できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

顔と顔をつなぐ、つなぐ人たちをつなぐ

2012-04-30 17:20:47 | 受験・学校

今日は仕事があって出勤しているのですが、その道中でツイッターを見ていたら、大阪市内の学童保育関係者が梅田や難波など、いろんなところで大阪市のPT案が出した学童保育の補助金廃止方針への反対の署名活動をしていることを知りました。

その署名関連のツイートを見ておりますと、こんなツイートがありました。以下の内容はつぶやいた方の承諾を得たものではないので、適宜、中身を私のほうで要点を整理し、まとめなおす形で紹介します。

大阪市内のある場所でそのツイートをされていた方のところに、あるご夫婦がやってこられました。妻のほうはすぐに署名をされたようですが、夫のほうは渋る。なぜかというと、夫のほうは大の橋下支持者だからだとか。そこで妻のほうが、自分も橋下氏支持だったけど、子どもや若者の施設をつぶしてから、とても許せない気持ちになったと、その場で夫に向けて語ったそうです。そうすると夫は「そうなのか・・・・」と言って、署名に応じたのだとか。

この方のツイートの趣旨だけわかるように中身を適宜こちらでアレンジして紹介したのですが、このエピソード、とても重要ですよね。つまり、実際に子どもや若者などに関する施策について、橋下改革の様子を見てきた人々にしてみれば、とてもこんな改革で将来何かよくなるとは思えない。そのことを正直に、自分の言葉で、まずは身近にいる人に伝えていく。それだけで、確実に何人か、橋下改革への支持を見直すかもしれない。そう思えるエピソードですよね、このケース。

実は私も身近なところ、それも我が家でこれと似たようなケースを体験しました。妻に落ちこぼれゼロ法以来のアメリカ教育改革の状況を紹介した大阪・毎日放送の特集や、朝日新聞の特集記事などを読んでもらって、「これと似たようなことを橋下教育改革がやろうとしているんだよ」と言うと、「そんなん、あかんやん」と。また、学童保育の補助金がなくそうという案を大阪市のPT案が出したのだよという話を妻にすると、「むちゃくちゃやん、学童保育なくなったら、子どもも親もどうしたらいいの?」と。以前は毎週日曜日の午後などに、やしきたかじん氏などが出てくる番組をよく見ていた妻ですが、こういう話をするなかで、橋下氏らが「子どもや親たちにとって、むちゃくちゃな改革をする人たち」ということに、少しずつ気づいたようです。

このような次第で、私たちがひとりひとり、クチコミで、自分の身近にいる誰かに「橋下改革のおかしさ」を率直に語っていくということ。それも、できるだけ衣食住や子育て等々、私たちの暮らしの身近なところで起こってくる諸問題に即して、この改革がもたらすデメリットを率直に語ること。それだけでも、橋下氏らの動きを支持してきた人々の意識が少しずつであれ、何か動いていく側面があるのではないか。上記のエピソードや我が家の例から、こんなことを考えました。

ついでにいいますと、こうしたひとりひとりのクチコミの動きに、電子メール、ツイッター、フェイスブック、ブログ等々のインターネットを活用しての情報交換やオフ会、あるいは、さまざまな単位での学習会を組み合わせると、なおいいのではないかと。

これまでの経過をみる限り、マスメディア経由での情報発信と、自宅などにこもってのツイッター経由の情報発信を使って、橋下氏は自分たちへの支持を呼び掛け、世論を動かそうとしているのかもしれません。

これに対して、私らは自分らのからだを動かして、いろんな形で実際に人と出会って、いい人間関係をつくりながら、ひとりひとりに「こんな改革はおかしいのだ」と呼びかけていく。また、その「こんな改革はおかしいのだ」と呼びかけていく人たちどうしを、ツイッターやフェイスブック、ブログ、メールといったメディアでつないでいく。あるいは、学習会やオフ会などの集まりで、また顔と顔の見える関係をつないでいく。そして、橋下氏サイドの動きだけでなく、「こんな改革はおかしいのだ」と動いている私たちの側も取材するように、多様なメディアを組み合わせて、マスメディアに働きかけていく。また、議会や役所にも、「私たちはこんな改革を必要としていない」と伝えていく。

今は橋下改革について何かおかしいと感じ始めた人たちの「顔と顔をつなぐ」ことと、いろんなメディアや集まりの場を共有して、「つなぐ人たちをつなぐ」ということ。急ピッチで取り組むことになると思いますが、まずは、こういうことを積み上げていくことができればいいのではないか、と思っています。さまざまなテーマでの署名活動が、このような取り組みの第一歩になることを願っています。

ちなみに、あした大阪市内で「替え歌」で橋下改革への批判をアピールしていこうという試みがあるようです。こういう試みもいいですね、どんどん、やっていくといいと思います。これもまた「顔と顔をつなぐ」「つなぐ人たちをつなぐ」という営みだと思いますので。

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