ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

佐賀県の古川康知事は官僚出身です。だから原発推進派なのです。

2011年07月31日 | 時事問題
佐賀知事やらせ誘発 「発言軽率だったが依頼ではない」
 九州電力の「やらせメール」問題で、佐賀県の古川康知事は30日、記者会見を開き、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を巡る国の説明番組放送前に、九電副社長らに「この機会に再開容認の声を出すべきだ」と促していたことを明らかにした。この問題を調査している九電の第三者委員会は同日、知事の発言が結果的にやらせメールを引き起こしたとの見解を発表した。
第三者委の郷原信郎委員長(名城大教授、弁護士)によると、大坪支社長が作成した古川知事との会談メモには、知事の発言として「インターネットを通じて、賛成意見も集まるようにしてほしい」と記録されていた。

官僚出身の知事の如何に多いことか。旧通産・旧自治「2強時代」…官僚出身知事は6割超す(2007年読売新聞)中央直結自治、3割自治など地方自治の中央支配の実態を如実に示している。したがって知事から原発推進という声が出てくる。佐賀県の古川康知事は自治省出身で旧通産出身ではないはずだが、国策と電源三法による補助金の流入には逆らえなかったようだ。

読書ノート 室田 武著 「原発の経済学」 朝日文庫

2011年07月31日 | 書評
高コスト、石油を多消費し、核兵器並みの危険性を持つ原発 第2回

1) 原子力利用と原発 (1)

 この章は室田氏が物理学科出身でなければ書けないような、原子力利用開発史のドキュメントとなっている。原子力利用は最初から核兵器開発で始まったという人類の不幸な歴史を書くことになる。1940年次々と人工的に新元素が生み出された。カルフォニア大学のエーヴェルソンらはネプツニウムを、シーボーグらはサイクロトロンで加速した重水素をウラン238を衝撃した結果プルトニウムを得た。これらの実験は軍事機密下に置かれた。天然ウランにも極微量ながらプルトニウムの存在が見出され、ウラン238が中性子を吸収したためである事が分った。中性子によるウラン235の核分裂連鎖反応は1938年にドイツでも確認されていたが、亡命したハンガリー人のシラードが、ナチスが核兵器を作る前に、アメリカが核兵器を開発すべきであるとアインシュタインに進言したという。核兵器開発はウラン235の核分裂を利用する方向と、もうひとつの方向はウラン235の核分裂によって生成される中性子をウラン238に作用させてプルトニウム239を作り、プルトニウムを抽出分離して核兵器原料とする方向である。核兵器は飛行機で運搬可能という条件を満たすために、小型軽量化できるプルトニウム爆弾のことで、ウラン爆弾は製造されていない。プルトニウムが核兵器の原料であるとすれば、日本はいまや原発廃棄物からフランスでプルトニウムを回収してもらってプルトニウム保有大国になっている。隣の北朝鮮がわずかばかりのプルトニウムをかき集めて線香花火のような核実験?を行なっているが、日本は潜在的な核兵器大国の一歩手前で止まっている。
(つづく)

読書ノート 朱建栄著 「毛沢東の朝鮮戦争」 岩波現代文庫 

2011年07月31日 | 書評
中国義勇軍が鴨緑江を越えるまで 第11回

5)1950年10月1日-5日 政治局での大論争と毛沢東の勝利(2)

 国連軍が38度線を突破して北に侵攻したという情報が飛び交う中で、10月3日労働党常務委員内相の朴一兎が金日成首相、朴憲永外相が連署した親書を持って北京の到着し毛沢東に面会した。毛沢東は義勇軍総司令官に栗裕を考えたが病気療養中ということで辞退し、9月末時点で林彭に就任を要請したがこれも病気を理由に辞退された。そこで10月2日の拡大書記局員会議では彭徳懐を指名し、満場一致で総司令官就任を要請する決定を行なった。林彭は智将、彭徳懐は猛将と並び称されるライバル意識を利用したようだ。10月4日政治局拡大会議が開催され、急遽彭徳懐が北京に呼び寄せられた。毛沢東は粘り強く反対派への説得を続けたが、その日は結論が出ず、翌日の会議に持ち越された。1943年3月の中央委員会政治局決定によると、政治局に意見の相異が生じた場合、毛沢東が最終決定権を行使できることになっていた。翌日毛沢東の意を受けた小平は彭徳懐を説得し、総司令就任を要請したという。10月5日拡大政治局会議は切迫した雰囲気のなかで毛の参戦構想を強硬に採決した。毛は参戦かどうかの論争に終止符を打った。
(つづく)

筑波子 月次絶句集 「香山高閣」

2011年07月31日 | 漢詩・自由詩
高閣涼多獨自斟     高閣涼多く 獨自ら斟み

仙宮忘却利名心     仙宮忘却す 利名の心

書堂無主塵侵硯     書堂主無く 塵硯を侵し

日照香炉露滴琴     日香炉を照して 露琴に滴る

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(韻:十二侵 七言絶句仄起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)