ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

医療問題: 再診料引き下げに対する提言

2010年01月31日 | 時事問題
医療に関する提言・レポートfrom MRIC(2010年1月30日)「再診料を題材に、診療報酬決定への提言 加藤良一 加藤整形外科 より

 1月21日足立政務官は診療所の再診料引き下げの発言をしている。そもそも病院の再診料を600円に引き下げたのは、病院の外来数を減らすための厚労省の政策であった。診療報酬は中医協、内保連、外保連の意見を聞いて、厚労省保険局医療化が独断で決定していた。従って官僚の偏見と思惑が反映し現場を混乱させるばかりである。再診料には医師の技術料が評価されるべきで、一人の患者の疾患ごとに設定すべき問題である。再診でも初診と同じ判断力と労力がかかるので料金は同じにすべきである。再診料に施設利用料金が含まれているので、これを別立てにして、再診料は病院・診療所共通料金にするということも必要である。土台、中央が一律に医療価格を決めることは不可能で、むしろその弊害ばかりが目立っている。また診療報酬決定に国会や国民のチェックが入るような仕組みが必要だ。

アメリカの温室ガス中期削減目標  8年度比28%

2010年01月31日 | 時事問題
朝日新聞 2010年1月30日23時22分
米政府機関は温室ガス28%削減 08年比で20年まで
 【ワシントン=勝田敏彦】オバマ米大統領は29日、米連邦政府機関が排出する温室効果ガス排出を、2020年までに08年比で28%削減する目標を発表した。経費節減やクリーンエネルギー産業の雇用を創出するのが狙い。

いずれ石油価格が上がり、50年先には最終的に石油は枯渇するのだから、各国の削減目標とは石油消費量の自然減少曲線にすぎない。
欺瞞と経済利益の渦巻く地球温暖化防止というセントラルドグマ。「テロ」の恐怖と「地球温暖化」の恐怖物語はアメリカの世界戦略である。

世界経済フォーラム(ダボス会議) 穏かな回復 内需拡大へ

2010年01月31日 | 時事問題
朝日新聞 2010年1月31日0時48分
仙谷氏「内需喚起に努力」 ダボス会議討論会に出席
 【ダボス(スイス東部)=有田哲文】仙谷由人国家戦略・行政刷新担当相は30日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の討論会に出席し、日本の景気の現状について「緩やかな回復には向かっているが、自律的回復には道遠しだ。外需依存の経済構造から、サービスや知識産業を中心に内需による構造に変えないといけない」と語った。
中国人民銀行の朱民副総裁も「中国の成長は投資に偏っている」として内需拡大を進める考えを示した。
米国のサマーズ国家経済会議(NEC)議長は「米国の成長率は緩やかなペースが続く。問題は失業率だ。米政府は雇用をつくり、企業への融資を維持することを約束する」と語った。

日本の内需といえば、医療・介護・教育・科学技術のことであろうか

読書ノート 佐々木毅著 「政治の精神」 岩波新書

2010年01月31日 | 書評
政治を支える精神を、政治家、国民、政党の軸から読み解く 第8回

第1章 政治を考える視点 (5)

 政治的統合のメカニズムは歴史の中で変更と改革を受けて当然である。結社の自由の原則に基づいて団体や政党の活動が保障されなければならない。政党は権力獲得を追及することを目的にした集団である。したがって政党には独裁政権を目指すイデオロギー政党が存在することも必然であった。独裁政党は非競争的システムに陥りやすい。全体主義や共産主義政党で見てきた通りである。これにたいして競争的システムでは政治的自由が認められ、政党間競争が存在する。一党優位制(日本)、二党制(イギリス、アメリカ)、多党制(ドイツ、イタリアなど)とさまざまな程度の競争がある。この程度は選挙制度と深く関係している。小選挙区制は優位な党が決まりやすく、比例代表制は政権の帰趨が容易には決着しない。また議院制度も重要で、上院身分制の残存するイギリスから、選挙制度が同じで機能が区別しがたい日本の衆議院と参議院の二院制による議院内閣制度と、アメリカのように大統領制と議院が抑制的に作用しあう形式がある。政党は経済問題で利害が対立しやすいし、人種宗教でも意見の複数化の契機となる。国際関係の緊張や戦争で政治的統合はいとも簡単に破れるのである。

 政治の自由は権力に依存している。制度を守り改革する権力の発動がなければ政治は安定しない。政治権力は法を含めた制度の管理権を掌握しているので、政党は権力に命綱を握られているといえる。ルールを変えられたら一切の努力が無に帰すこともある。全能の権力は革命から生まれることはマキャヴェリの「君主論」でもあきらかであった。「権力は獲得することは難しいが、維持することは容易である」という。自分でルールを作れるからだ。そこで力による強制という「権力の魔性」の誘惑が存在する、テロと処罰が権力の最後のよりどころである。権力は制度だけでなく現実さえも変える力を持っている。「何でも実現できる」と考える誘惑が政治権力には付きまとう。政治権力はその及ぼす量的質的影響の大きさからしてその責任もまた極めて大きい。「権力を維持しようとすれば更に大きな権力を求める」とホッブスは洞察している。
(つづく)