ブログ 「ごまめの歯軋り」

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地方分権推進会議  国の出先機関の整理案を提言

2008年12月04日 | 時事問題
asahi.com 2008年12月4日3時11分
国の出先機関、地方振興局に集約 分権推進委が提言へ
 政府の地方分権改革推進委員会(丹羽宇一郎委員長)は3日、国の出先機関の統廃合について、国の業務を絞った上で、全国8カ所ほどの「地方振興局」(仮称)に集約するよう第2次勧告で提言する方針を固めた。振興局の肥大化を防ぐため、組織を企画・立案と執行の2部門に分けるほか、地元首長らによる「協議会」を設けて各振興局を監視する仕組みもつくる。
 分権委は、国土交通省の地方整備局や農林水産省の地方農政局など8府省15系統の業務を(1)廃止(2)地方に移管(3)中央省庁に吸収(4)存続、に分けて出先機関を「解体」。存続部分をできるだけ少なくし、振興局に集約する考えだ。

2008年11月20日発行 第0522号 特別
「霞ヶ関解体戦争」 
メルマガ:日本国の研究「不安との訣別/再生のカルテ」 編集長 猪瀬直樹 より

 地方分権改革は最大の正念場を迎えます。麻生首相は11月6日、地方分権委員会に対して「地方整備局、農政局は原則廃止」と指示をし、分権委員会でも12月上旬の第二次勧告に向けた議論が加速しています。07年4月2日の発足以来、分権委員会は延べ200時間を超える膨大な討議を重ねてきました。第二次勧告では、国の出先機関の見直しを提案します。省庁の抵抗はつよい。

 分権委員会で展開してきた中央省庁とのガチンコ対決が単行本になります。『霞が関「解体」戦争』(草思社刊、1600円+税)は明日11月21日刊行です。今回のメルマガは、本書から、珠玉の議論をダイジェスト。猪瀬VS官僚バトル満載の一冊、ご一読を。

■ケース2:こんな組織(出先機関)はもういらない

 国家公務員は霞が関にだけいるのではない。33万人のうち21万人の国家公務
員は地方にある出先機関にいる。たとえば国土交通省では2万人強が全国8つ
のブロックにある地方整備局の人員である。
 
 さらにブロック局とは別に下部機関が県や地域ごとに置かれている例が少な
くない。たとえば、農林水産省の地方農政局では全国に7つのブロック機関が
ある。その下部に県単位組織として農政事務所があり、さらにその下部機関と
して、地域課(旧食糧事務所の支所)や統計・情報センターと言われる組織が
置かれ、庁舎もブロック機関とは別に多数存在する。
 
 分権委員会でこれらを情報公開請求して明らかにさせ整理させたところ、地
域課は全国に132、情報・統計センターは176もあることがわかった。重
複を除いて農林水産省の出先機関の庁舎数を合計すると、なんと339カ所に
も上った。


読書ノート 辻井喬 上野千鶴子対談 「ポスト消費社会のゆくえ」 文藝新書

2008年12月04日 | 書評
セゾングループの歩みから日本の消費社会を総括し、ポスト消費社会の姿を探る 第1回


序(1)


 堤 清二(つつみ せいじ、1927年3月30日 - )は、日本の実業家。セゾングループ(旧・西武流通グループ)の実質的オーナー。文人社長としても知られ、小説家・詩人、辻井 喬(つじい たかし)の顔を持つ。財団法人セゾン文化財団理事長。日本ペンクラブ常務理事。日本文藝家協会常務理事。マスコミ九条の会呼びかけ人、憲法再生フォーラム共同代表、日中文化交流協会会長。父は西武グループの創業者堤康次郎。今年ですでに81歳をこえられた。次に堤清二氏の経歴をフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』から委しく見てみよう。

1927年、西武グループの創業者堤康次郎と、康次郎の妾・青山操の間に生まれる。青山は当時康次郎と内縁関係にあったが(のち入籍)、康次郎は5人の女性との間に5男2女を持つ。この事は父への反抗につながり、日本共産党入党や文学への傾倒へのきっかけとなっていく。また「父との確執と、父への理解」は、小説家としての辻井を貫くテーマともなっている。
東京府立第十中学校(現東京都立西高等学校)を経て成城高等学校 (旧制)(現成城大学)に進学すると、寺内大吉に兄事。東京大学経済学部入学直後、同級生であった氏家齊一郎などから勧誘を受け共産党に入党。横瀬郁夫のペンネームで積極的な活動を行っていた。共産党が所感派・国際派で分裂するなか、国際派の東大細胞に属し、党中央から除名される。この頃、自ら父に勘当を願い出ているが、それは康次郎に対する清二の「絶縁宣言」と言うべきものであった。 1951年東京大学経済学部卒業。その後、肺結核の療養を経て、衆議院議長であった父・康次郎の衆議院議長秘書を務める。1954年に西武百貨店に入社。1955年から取締役店長として百貨店を任される。同年、処女詩集『不確かな朝』を発表し文壇デビューを果たす。 1964年、父康次郎が死去。周囲からは清二が継承すると思われていた西武グループ総帥の座は、異母弟の堤義明が継ぐことになる。

経済問題 春山昇華著 「サブプライム後に何が起きているのか」  宝島新書

2008年12月04日 | 書評
格付け信用の失墜とレバレッジ手法の終焉 第6回

3) レバレッジバブルの正体 (1)

 2007年の証券化ビジネスは好循環からあっという間に悪循環に変わる地獄を体験した。米国経済は住宅価格の上昇によって、住宅ローンが多く組まれて証券化商品の価格が上昇した。それが証券化商品への投資利益を生んだ。同時に証券化商品の価格変動が少なかったので、証券化商品の規模が増大して、証券化商品の信用・価値が著しく増加したのである。それが「いけいけどんどん」の好循環バブルとなった。ところがこれが逆回転しはじめたのである。バブル崩壊である。一度値崩れをすると証券化商品の大量売り圧力となった。待ちは無い、脱兎の如く売り抜こうとする。皆が逃げ出す、誰も買わない、誰も金を貸さない証券化商品となった。住宅ローンの証券化ビジネスで儲けたのは、証券化の手数料を取る証券会社と、特別目的会社SPCをつかう銀行であった。住宅を買う消費者は銀行や住宅ローン会社とローン契約をする。銀行はこの契約を集めて、証券会社に売却する。証券会社はこれを証券に加工して高手数料を頂く。このMBSやABS証券に格付け会社やモノライン保険会社が信用を賦与してくれるのである。そして住宅ローンの支払い遅延リスクを広く証券に薄めてばら撒くのであった。債権投資家はこの商品がトリプルAだから投資した。モノライン保険会社が債権の最期のとりでであるはずだが、ここが破綻すればすべてが絵に書いた餅に化すのである。

文藝散歩 「ギリシャ悲劇」  中公新書・岩波文庫

2008年12月04日 | 書評
啓蒙・理性の世紀、紀元前5世紀都市国家アテネの繁栄と没落を描くギリシャ悲劇
第6回


丹下和彦編 「ギリシャ悲劇」 中公新書 (5)

1) アイスキュロス 「ペルシャ人」ー自由こそ (1)

 紀元前8世紀に成立したホメロスの「イリアス」でトロイ戦争の東西抗争事件を扱っているが、そこには東西の文化的社会的または政治的対立の構図は明確ではない。前5世紀初めのペルシャ戦争は、歴史家ヘロドトスは「歴史」の冒頭で、ギリシャ世界とアジア世界の東西戦争のいきさつと英雄的な結果を描くと宣言している。ギリシャ民族を表すヘレネスという言葉は前7世紀には使用されていたが、当時のギリシャ人の共通感覚にはオリュンピア競技会(前776年開始)などの文化的統一意識はあっただろうが、政治的国家的統一意識は極めて稀薄であったとみられる。異邦人(バルバロイ)という言葉は二度のわたるペルシャ戦争を契機として確立した。ペルシャ軍によるアテナイ占領はギリシャ人にとって未曾有の体験であり、両世界の認識がはっきりし、価値観を守るための防御戦争を英雄的に戦った。ペルシャ軍をサラミスの開戦とプラタイアの闘いで破った自信が、ヘロドトスをしてギリシャ民族の特質を自由、法、叡智、勇気の概念にまとめた。

自作漢詩 「小春日和」

2008年12月04日 | 漢詩・自由詩
至日偸一小     至日を偸む 一小村

朝陽負暖若春     朝陽暖を負い 春温の若し

木蓮黄葉無風落     木蓮の黄葉 風無くして落ち

枝上飢烏到昼     枝上の飢烏 昼に到りて喧なり 

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(赤い字は韻:十三元 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)