田母神敏雄旧航空幕僚長(空将)の「日本は侵略国家であったのか」を読んだ。全頁で9ページほどの冊子である。学生のアジビラみたいな文章である。国を憂うならば、こんな弁解じみた題名をつけてはいけない。堂々と「日本の百計」ぐらいの気概が必要です。半分以上が受け身の言い訳に過ぎないのに、これを「論文」といって囃す方がどうかしている。さて本文の吟味に入ろう。問題点を箇条書きに列記する。
1)1頁 「2国間で合意された条約があるから、多少圧力があっても日本は侵略したわけではない」と云う論点は、軍隊の銃砲で威嚇して書かせた条約と云う点を隠している。法治国家である以上、条約に拠らなければ他国に軍をおく事はできないのは常識である。それを侵略を受けた国の政治家が条約に判を押したといっても、軍の行為を美化できる者ではない。侵略者は自分を侵略者と呼んだことはない。今のアメリカのイラク侵略を見ればいい。それ以降の展開が真の目論みを雄弁に語っている。
2)2頁 「当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこにあるのか。日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない」ということは、日本国も侵略国家であった事を認めことである。その逆に何処の国も侵略国家ではなかったとすれば、それではどうして戦争になるのか。経済力で支配することは侵略といわないとしても、軍事力で支配することは侵略という事は万人が認めるだろう。従って9頁の「わが国が侵略国家だったなどと云うのは濡れ衣である」と居直っているが、これはこれも詭弁である。
3)1頁「蒋介石はコミンテルンに動かされていた」、6頁「アメリカのルーズベルト大統領はコミンテルンのスパイに動かされていた」とはとんでもない泣き言である。共産主義の恐怖のせいにすれば全て免罪されるというのか。日本が中国と戦うことやアメリカと戦うことがコミンテルンの陰謀であったいうが、それが戦略である。他国の戦略に負けたからといって泣き言を云うのは国を預かる者の云うことではない。昭和枯れ薄の引かれ者の泣き言「貧しさに負けた、いいえ世間に負けた」みたいに、どっちにせよ負けたのだろう。
4)7頁 「もし日本があの時大東亜戦争を戦わなければ、現在のような人種平等の世界が来ただろうか」というのは、正常な論理では繋がらない。日本は人種平等のために戦ったといいたいのだろうか。そうではない。遅れて先進国になった日本やドイツが植民地の分け前を要求して戦ったのが第2次世界戦争である。そんな高邁な人種平等と云う理想のために戦ったわけではない。アメリカが「人権」と言い出すたびに戦争が起こった。「人権」は戦争の口実であった。「人種平等」も先進列強の分け前を横取りするための口実に過ぎない。
5)1頁 「アメリカは日米安保条約により日本に駐留するから、これを侵略とは言わない」、8頁「日米関係は親子関係みたい」と云う論点は、アメリカが占領軍であった事を無視している。サンフランシスコ講和条約で日本は一度だってアメリカ軍の撤退を要求した事があるのだろうか。占領は侵略である。占領されて良かったと云う自虐的意見もないとは言えないが、当時の日本の支配階級がこれを是とした。そうでない選択肢はなかったのだろうか。
6)現に憲法9条がある事を終始無視している。自衛隊は国軍ではない。戦争はこれを永久に放棄すると宣言しているのである。自衛隊の幹部も憲法に従って行動発言していただきたい。
今の自民党政府と政治家の無能と腐敗をみていると、この大恐慌の時代を乗り切れかどうか不安に襲われる。その時自衛隊のクーデターがおき、政権奪取に至らないと云う保証があるのだろうか。民間右翼と自衛隊の結合が田母神敏雄旧航空幕僚長問題に見え隠れしている。それを防ぐには首相官邸の安全保障会議がどれだけ機能するのだろうか、これも問題である。今の自民党政府では手もなくやられるだろう。
1)1頁 「2国間で合意された条約があるから、多少圧力があっても日本は侵略したわけではない」と云う論点は、軍隊の銃砲で威嚇して書かせた条約と云う点を隠している。法治国家である以上、条約に拠らなければ他国に軍をおく事はできないのは常識である。それを侵略を受けた国の政治家が条約に判を押したといっても、軍の行為を美化できる者ではない。侵略者は自分を侵略者と呼んだことはない。今のアメリカのイラク侵略を見ればいい。それ以降の展開が真の目論みを雄弁に語っている。
2)2頁 「当時の列強といわれる国で侵略国家でなかった国はどこにあるのか。日本だけが侵略国家だといわれる筋合いもない」ということは、日本国も侵略国家であった事を認めことである。その逆に何処の国も侵略国家ではなかったとすれば、それではどうして戦争になるのか。経済力で支配することは侵略といわないとしても、軍事力で支配することは侵略という事は万人が認めるだろう。従って9頁の「わが国が侵略国家だったなどと云うのは濡れ衣である」と居直っているが、これはこれも詭弁である。
3)1頁「蒋介石はコミンテルンに動かされていた」、6頁「アメリカのルーズベルト大統領はコミンテルンのスパイに動かされていた」とはとんでもない泣き言である。共産主義の恐怖のせいにすれば全て免罪されるというのか。日本が中国と戦うことやアメリカと戦うことがコミンテルンの陰謀であったいうが、それが戦略である。他国の戦略に負けたからといって泣き言を云うのは国を預かる者の云うことではない。昭和枯れ薄の引かれ者の泣き言「貧しさに負けた、いいえ世間に負けた」みたいに、どっちにせよ負けたのだろう。
4)7頁 「もし日本があの時大東亜戦争を戦わなければ、現在のような人種平等の世界が来ただろうか」というのは、正常な論理では繋がらない。日本は人種平等のために戦ったといいたいのだろうか。そうではない。遅れて先進国になった日本やドイツが植民地の分け前を要求して戦ったのが第2次世界戦争である。そんな高邁な人種平等と云う理想のために戦ったわけではない。アメリカが「人権」と言い出すたびに戦争が起こった。「人権」は戦争の口実であった。「人種平等」も先進列強の分け前を横取りするための口実に過ぎない。
5)1頁 「アメリカは日米安保条約により日本に駐留するから、これを侵略とは言わない」、8頁「日米関係は親子関係みたい」と云う論点は、アメリカが占領軍であった事を無視している。サンフランシスコ講和条約で日本は一度だってアメリカ軍の撤退を要求した事があるのだろうか。占領は侵略である。占領されて良かったと云う自虐的意見もないとは言えないが、当時の日本の支配階級がこれを是とした。そうでない選択肢はなかったのだろうか。
6)現に憲法9条がある事を終始無視している。自衛隊は国軍ではない。戦争はこれを永久に放棄すると宣言しているのである。自衛隊の幹部も憲法に従って行動発言していただきたい。
今の自民党政府と政治家の無能と腐敗をみていると、この大恐慌の時代を乗り切れかどうか不安に襲われる。その時自衛隊のクーデターがおき、政権奪取に至らないと云う保証があるのだろうか。民間右翼と自衛隊の結合が田母神敏雄旧航空幕僚長問題に見え隠れしている。それを防ぐには首相官邸の安全保障会議がどれだけ機能するのだろうか、これも問題である。今の自民党政府では手もなくやられるだろう。