ブログ 「ごまめの歯軋り」

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読書ノート 安西祐一郎著 「心と脳-認知科学入門」 岩波新書

2012年07月31日 | 書評
心のはたらきを情報科学の目から見ると 第12回

2)認知科学の歩みー学説年代史 (7)
④ 1980年代ー進化(3)
 感情という心のはたらきについては定義さえあいまいで方法論もなかったが、1980年代になって感情論の問題がザイオンスとラザルスによって取り上げられ、感情の起る意味を意識下とみるか刺戟への対応と見るかの論争が起きた。ユクマンの感情の分類モデルは今でも有効であるとされる。他人の心を理解するはたらきを「社会性」というが、ブリマックらの「心の理論」は社会性のはたらきの発達や発達障害などの研究に応用された。精神医学者バロン・コーエンは自閉症の原因を心のはたらきの発達不全と捉えた。トマセロは子供にとって社会性のはたらきは知識・概念よりも先行すると主張した。他者を何かをしようとする意図を持った存在と理解することは、自分自身を主体と理解することと表裏一体の関係にある。霊長類学者リツォラッティは他人の行動を模擬する心のはたらきを「ミラーミューロン」と呼んだ。模倣、理解、感情移入などの心のはたらきに関連している。共感という心のはたらきの一部をなすようだ。人類の心のはたらきは進化してきたのは、複雑な対人関係や社会的関係の中で生きるために必要だったからだという考えが出てきた。バーンとホィッテンらが提唱した「マキャベリ的知性」、ブラザースの「社会脳仮設」がよく知られている。英国の人類学者ダンパーは脳の大脳皮質の発達進化と日常生活での社会集団の大きさには相関があると主張した。現代人の大脳皮質の大きさでは150人くらいの集団であるとするダンバー指数を主張した。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「夏 雲」

2012年07月31日 | 漢詩・自由詩
西州中伏熾炎威     西州中伏 炎威熾に

溽暑如湯計已非     溽暑湯の如く 計已に非なり

赤日燎空憂旱魃     赤日空を燎き 旱魃を憂い

白雲飛火湿麻衣     白雲火を飛し 麻衣を湿す


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(韻:五微 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)