ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

嘘つき格付け会社のいうことなんか、聞く必要は無い

2011年01月31日 | 時事問題
asahi.com 2011年1月30日19時40分
財政赤字削減、各国首脳が合唱 日本は沈黙 ダボス会議
 30日閉幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、先進各国の首脳らが財政赤字削減の意向を次々に表明した。欧州に集中していた不安感がほかの先進国にもじわりと広がっているからだが、日本はだんまりを決め込んだ。
 日本は27日に米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)に国債を格下げされ、国債金利の上昇に苦しむスペインより悪くなった。会議に参加した米ハーバード大のケネス・ロゴフ教授は取材に「労働人口が減り、政府債務が非常に多いことを考えれば、リスクを指摘しないと格付け会社の責任放棄になる。格付けは現実より遅れがちで、今回もそうだろう」と厳しい見方を示した。

 誰が見ても、日本およびアメリカの財政赤字は巨額である。特にアメリカの双子の赤字は持続不可能の経済で、自転車操業(キャッシュフロー)の極みである。それでもアメリカの購買力は莫大で世界経済はアメリカに依存し、ドルが崩壊すれば世界の経済も崩壊する可能性がある。事は重大である事は誰もが認識しているが、あのサブプライムローン問題で世界金融危機を起こした証券格付け会社(嘘つき会社、証券会社の提灯持ち)の信用は地に落ちた。その格付け会社が何を言おうと無視すればいい。菅首相もそういうつもりで無視し、疎い発言が出たと思う。また日本の国債は外国資本が買うことは少なく、殆どが国内ファンドが買い付ける商品である。買いもしない商品の格付けをしている、余計なお世話といいたい。

読書ノート アーサー・ケスラー著 村上陽一郎訳 「偶然の本質」 ちくま学芸文庫

2011年01月31日 | 書評
超心理学(超感覚知覚)はニューエイジサイエンスか、知の冒険か 第8回

3) ユングとパウリの同期性

 ユングにかなりの影響を与えたオーストリアの生物学者パウル・カメラの「みかけの暗合」とは、1919年「連繁の法則」という著書のなかで数多くの事例を挙げて、次々起る事象の連関性を述べた「法則的な反復」、「連続性の法則」と名づけられたことである。彼はそれらの事例を、連続して何回起きたかという「次数、並行して起きる事象の数「ベキ数」、共有している属性「パラメータ」で分類している。そして因果律と共存して宇宙を支配し、絶えず統一へ導こうとする非因果性原理が存在すると彼は宣言するが、根拠は何も無い。禁制原理の創始者であるパウリは「この原理は力学ではなく、数学である」という。つまり物質は脳の中の世界像である。心理学者ユングは若いときからESPと心霊の実験を行ってきたが、それが師フロイトの怒りを招いて二人は袂を別った。ユングは霊媒と亡霊を分けて考え亡霊は無意識の投影「表出現象」と考え、心理学の付録といった。1947年ごろにユングとパウリは共同研究で「共時性:非因果的連関の原理」を発表した。非常に世の中を驚かしたが、論文は面白い推理はあったが曖昧な結果に終り失敗であったといわれる。ユングは物理的な因果関係で説明できない現象は、すべて無意識の精神の現れであると説明しようとした。深層は「集合的無意識」で潜在的に所有する人類の記憶のようなもので、困難な事には人間の行動パターンを決定するという。非因果的原理を提唱しながら、二人は擬似的因果律で説明しようとした。西洋人が2000年以上も強い影響を受けているギリシャ哲学の論理的範疇は、アリストテレスが提出した範疇表がギリシャ語文法である事からから抜け出ることはなかった。文法脳という最近の脳科学が主張するように、民族の脳機能に堅く結びついているらしい。
(つづく)

文藝散歩 江藤 淳著 「荷風散策ー紅茶のあとさき」 新潮文庫

2011年01月31日 | 書評
永井荷風の小説世界を時空間より読み解く 第9回

「墨東綺譚」ー記録者と創作者 (2)

 昭和11年(1936年)の「断腸亭日乗」9月7日の項に「墨東綺譚」のテキストとなった内容が記されている。荷風散人は玉の井の私娼窟で、もと州崎の某楼の娼妓で上州なまりのある女に出会っている。小説で大江匡が女とであった因縁となった夕立は全くの虚構であるが、大江匡が「墨東綺譚」で演じている役割は記録者(語り手)にほかならない。作中小説「失踪」の時空間はほぼ完全に自由な小説空間である。大江匡が玉の井へ避難する理由としている「ラジオ放送」の騒音は、擬似的には政府の政治的宣伝放送を意味しており、明るく健全な国民歌謡という政治と道徳の宣伝道具のことである。むかし荷風散人が神代掃葉翁と毎晩のように風俗を観察した銀座界隈の空間は、もはや嫌悪すべき「新聞記者と文学者」が屯していた。政治からも道徳からも干渉を受けずにすむ玉の井の溝際の家の空間がある。そこにはたんに安息を与えるのみならず、同時に過去の幻影を再現させてくれる時空間があったようだ。「溝の汚さと蚊の鳴く声が私の感覚を著しく刺戟する」と小説に描写している。荷風散人は「墨東綺譚」で古色蒼然たる情話を語ると見せかけながら、実は同時代の言語空間、つまり禁止の構造を曝露して見せようとしていたのかもしれない。戦争に役立たない物を一切禁止する内務省警察の検閲を免れることは出来ないとすれば、大江匡という虚構に頼って言わしめるしかなかった。作者が主張してはいけないのであろう。他人の口から出た言葉としていうしかなかった。同時代の言語空間はとうにそのような小説の成立を許容しなくなっていた。谷崎潤一郎はもはや「戦後」に発表する小説を書いていたのである。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「寒 夜」

2011年01月31日 | 漢詩・自由詩
回想人生往時空     人生回想すれば 往時空なり

豈知今日白頭翁     豈に知らんや今日 白頭翁

双垂流涙三更月     双垂流涙す 三更の月
 
寒雁連江一径風     寒雁江に連り 一径の風


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(韻:一東 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)

CD 今日の一枚 福田直樹ピアノ演奏集2 「新型スピーカ試聴用 CD」 

2011年01月31日 | 音楽
福田直樹ピアノ演奏集2 「新型スピーカ試聴用CD」 
ピアノ:福田直樹
DDD 1997 FUKUDA CLUB


新世ハイブリッド型スピーカー「心」の試聴用デモCDだそうだが、私はこのスピーカーのことは何も知らない。スカルラッティ、モールアルト、シューベルトらの小ピアノ曲を6曲集めた。