ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

澤田研二 還暦コンサートで「憲法九条賛歌」を歌う

2008年12月01日 | 時事問題
asahi.com 2008年11月29日23時4分
還暦ジュリー9条賛歌 80曲6時間ライブ

 還暦を迎えた沢田研二「人間60年・ジュリー祭り」が29日、大阪市西区の京セラドーム大阪で開かれた。ザ・タイガースのボーカルで1967年にデビュー。40年以上のキャリアから「勝手にしやがれ」など計80曲を6時間以上にわたって熱唱し、約2万2千人の観客をわかせた。
 最新アルバムに収録されている自作詞の憲法9条賛歌「我が窮状」を披露。スタンドに1100人のバックコーラスを従える演出で、「我が窮状 守りきりたい」と歌い上げ、ファンも合唱した。

経済問題 春山昇華著 「サブプライム後に何が起きているのか」 宝島新書

2008年12月01日 | 書評
格付け信用の失墜とレバレッジ手法の終焉 世界の金融の中心は移動しつつある 第3回

1) 窮地に陥った欧米の金融機関 (1)

 ここ20年の米国国債(10年)の金利を見てみると1984年に14%であった金利は長期的な低下トレンドであり既に4%以下である。そして株価市場NYダウは20年間上昇相場を形成した。金利の低下は住宅ローン金利の低下となって住宅ブームがおき住宅価格は上昇した。金利の低下は企業の資金調達にかかるコストを下げ業績を飛躍的に向上させた。企業は潤沢な資金をもっており、ビジネスターゲットは企業から消費者へ移行した。金融技術が著しく発展し証券化という手法で、消費者に住宅や高マージンの金融商品を売りつけたのである。2007年度は金融業界にとって、住宅バブル、証券バブルを謳歌した2006年度の天国から一転して地獄へ突き落とされた年になった。2077年度の米国経済指標を見ると、GDP成長率は4.9%という高い成長率を示したが、製造業景況指数、ビジネスアウトルックや消費者マインド指数が下がり、設備稼働率は横ばい、失業率は5%に上昇した。住宅ローンの返済遅延が悪化すると証券化商品が格下げされ、証券化商品の値下げ、ヘッジファンドの証券化商品の投売りとなり、さらに値下げを加速した。証券化商品のバブル(銀行の特別目的会社SIVによるABCP証券発行の自転車操業)は止まって、銀行の資金調達は悪化した。英国ノーザンロック銀行では預金の取り付け騒ぎまで発展した。これを「信用危機」という。混乱を避けるためFRBやECBは公的資金を注入し続け現在は沈静化している。銀行の貸出基準の強化で貸し渋りという「流動性の危機」が発生した。短期金融市場では一時パニックになったが、中央銀行による量的緩和と大幅利下げによって2008年2月にはFF金利程度に下がり流動性危機は収まってきたようだ。1月多くの企業は景気後退局面リセッションになった途云う予想をしたため、景気の悪化懸念に対応して、FRBは大幅な金利引き下げを行った。FF金利は3%、10年国債金利は2%と低下した。米国の金利も日本並みにゼロ金利時代になるかもしれない。すると「ドルキャリー取引」を誘発し、大規模なドル売りが発生するかもしれない。


読書ノート 三村芳和著 「酸素のはなしー生物を育んだ気体」 中公新書

2008年12月01日 | 書評
27億年前、光合成によって酸素ガスが出来ると、生物は一気に進化した 第10回

3.酸素でエネルギーを作る生物の仕組みの進化

 生物がエネルギーを得る方法には、無機物から化学的にエネルギーを得る「独立栄養」、太陽エネルギーを光合成によって化学エネルギーに変える「光合成」、光合成生物が作った有機炭素化合物を摂取して代謝してエネルギーとする「従属栄養」の三通りある。 そして「独立栄養」、「光合成」、「従属栄養」は生物の進化の順でもある。エネルギーを引き出す量もこの順に大きくなるのである。ただ生物は食物を直接酸化しない。たくさんの代謝経路(省略)をへて食物から水素を取り出し、これを利用してエネルギーを取り出すのである。海水のナトリウム濃度が現在のように高くなったのは7億5000万年前である。細胞の膜には体内のナトリウムを排出するポンプの役割のたんぱく質がある。これがATP合成酵素に進化してプロトンを取り込んでATPを作るようになった。即ち電子伝達系という膜たんぱく質系で、生物は水素を電子供与体、酸素を電子受容体とするシステムを作って効率のよいエネルギー生産が出来るようになった。それを集中して行う器官としてミトコンドリア、葉緑体を持つ生物へ移った。このミトコンドリアという小器官はたんぱく質製造工場であるリボゾームと同様に親細胞とは違う独自の遺伝子情報を持つ。すなわち生物は共生菌からこのように特化した器官を導入したのである。21億年前に誕生した我々の先祖である真核性細菌の進化系統図を描くのは現在ではまだ難しい。おおまかにいえば、光合成細菌から分岐した真正細菌系と、古細菌系の二つの輪があるとされている。27億年前に生まれたシアノバクテリアから葉緑体が発生し、ミトコンドリアや葉緑体というエネルギー代謝に重要な細胞内小器官はいずれも光合成細菌に由来する。

文藝散歩  「ギリシャ悲劇」 中公新書・岩波文庫

2008年12月01日 | 書評
啓蒙・理性の世紀、紀元前5世紀都市国家アテネの繁栄と没落を描くギリシャ悲劇 第3回

丹下和彦編 「ギリシャ悲劇」 中公新書(2)


 俳優の独立は悲劇の芸術性向上に飛躍的な進歩をもたらし、演技コンテストが行われた。初期のアイスキュロスの「ペルシャ人」には劇中に合唱が占める割合はまだまだ大きかったが、劇の構成が、プロロゴス(導入部)、パロドス(合唱隊入場歌)、エピイソディオン(俳優による対話部)、スタシモン(幕間に合唱隊歌)、エクソドス(終結部)で演じられるようになった。エウリピデスは劇に最中に劇の筋道展開や解説・情報提供のために機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナを何回も登場させるのであった。紀元前5世紀の変り目にようやく常設の劇場が建設された。ローマ時代の石つくりの劇場ではなく木造の屋外劇場である。観客席は斜面を利用した。春になるとディオニュソス劇場は市民で満席になって、三日間三人の作家による観劇三昧となった。ひとりの作者が悲劇3編とサチュロス劇(笑劇)をかけるのである。上演費用は有力な市民の寄付と国家の援助によった。三日間の演劇が終わると選ばれた市民による審査が行われ優勝作がが選ばれる。ギリシャ悲劇は宗教性を持ちながら、アテネ市と云う共同体の構成員全員の参加による全市民的行事であった。ディオニュシア祭のギリシャ悲劇上演は自由、法、勇気、知という価値観を共同体が確認する社会的な存在でもあった。共同体の精神的統合のよりどころでもあった。こうして紀元前5世紀のギリシャ悲劇の特性として、宗教性、文芸性、社会性という三つの要素が見られるのである。日本の村祭りにもこのような要素は観察できる。劇が浄瑠璃であったり、能・狂言であったり、神楽・催馬楽であったり、歌舞伎であったりする。ただし日本では精神的統合という側面は非常に弱い。

自作漢詩 「初冬新寒」

2008年12月01日 | 漢詩・自由詩
初冬暮景澹斜     初冬暮景 斜暉澹たり

村路霜枝凍雀     村路霜枝に 凍雀飛び

病怯新寒堪夜永     病は新寒に怯え 夜の永きに堪え
  
双猫屋外噪空     双猫は屋外に 空飢に噪ぐ

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(赤い字は韻:五微 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)