ブログ 「ごまめの歯軋り」

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「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月30日 | 書評
紫陽花

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その43)

3)  箴言 (その5)

第21章: 王の心はエホバの手の内にあって水のごとく流れる。正義と公平を行うはエホバに悦ばれる。高ぶる目と驕る心は悪人の光にして罪なり。悪人の虐げは自己を滅ぼす。享楽を好む者は貧しき人になり、酒と膏を好む者は富を残せない。正義と憐憫を追求する者は命と正義と尊貴を得る。知恵ある者は強者の城を倒す。口と舌を守る(慎む)者は霊魂を守って患難に会わない。人は終日欲を図り獲ることを考え、義人は与えて惜しまない。
第22章: 嘉き名は大いなる富に優れり。恩恵は金銀より佳き。富める者、貧しき者を造り給いしはエホバなり。賢き人は禍を見て避け、拙者も進みて罰を受ける。悖れる者には荊と罠があり、霊魂を守る者はこれから遠く離れる。悖れる者には懲治の道がある。われ勧言と知識を含みたる勝れた言(箴言)をここに録した。怒るものと交わる勿れ、人の負債の保証人となる勿れ、先祖来からの地の境を変えるな。
第23章: 旨きものをたらふく食う勿れ、これ迷惑の食物なればなり。富を得んと思い煩う勿れ、富は必ず自ら羽が生えて天に飛び去らん、悪しき者の糧を食う勿れ、愚かなる者の耳に語る勿れ、古き地境を変えるな、孤児の畑を侵すなかれ、鞭を打ちて彼の魂を救うことができる。酒にふけり肉を嗜む者と交わる勿れ、汝の父母を楽しませ、汝を生める者を喜ばせよ。強い酒を飲んで夜更かしをするな。
第24章: 悪しき人をうらやむ勿れ、これと共に居る勿れ。知恵ある者は強し、知識ある者は力を増し、汝よき謀を持って戦え、勝利は識者の多きによる。悪をなさんと謀る者を邪曲なる者と呼ぶ。汝、弱き者、死地に引かれて行く者を救え、汝の魂を守るエホバこれを知らんはずはない。正しい者は7回倒れてもまた起きるが、悪人は禍に因りて滅亡する。知恵は家を堅く立てる、怠る人の葡萄畑を見るに石垣は崩れたままなのでこれを注意して教えた。汝の貧困は勤勉を教えられなかったことによる。
第25章: (ソロモンの箴言はユダの王ヒゼキアが編纂した。) 事を隠すは神の誉れ、事を極めるは王の誉れ、王の前より悪人を取り除け、王の前に高ぶること勿れ、貴人の場に立つ勿れ、位を下げられるのはみじめだから。隣の家の足繁く通うな、厭まれん。患難のとき忠実ではない者に頼ることはできない。心の痛める人の前で歌を歌くな、傷口に塩を塗るようなものである。北風は雨を起こし陰口を言う人は人を怒らす。

(続く)

「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月29日 | 書評
我が家のユリ苑

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その42)

3)  箴言 (その4)

第16章: 人の道は己の眼には悉く清しと見える。ただエホバ霊魂を図り給う。汝の作為をエホバに任せよ。さらば汝の謀ることは必ずなるべし。エホバを畏れることによりて人は悪を離れる。王の唇には神の審判がある。審判するときその口誤るべからず。王の怒りは死の使いのごとく、知恵ある人はこれをなだめる。悪を離れるのは直き人の道、おのれの道を守るは霊魂を守ることである。驕慢は滅亡に連なり、誇りは仆れに先立つ。知恵ある者の心己の口を教え、また己の唇に知識を増す。
第17章: 睦まじい家庭の一塊のパンは、争いごとばかりの家のぜいたくな肉料理に優る。貧者を侮る者はその創造主を侮ることである。人の禍を喜ぶ者は罪を免れない。人のことをあげつらう者は朋友を失う。争いの起源は堤から水を漏らすに似たり。争いの起こる前に先にこれを止めよ。争いを好む者は罪を好み、兄弟は危難の時に助け合うために生まれた。言の少なき人は知識在り、心の静かなる人は哲人なり。
第18章: 自己の欲する所のみを求め、すべての正しい判断から離れる事は愚かなるものである。愚かなる者は明哲を喜ばずただ己の主張が正しいと思い込む。悪者来たりて賤しめがやってき、恥が来れば凌辱も共に来る。愚かなる者の口は己の敗北となり、霊魂の罠となる。エホバの名は高き櫓のごとし、義者はこれに走る。
第19章: 正しく歩む貧しき者は唇の爛れた愚か者に勝る。心に思慮がなければ善からず、足にて急ぐ者は道に迷う。資財は多くの友を集めるが、貧しき者は疎まれる。偽りの証人は罰を免れない。人に媚びる者は多く、人に贈り物を与える者の友となる。貧しき者はその兄弟からさえ憎まれる。聡明は人に怒りを耐えさせる、過失を赦すは人の誉れなり。怠惰は人を飢えさせる。貧しき者を憐れむ者はエホバに喜ばれる。その施しはエホバが償い給う。人の喜びは施しをするにあり、貧しきは偽りに優る。
第20章: 酒は人をして嘲らせ、濃い酒は人をして騒がしむ。酒に迷わされるものは無智なり。王の怒りは獅子のごとく自己の命を害う。穏かにおりて争わないことが人の誉れである。愚かなる者は怒り争う。義人は身を正しくして歩みその子孫に幸いをもたらす。審判の位にあるエホバはその目をもってすべての悪を散らす。欺いて得た糧は人に旨し、されどにtにはその口は沙に満ちる。謀は相謀る(合議する)によって成功する。戦わんとするときはよく謀れ、エホバはよく見て偽りの秤を憎む。人の歩みはエホバによる。自分ではその道の良し悪しは分からない。妄りに誓いを立てる人は罠に陥る。王は恵みと真実をもって自ら保つ。

(つづく)

「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月28日 | 書評
コリウス(金襴シソ)

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その41)

3)  箴言 (その3)

第11章: 偽りの秤はエホバに憎まれ義しい分銅はかれに喜ばれる。驕ぶれば恥もきたる、謙譲に人は知恵あり。財宝は怒りの日には益がない。しかし正義は救いて死を免れしむ。直きものはその正義によって救われ、反逆者は自己の悪によって捉えらる。他人の保証をなす者は苦難をうけ、保証を嫌う者は平安なり。慈悲のある者は己の霊魂に益を加え、残忍者は身を亡ぼす。義人の願うところはすべて幸いにいたり、悪人の望むところは怒りにいたる。善を求むる者は恩恵を得、悪を求むる者は悪しきこと来たらん。
第12篇: 教えを愛する者は知識を愛す、懲戒を憎む者は獣のごとし。善人はエホバの恩恵を受け、悪しき謀略をなす者はエホバに罰せられる。人は悪をもって堅く立つことはできず、正しき人は揺るがない。直き者の口は人救い。悪しき者の家は倒される。義人は生命を顧みる、悪人は残忍をもって憐憫に代える。悪人は唇の咎によりて罠に陥る、義者は患難より免れる。知恵ある人は他者の勧めをいれるが、愚かなる者は怒りを表す。勉め働くことは人の貴き宝なり、義しき道には生命あり。
第13章: 知恵ある子は父の教えを聞き、戯に嘲る者は懲らしめを聞かず。その口を守る者は生命を守る。勉め働く者の心は豊饒である。義者は偽りの言葉を憎み、偽りをもって得たる財貨は減る。知恵ある人の教えはいのちの泉なり、よく死の罠を遁れる。貧乏と恥は教えを棄てる者にきたる。戒めを守る者は尊ばれる。善人はその産業を子孫に残す。義しき者は食を得て飽きる、しかし悪人の腹は空し。
第14章: 知恵ある婦はその家を建て、愚かなる婦はこれを毀す。直きものはエホバを畏れ、邪曲な者はこれを侮る。哲者は知識を得ること容易くし。賢者の知恵は己の道を知る。笑うときにも心に悲しみあり、歓楽の終わりに憂いあり。拙き者はすべての言葉を信じるが、賢者はその行いを慎む。その隣を卑しむ者は罪あり、困苦者を憐れむ者は幸いあり。エホバを畏れるは堅き頼みなり、怒りを遅くするものは大なる知識あり、気の短い者は愚かなことをする。貧しき者を虐げる者はその創造主たる神を侮ることになる。義は国を高くし、罪は民を恥かしむ。
第15章: 柔和なる答えは憤りを鎮め、激しき言は怒りを起こす。心に楽しき事あれば顔色よろこばし。憤りやすい者は争いをおこし、怠るものの道は紆余曲折、直き者の道は平坦なり。無智なる者は愚かなる事を喜び、哲者はその道を直くする。相議する者なければ謀は成功しない、議者が多ければ謀必ず成る。一人では謀はできない。
(つづく)

「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月27日 | 書評
フクシア(赤紫)

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その40)

3)  箴言 (その2)

第6章: 我が子よ汝もし朋友のために保証人となり、賛意を表するならば汝その口により罠にかかり、その口の言に捕らえられる。我が子よ汝の友の手に陥りなば自ら救え、相手をしっかり見つめその救済を求めよ。邪曲なる人悪しき人は偽りの言をもって事を行う。その禍は俄かに至る。エホバの心に嫌うもの7つあり、驕ぶる目、偽りをいう目、罪なき人の血を流す手、悪しき謀計をめぐらす心、速やかに悪に走る足、偽りを述べる証人、兄弟の内に争いを起こすものである。父母の戒めを棄てる勿れ、戒めを頸にかけておれ。それ戒めは燈火なり、法は光なり、教えの懲らしめは命の道なり。淫婦の諂いに騙されるな、隣の妻と姦淫するな。
第7章: 我が子よわが言をまもり我が戒めを汝の心に蓄えよ、我が戒めを守りて生命を得よ。智恵は我が姉妹、明理はわが友といえ。さらば淫婦に迷わず娼妓に遠ざからん。拙き者、若くて智慧の無い者の身を滅ぼしたる一つの例を示そう。彼が巷を過ぎ婦の門に近づくと、暗闇になかに娼妓の衣を着た狡そうな女が現れ、巷や広場の角に立って彼を引き寄せ接吻をし、我が床は美しい褥、エジプトの綾織で、没薬などの香水をふりかけてあり、明日の朝まで情を尽くして愛を通わさんと艶めきたる言葉で誘い掛けて来るのである。若い人がこの誘いに乗ったら最後、矢は肝を通し命を失わん。子等よ淫婦の道に傾くなかれ、さ迷う勿れ。
第8章: 拙き者よ汝ら聡明にあきらかなれ、愚かなる者汝明らかなる心を得よ。汝聴け我善ことを語らん、わが唇を開きて正しいことをいださん。われ智慧は聡明を住処とし、知識と謹慎にいたる。エホバを愛することは悪を憎むことなり。エホバを切に求むる者は我に至らん、エホバは義しき道に歩み公平な径の中を行く。これ我を愛する者に貨財を与えその庫を満たさん。エホバを得るものは生命を得、エホバより恩恵を得り、我を失う者は自己の生命を害い我を憎む者は死を愛するなり。
第9章: 拙劣をすてて生命を得、聡明の道を歩め。嘲笑者、悪人を攻めるな、反発を食らって自分がけがをするから。知恵あるものを攻めよ彼は汝を愛するだろう。汝知恵があるならそれは自分のために知恵があるからで、嘲るなら汝一人これを負わん。愚かなる婦は騒がしくかつ何事も知らない、また知恵なき者に向かいていう、盗みたる水は甘く、秘かに食う糧は美味なりという。
第10章: (ソロモンの箴言)
知恵ある子は父を喜ばす、愚かなる子は母の憂いなり。不義の財産は益なし、されど正義は救いて死を免れる。義者の首には福が来る。悪しき者の口は強暴を隠す。怨みは争いをおこし、愛はすべての咎を覆う。哲者の唇には知恵がある。知恵ある者は知識を蓄え愚かなる者は今にも滅亡を来たらす。義者の動作は生命にいたり、悪者の利得は罪に至る。義者は人を養い、愚かなる者は知恵なきに因りて死す。

(つづく)

「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」

2020年06月26日 | 書評
花しょうぶ

西欧哲学、文学、詩歌の原点となった智慧文学 五つの書

3) 「文語訳 旧訳聖書 Ⅲ 諸書」(岩波文庫2015年)   (その39)

3)  箴言 (その1)

ダビデの子イスラエルの王ソロモンの箴言、これは智慧と訓悔とを知らしめ哲言を悟らせ、聡き訓と公義と公平と正直を得しめ、拙者にさとりを与え、若き者に知識と謹慎とを得さしめるためである。知恵ある者はこれ聞きて学に進み哲者は知略をうべし。人これにより箴言と譬喩と知恵ある者の言とその隠語とを悟らん。エホバを畏れる者は知識の本なり。(モンテーニュやパスカルのモラリスト人間学に近い範疇の文学)
第1章: 愚かなる者は智慧を訓悔を軽んじる。我が子よ汝の父母の教えをきけ、これは汝の冠、首飾りになろう。我が子よ悪しき者汝を誘惑するも従う勿れ、そうでないと彼らは汝を殺し、生きたまま飲み込み、墓に持って行かれることになるからだ。我が子よ彼らとともに道を歩むこと勿れ、彼らは待ち伏せ命を狙う。我が戒めに従いて心を改めよ、彼らは汝の声に答えず颯のごとき患難と悲しみが汝を襲う。拙者の叛きは己を殺し、愚かなる者の幸いは己を滅ぼさん。
第2章: 我が子よ汝の耳を智恵に傾け心を悟りに向け、知識を呼び求め悟りを得んと努力するならば、汝はエホバを畏れることを悟り神を知ることを得る。エホバは知識と悟りをその口より出るものであるから。こうして汝は公義と公平と正直と一切の善を知らん。悪しき道より偽りを語る者より救われる。聡明は妓女より汝を救う。若き時の契約を忘れるな。悪人について行く者は帰らず。
第3章: 我が子よわが法を忘れる勿れ、汝の心に戒めを守れ。仁愛と真実を汝より離すこと勿れ、汝に平安と恩恵と誉れを得るによるなり。汝エホバにより頼め、汝の聡明に頼る勿れ。自らみて聡明とする勿れエホバを畏れて悪を離れよ。我が子よエホバの懲らしめを軽んじる勿れ、知恵は真珠よりも貴し、汝の財産もこれに比べるに足らず。智恵は銀よりも勝り、金よりも善きものなり。我が子よ聡明と謹慎を守れ、汝の魂の命になえい、汝を飾るものである。人もし汝に悪を為さずは汝之と争うこと勿れ。義者はその親しきものなり、義者の家はエホバに恵まれる。
第4章: 子等よ父の教えをよく聞け、聡明を知らんために耳を傾けよ、我善き教えを汝らに授く我が律を棄てるなかれ、知恵を得聡明を得よ。われ智慧の道を汝に教え、正しき道筋に汝に導けり。堅く訓悔をとりて離すこと勿れ、これを守れ。邪曲なる者の道に入る勿れ。汝の心を守れそれは生命の流れの源であるによりてなり。偽りの唇を棄て去り汝より遠く離せ。右にも左にも偏ること勿れ汝の足を悪より離れしめよ。
第5章: 我が子よ我が知恵を聞け、汝の耳我が聡明に傾けよ。汝謹慎を守り汝の唇に知識を保つべし。娼妓の口は蜜を滴らせ、その口は脂よりも滑らかなり。しかしその終わりは苦くもろ刃の刃のごとく利し。その足は死に下りその歩みは陰府に赴く。子どもらよ今我に聞け、娼妓の家に近づくな。汝は汝の家の水を飲め、汝の泉に幸いを受けしめ、汝の若き妻を楽しめ、かは美しき女鹿のごとく、その乳房もて常に足れりとしてその愛を持て喜べ。人の道はエホバの目の前にあり、彼はその行為を量りたまう。

(つづく)