡してくれるよう依頼しました。兄は手紙をもって八郎が沼に行き、手を叩くと池の中から美しい女性が現れ手紙を受け取りました。そして手紙に書いてあるとおり、何時もお世話になっている男にお礼として石の挽臼を渡しました。この臼は一粒のコメを入れて挽くと黄金が一粒でてくる魔法の臼だったのです。これを見た欲の深い弟は兄のいない時に臼を取り出し、一挙に金持ちになろうとお椀に一杯の米を入れ挽きますと臼はコロコロ転がって小池に沈みました。

22) はなたれ小僧様
肥後の国の貧しい木こりの爺がいました。薪を採って町に売りかすかな暮らしをたてていました。薪が売れない時は町の中を流れる粟に薪を投げ込んで帰りました。するとある時川から美しい女が出てきて、「いつも薪を竜神様に供えてくれてありがとう、竜神様からこの鼻たれ小僧をご褒美に上げるから、毎日えびの膾を挙げると、何でもいうことを聞いてくれます」という事でした。爺ははなたれ小僧を大事に育て、お米でもコ小遣いでも頼むと、鼻をかむようにして出してくれました。こうしてなに不自由ない暮らしができると爺は仕事もやめ安逸に暮らしました。そのうちはなたれ小僧のお世話をするのもおっくうになって、はなたれ小僧を竜神様にお返ししようとして追い出しました。すると鼻他小僧が家の外でスーと息を吸うと、家も物も全部消えてなくなりもとの貧乏な爺だけが残りました。

23) 蛇の息子

富山の町に子供のいない爺と婆が住んでいました。ある時蔵に行くと一匹の蛇の子がいました。かわいいので蔵でコメでもやって飼うことにしました。「シド―」となずけた蛇はだんだんおおきくなり、今では蔵に入りきれないほど大きくなりました。そこで因果を含めてシド―を蔵から外へ出すことにしました。シド―は何処ともなく出てゆきました。ある時神通川の舟橋に大きな蛇がとぐろを巻いて通行人も怖くて近寄れない騒ぎが起り、殿さまはこの蛇を退治したら褒美の金を与えるお触れを出しました。爺と婆はきっとシド―に違いないと思って、舟橋に行きシド―に話しかけました。みんなの迷惑になるのでここを去るように説得されたシド―は大海に向かって去りました。そこで爺と婆は殿さまより大金を戴き一生安楽に暮らすことが出来ました。

24) 水蜘蛛
奥州の沼である人が釣りをしていると、たくさんの魚が釣れ魚籠は一杯なり、もうこれでいいだろうと足を沼の水に浸して一休みをしていると、どこからともなく水蜘蛛が現れ吊り人の足の指に蜘蛛の糸を巻き付けました。釣り人ははこれに気がついて糸を柳の木に結わえました。そして水蜘蛛がみんな来いと呼びかけると魚籠の中の魚が一斉に飛び出し、エントエンヤラサーという掛け声とともに柳の木が倒されました。それからこの沼で釣りをする人はいなくなりました。

25) 山父のさとり
一人の桶屋が外で仕事をしていると、一つ目一本足の化け物が現れました。桶屋はこれが山父というものだなと思って震えていました。すると山父は桶屋の思うことがすぐにわかるらしく、桶屋は益々怖気ついて震えて、思わず手に力が入り箍の竹がはねて山父の顔を叩きました。これには山父がびっくりして「人間は時々思わぬことをやるからこわい」と言って逃げかったという事です。(なんか脳科学の話を聞いているようです)

26) 飯食わぬ女房
桶屋の男が飯を食わない嚊がほしいと独り言を言うと、その夜女が来て、よく働いて飯は食わないから嫁にしてくれと言いましたので、女房にしました。それから確かに飯は食った様子はないのですが、コメと味噌がどんどん減ってゆきます。おかしいとおもって外に出るふりをして、天井から家の様子を伺っていると、女は蔵からたっぷりの米と味噌をもってきて、おにぎりとみそ汁にして、髪をばらして頭のてっぺんの口を開いて流し込み、後は髪を元通りにして何食わぬ顔をしています。そう女は山母(山姥)だったのです。そこで桶屋は女を追い出そうとして、逆に桶の中に閉じ込められ山へ連れ去られました。なんとか逃げようとしましたが桶が深いので出られませんでしたが、山母が桶を木立において休憩しているとき枝を掴んで外に出て里に向かって逃げました。ところが気が付いた山母が桶屋を追いかけましたので、草叢に逃げ隠れました。山母が草叢に飛び込んだ時、菖蒲の葉が右目を、蓬の茎が左目を突き破って山母はメクラになり谷に落ちて死んだそうです。そこで5月5日の節句には蓬と菖蒲で屋根をふき、湯にその葉を入れて厄を落とす習わしが始まったそうです。

27) 牛方と山姥
牛方がたくさんの塩鯖を牛の背に積んで町に売りに出ました。峠で山姥に出会い、塩鯖を全部食われ、そして牛まで食われて、自分も食われそうなので必死に逃げました。沼の端の木の上に隠れていると山姥は沼に映った牛方の影を牛方と思って沼に飛び込みました。この間に牛方は必死に逃げ、山の仲の家に入り天井に隠れてたのです。この家は山姥の家で、山姥が帰ってきて囲炉裏の傍で餅を焼いて食い、木の櫃の中で眠ってしまいました。牛方はその中に煮えたぎった湯を注いで山姥を殺しました。

28) 人影花
貧しい生活をしていた夫婦がいました。盗賊に妻を盗まれ3年間妻を差がいて旅をしました。そこに白髪の老人が現れ、妻の居場所を教えてくれました。そこは盗賊の大きな屋敷で、再会をした夫を空の甕に入れて隠し蓋をしました。この家にはアスナロ―という不思議な花があって男が来ると男花が咲き、女が来ると女花が咲きます。盗賊が帰ってきて男花が二つ咲いていることに不審に思いましたが、妻は男の子ができたせいだと騙して、強い酒を飲ませて眠らせました。そして夫を甕から出して、刀で盗賊を刺殺しました。夫婦はめずらしいアストローという花を御殿様に進呈し、褒美に千人の人と千頭の馬を殿さまから拝借し、盗賊の家から宝物を全部運びだしお金持ちになったということです。

29) 天道さん金ん網
母と三人の子どもが住んでいました。母が留守の時山姥が現れ、一番小さな子を食べ、二人の子は井戸の傍の桃の木の上に逃げました。山姥は木を登り始めると、おいつめられた二人の子は「天道さん金ん網」と大声で叫ぶと天から鉄の鎖が下りてきて子供らを天に上げました。山姥も同じように叫びましたが、腐った縄が下りてきてそれにつかまった山姥は高いところから落ちて蕎麦畑の石垣に頭をぶつけて死にました。そのときから蕎麦の茎は真っ赤になったのです。

30) 山梨の実
母と三人の娘が住んでいました。母親は病気で今にも死にそうになって、最後のお願いに山梨の実が食べたいと言いました。娘たちが山梨を採りに行くと言いますと、母親は途中で嫁御が出てくるので言うとおりにしなければならないと言いました。まず一番上の娘が出かけますと、嫁御がでてきて、行けと戻れを繰り返しますので、短気を起して無視して前に進もうとするとその嫁御に食われました。一番上の姉が帰ってこないので二番目の姉が出かけると同じように嫁御は行ったり戻ったりの繰り返しを命じます。短気な二番目の姉も食われてしまいました。最後の3番目の娘が出かけ、嫁御の言う通り辛抱強く繰り返していますと前へ進めと嫁御が言い続けるので、ついに野の中に山梨の実を見つけ持って帰りました。母親はそれを食べて元気になり親娘二人は幸せに暮らしました。末子成功譚の一つです。

(つづく)

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文芸散歩 柳田国男著 「日本の昔話」(改訂版) (角川ソフィア文庫1960年5月)

2017年12月28日 | 書評
「日本の伝説」姉妹編、「むかしむかし、あるところに・・」で始まる全国で語り継がれた昔話106篇 第3回

11) 鷦鷯も鷹の仲間
鷹が酒盛りをやっているところに小さな鷦鷯も加わりたくて行ったところ、鷹は小さな鷦鷯をばかにして、猪を獲ってくれば仲間に加えてやると言いました。そこで鷦鷯は猪の耳の中に飛び込むと、猪は苦しくて狂ったように走り出し岩にぶつかって死にました。それで鷦鷯は大きな顔をして鷹の仲間に加えてもらいました。この時大きな熊鷹が小さな鷦鷯に負けてなるものかと、二匹の猪を両足で掴んだのですが、二匹の猪が勝手な方向へ逃げ出したため、熊鷹は体を裂かれて死にました。

12) 狸と田螺
狸と田螺が揃って伊勢参りに出かけました。そして伊勢大神宮まで駆けっこをしようという事になり、田螺は素早く狸の尾の中に隠れました。狸は鳥居まで来たとき自分が勝ったと思いうれしくてしっぽを振ると、田螺は石にぶつかって殻が割れました。田螺は見え坊で痛いの我慢して「遅いじゃないか、僕は先ほど着いて肩を脱いで休んでいるところだ」と言いました。

13) 貉と猿と獺
貉と猿と獺の三人が揃って弥彦詣りに出かけました。その途中で三人は拾い物をしました。茣蓙1枚と塩1叺と豆1升ですが、これをどう分配するかでもめましたが、賢い貉は、猿さんはは茣蓙1枚を以て木の上に登ればいい、獺さんは池に行って詩を相手魚を浮かせたらどうか、自分は豆でいいと提案しました。猿は茣蓙をすべらせ木から落ち足を怪我しました。獺は塩を振ってから池に入ったので目が真っ赤にただれました。貉は豆をたらふく食いました。

14) 猿と猫と鼠
爺は婆が織った木綿を町にもっていって売る生活をしていました。ある時山道で猟師が木の上の猿に狙いをつけうとうとしていますが、猿は手を合わせて逃がしてくれと頼んでいます。爺はかわいそうに思って猟師を止めようとしたとき鉄砲は爺の肩を抜きました。驚いた猟師は逃げだしましたが、猿たちは爺を介抱し、御馳走をしてくれ爺は元気になりました。爺が帰る時猿は「猿の一文銭」という金持ちになる宝物を与えました。それから爺と婆の家は裕福になりました。これを見た近所の人がこれを盗み出しました。爺と婆はこの「猿の一文銭」を探し出すため、まず猫に命じました。猫は鼠に命じて箪笥の中にある宝物を探し当てました。

15) 猿と蟇との餅競争
正月近くになると里ではお餅を搗く威勢のいい音が聞こえてきます。やまの猿と蟇は相談をして餅を手に入れるために里に下りてきました。庄屋の家に入り、まず蟇が池にどぶんと飛び込みました。庄屋の家の人が池の周りに集まってきたのを幸いと、猿は臼ごと餅を掴んで山の中へ逃げ込みました。そこで足の速い猿は蟇に言いました。臼ごと谷に向けて転がして早く掴んだ方が全部取るのはどうかと持ち掛けました。蟇は自分がのろいことは十分承知の上で合意しました。臼が転げるにつれ中の餅が木の枝に引っ掛かりましたが臼だけは谷に転がってゆきました。猿が追いかけたのは空の臼で、蟇はまんまと餅を全部独り占めしましたとさ。

16) 古屋の漏り
爺と婆が雨漏りのする古い家に住んでいました。爺と婆は虎狼より怖いのは「古屋の漏り」だと話をしているのを、外にいた虎と狼が聞きました。俺たちより怖い「古屋の漏り」という化け物がいるようだ、油断がならないと思いました。ちょうどそこへこの家に入ろうとしていた馬盗人が馬だと思って虎の背中に飛び乗りました。驚いた虎と猪はこれが古屋の漏りだともい込んで一目散に駆け出し、途中も道端の古井戸の中へ盗人を落としました。そこに猿がやってきて何をしているのだ虎と狼に聞くと、この井戸に古屋の漏りという化け物を落とした。猿はよし俺がが調べてやろうと、長い尻尾を井戸に降ろして探りました。穴の中の盗人はしっぽをしっかりつかんだので、猿は驚いてしっぽを引くと根元から切れてしまいました。猿の尻尾が短くなったのはこの時からだといいます。

17) 猿婿入り
山の畑で働いていた爺が、畑仕事の手伝いがほしくて、手伝ってくれたら三人ある娘の一人を嫁にいぇるがと独り言をつぶやきました。これを聞いた猿がせっせと手伝いました。三人娘と相談すると、一番下の娘が結婚を承諾し、嫁入り道具に縫い針をたくさん入れた壺を持ってゆくことになりました。山に向かう嫁入り道中で、一本橋が細いので、ちょっと壺に手が触れた猿はびっくりして川に落ちました。(この話は何かが抜けていて理解不能です。脚色して書きましたが、これでは騙しであって善意の猿の恨みを買う)

18) 鷲の卵
百姓の爺には一人の娘がいました。稲代を見回っていると蛇が蛙を追いかけ田を荒らしていました。蛇よ蛙を追うな、娘を嫁にやるからと言いますと、蛇はおとなしく帰ってゆきました。そのよから娘のところへ蛇の婿殿が通ってくるようになりました。ある日家の前を見かけない易者が通るので、この婿殿の素性を聞いてみました。易者が言うには娘は人間でない婿を取って、人間でない子を産もうとしている。裏の山の木の上でわしが卵を産んでいるからそれを飲めば娘の身体もよくなるというということでした。そこで爺は婿殿に鷲の卵を取るように頼みますと、婿殿は蛇となって木に登り鷲の卵を二個とってきて、さらに三個目を取りに登った時爺はその蛇を突いて殺しました。易者はもうこれで娘さんは助かったと言いました。そして3月3日の節句に酒に桃の花を浮かしてのむとさらに娘は丈夫になってゆきました。この易者は助けてやった蛙でした。(娘が孕んだ蛇の子どもがどうなったのかは書かれてない。蛇は爺に何も悪いことはしていないので、爺は蛇を利用して後で殺したことになり、道徳性に一抹の不安を覚える)

19) 春の野路から
貧乏な爺が毎日働いて、今日は休みだから酒でも飲もうとしているところに、用事がはいり出かけなければならなくなった。徳利を下げて野原に出て石に腰を掛けると、足元に骸骨が転がっていた。この骸骨にも酒をやり歌を歌って慰めた。用事が終わってたそがれ時に同じ野原に差し掛かった時、美しい娘が立っていた。娘が言うには「私は3年前この野原で病気で倒れて死にました。今日は本当に楽しい思いをしました。で28日の実家の法事に一緒に来てください」というので、爺は娘の実家に行き、幽霊の娘の着物の陰に隠れて法事の御呼ばれを戴きました。そして娘がいなくなると爺の姿は親戚の人に丸見えになり、一部始終を爺は話しました。そして親戚・坊さまとともに骨を迎えにゆき、娘の葬式を執り行って娘の供養をしました。爺様はその娘の実家の世話になり老後を安泰に暮らしましたとさ。

20) 金の斧銀の斧
正直なきこりがいて、ある日池の傍で木を切っている時、鉄製の斧を池に落としてしまいました。すると池の中から白いひげのお爺さんが出てきて、落とした斧はこれかなと金の斧を見せましたが、爺さんはいやそれでないというと、つぎには銀の斧をみせてました。嫌私が落とした斧は鉄製だといいますと、白いひげ爺様はまた池にはいって、近、銀、鉄の斧を持って来ました。正直者のおまえには全部やろうと言いました。それを聞いた隣の欲張り爺は自分も金の斧を貰おうと思って池に行き、わざと鉄の斧を落としました。すると池の中から白いひげのお爺さんが出てきて、落とした斧はこれかなと金の斧をみせますと、欲張り爺さんはそうです金の斧ですと言って受け取ろうとしましたが、白いひげのお爺さんはお前はウソを言っている、金の斧も、銀の斧も、鉄の斧もやらんと言って池の中へ姿を消しました。

(つづく)
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文芸散歩 柳田国男著 「日本の昔話」(改訂版) (角川ソフィア文庫1960年5月)

2017年12月27日 | 書評
「日本の伝説」姉妹編、「むかしむかし、あるところに・・」で始まる全国で語り継がれた昔話106篇 第2回

1) 猿の尾はなぜ短い
昔、猿のしっぽは50-60mはあったそうです。ある時猿は熊に魚を捕るコツを教えてもらいました。それには寒い晩にしっぽを水の中に漬けておくことだというこおです。猿は教えてもらった通りに、しっぽを水に漬けて置いたら次第に重くなり、しっぽを引き上げようとしましたが抜けません。水が凍っていたのですが、無理に引っ張ったものだから、しっぽが根元から切れてしまいました。猿の顔が赤いのもその時頑張ったためです。

2) 海月骨なし
竜宮のお妃がお産の前になって、猿の肝が食べたいと言いました。家来の亀が猿をだまして竜宮につれてくる役を引き受けました。猿に御馳走をいっぱい食べさせてあげると嘘をついて、亀の背中に載せて竜宮につれてきましたが、門番の海月(クラゲ)がこっそり猿に「おまえさんは肝を取られるためにやって来た」と教えますと、猿は亀に肝を陸の木に置き忘れてきたので取りに行くと言って、また陸まで送らせました。そこで亀はウソがばれたことを知り、竜宮の王様に報告しました。すると王様はクラゲの仕業に違いないと言って、クラゲは皮を剥がれ、骨を抜かれて、とうとう今のクラゲの姿になったそうです。

3) 雀と啄木鳥
雀と啄木鳥は姉妹であったのですが、親の危篤の知らせを受けお化粧も放り出して飛んできたので親の死に目に間に合いました。啄木鳥は念入りにお化粧していたので間に合いませんでした。だから雀の姿はきれいではありませんが、人の傍で暮らして穀物を食べる事ができますが、啄木鳥は森の木を叩いて苦労して虫をとっています。夜は嘴が痛いよと言って泣いているのです。

4) 鳩の孝行
鳩の息子はねじけ者で親のいう事の反対の事ばかりしています。親はいよいよというときになって、反対のことをするだろうとおもって「川原に墓を作ってくれ」と頼みました。ところが親が死ぬと息子は急に反省をして親の遺言通りに墓を河原に作りました。水が出るたびに墓が流されそうで心配でとっぽっぽと鳴くのだそうです。

5) 時鳥の兄弟
時鳥の弟は大変兄思いでした。自分は薯の茎しか食わないで、兄には薯の一番おいしいところを食べさせました。ところが兄は弟がもっとうまいところを食っているのだろうと邪推をして、弟を殺してしまいました。弟の腹から出てきたのは筋だらけの薯でした。兄は反省して芋の季節になると、「弟恋し、ほって煮てくわそ」と鳴くのだそうです。

6) 時鳥と百舌
時鳥は沓を作る職人でした。百舌は馬方でした。百舌は毎度馬の沓を作ってもらっていましたが、代金を支払いませんでした。そのため時鳥は沓の代はどうしたと鳴くのですが、百舌は気恥ずかしくて時鳥が来る頃には姿を隠していなくなります。

7) 片足脚絆
「とくぼう」というなの鳥がいました。麦畑で穂を食べているといががのどに刺さって苦しみだしました。親鳥は脚絆を片方にしか履かず、急いで駆けつけたのですが、かいなくとくぼうは死にました。麦が稔る時期になると、親鳥はとくぼうと子の名を呼ぶのです。この鳥はいまでも片方の足だけの毛が生えています。

8) 雲雀の金貸し
雲雀は金貸しだったそうです。お天道様に金を貸しましたが、何時までも返して貰えません。雲雀はゼニクレ、ゼニクレと鳴いて上がりますが、お天道さんは暑いので、今度はクレー、クレーと言って降りてきます。

9) かせかけみみず
ミミズと蟇は着物を作ろうと相談しました。ミミズは細い糸で丁寧に作ろうといい、蟇は早く太い糸で作ろうと言いました。ミミズは細いいとでぐるぐると首の周りを編みましたがこんがらかって始末に負えませんでした。このため首の周りに縞模様が残っています。蟇が汚らしい姿をしてるのは粗末な着物のためです。

10) 梟染め屋
フクロウは染屋でした。真っ白な烏がきて美しい衣裳に染めてほしいと頼みましたが、梟は真っ黒に染めてこれが一番美しいと言い張りました。烏は怒って梟の姿を見ると追いかけまわしていじめる様になりました。

(つづく)
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