ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

ゴミに火をつけないで、政治に火をつけよ

2008年12月27日 | 時事問題
asahi.com 2008年12月27日2時7分
「就職決まらずストレス」 ゴミに火、容疑の大学生逮捕
 調べによると、19日午前1時45分ごろ、同区川名町4丁目の路上に置かれていた集積ゴミに、100円ライターで火を付けて焼いた疑い。「就職先が決まっていない。ストレスがたまっていた」などと供述しているという。

このような就職難の時代では、欧州ではとっくに暴動になっている。日本人はいつから飼いならされたのか 牙を抜かれた負け犬になってはだめ、政治に火をつけよ!

PRではよくあること 景気つけの「さくら」のどこが悪いの

2008年12月27日 | 時事問題
asahi.com 2008年12月27日7時1分
マック、東京2店でもバイト行列 「盛り上げたかった」
 日本マクドナルド(東京都)が新商品「クォーターパウンダー」の発売時にアルバイトを集めていたことが大阪で明らかになったが、東京都渋谷区内の臨時ショップ2店で11月に発売した際にも、アルバイトを集めて行列に並ばせていたことがわかった。同社は大阪のケースは「モニター調査」としていたが、今回は「発売日を盛り上げたかった」と、商品PRの演出だったとしている。


フィギュアスケート全日本選手権2日目 男子織田優勝 女子SP中野第1位につける

2008年12月27日 | 時事問題
asahi.com 2008年12月26日22時29分
男子は織田初V、女子SPは中野首位 全日本フィギュア
 フィギュアスケートの全日本選手権第2日がは26日、世界選手権(09年3月、ロサンゼルス)代表選考会を兼ねて長野市のビッグハットで行われ、男子で織田信成(関大)が初優勝した。
 女子SPは、中野友加里(プリンスホテル)がトップ。3連覇を狙う浅田真央(愛知・中京大中京高)は2位、4年ぶりの優勝をめざす安藤美姫(トヨタ自動車)は3位につけた。

読書ノート 梅棹忠夫著 「文明の生態史観」 中公クラシックス

2008年12月27日 | 書評
京都学派文化人を代表する文化人類学者 第5回

文明の生態史観 (1)

 1957年2月中央公論にでた本論文には多くの反響があった。アーノルド・トインビー氏の来日公演に触発され、西洋人の日本に対する理解があまりにお粗末な事に反発したそうである。冒頭に南北アメリカ、オーストラリア、南アフリカなどの新世界は後で考えるとして、話をユーラシア大陸の旧世界に限定した。世界を東洋と西洋に二分することはナンセンスで、イスラム社会を忘れている。日本は中国漢文明の亜流なのではない。日本文化の座標はどこにあるのだろうか、文化は由来(素材)だけでなく、共同体の生活様式という機能を持っている。「文明の生態史観」の特徴は東西文明と云う言い方は当を得ていないとして、第1地域と第2地域に分類したことである。第1地域とは封建体制のあとブルジョワの成長から高度資本主義体制の確立している地域である。第2地域とは資本主義的発展が未成熟で専制君主制か植民地であったか、植民地から開放された後も独裁体制にある地域である。第1地域は自発的発展で近代化し、第2地域では外因にかく乱されて変化しきた国である。巨大な乾燥地帯である。第1地域の両端にある日本と西ヨーロッパは独自に平行的に進化してきた。これを「平行進化」という。決して日本文明は西欧の後追いではなく、江戸時代から明治維新後の近代化はなるべくしてなった独自の文明であるという。第1地域は高度資本主義国で帝国主義的侵略をした国である。第2地域とは東欧州、北アフリカ、ロシア,中近東アラブ、ペルシャ、インド、中国、東南アジアは植民地か第1次世界大戦後の独立国または共産圏国であり、所謂後進国であった。第1次世界大戦後ロシア、オーストリア・ハンガリー、トルコ帝国は崩壊した。中国では清帝国は崩壊して国共内乱となった。ロシアではプロレタリア革命が起きてソヴィエトが誕生した。第1地域での共同体生活様式の特徴は高度資本主義である。封建制度の過程でブルジョアジーが資本蓄積し産業革命をおこした。第2地域では資本主義は未成熟で、帝政もしくは独裁制もしくは植民地であった。日本の封建制の歴史と西ヨーロッパの封建制の歴史が実によく似た平行現象がある。宗教改革、庶民宗教の成立、ギルドの形成、自由都市の発展、海外貿易、農民戦争など日本の室町時代から戦国時代にすべて起った。ただ江戸時代に鎖国をやったため膨大な富の形成が遅れてブルジョワジーの成長が妨げられただけである。資本主義の要素はすべて江戸時代末期には熟成していたといえる。第2地域での専制帝国の社会もよく似た様相であったのでこれも平行進化といえる。

読書ノート 今西錦司著 「生物の世界」 中公クラシックス

2008年12月27日 | 書評
棲み分け理論からダーウインの自然淘汰進化論批判まで 第9回

第3章 「環境について」

 この世界は物質的世界であり、その複雑な有機的統合体が生命である事は論を待たない。元素不滅の法則があり、この世の元素の変化した一つの形態が生命であるという論も成立する。生物は絶えず自らを作らなければならない。その生物的過程が滞りなく進行するには、外界(環境)から元素を絶えず取り込む必要がある。栄養とか繁殖とか云う生物としての根本的宿命が生命の特徴である。生物は生きること自体が目的である。この生物体と云う統合体が独立体系である(外界と区分されている)結果として、生物とその外界あるいは他の生物も含んだ環境と云うものが考えられる。生物は一人で完結して生きてゆけない。無限機械ではない。先ず生きるために食物が必要である。そして配偶者も見つけなければならない。それ自身で完結された独立体系ではなく環境をも包括した一つの体系を持つことで、そこに生物というものの具体的な存在のあり方が理解される。我々の消化器官は内臓ではなく外界の物を取り込む皮膚である。道具は手の延長であったように、生物自体が環境化しており、環境とは生物の延長である。中枢神経や感覚器官・筋肉などの運動器官は生きるために生み出された外界との接触器官である。こうして進化に助けられて、生物は自らの環境を拡大する方向に進んだ。環境の拡大とは認識できる世界の拡大であり、生きる生物の統合性や集中制を強化するためであった。運動能力の拡大で世界がずっと広くなり、食物を得る機会が増大する。主体的に環境を同化し世界を支配し、さら進化的に自己を環境に同化(順応)することが生物の特徴である。まとめると「環境とは生物が生活する世界であり、生活の場である。生物自身が支配している生物自身の延長である」ということができる。