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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

いったい誰が「いじめの重大事態」の現場に「助言」可能なのか?そんな研究者・専門職・官僚は育っているのか?-NHKニュースで紹介された文科省の方針への違和感-

2023-03-10 21:08:04 | 受験・学校

“重大ないじめ”調査に課題 4月から国が助言など新たな仕組み(NHKニュース、2023年3月10日配信)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230310/k10014004771000.html

この際、文科省とNHKにはっきり言いたいのですが…。

それこそ、いままでの研究職・専門職にいじめの重大事態の調査・検証作業を任せたり、地方教育行政の対応では調査委の事務局運営がうまいこといかなかったわけですよね?

では、その状態で、いったい国からだれがアドバイスできるのか?

そもそも文科省の担当官自体、地方教育行政や調査委員会に適切なアドバイスができるのでしょうか?(これは「いじめの重大事態」だけじゃなく、ほかの学校事故・事件もすべて同様)

それこそ、私を文科省に呼んで、私が大学の仕事と文科省の担当官を兼任するかたちで、各地の教委や調査委員会をまわるようなしくみを試してみたらいかがですか?

そのしくみを私と一緒に試しているうちに、文科省の担当官が私の取り組みからいろんなこと学んで、それを全国各地に広げる。そのくらいのこと、やってほしいなと思ったりもします。

たとえば、これまで私がかかわった学校事故・事件の調査・検証作業の事例や、文科省の学校事故対応に関する有識者会議の経験をふまえて『新しい学校事故・事件学』(子どもの風出版会)を書きました。

あるいは、私のかかわったいじめの重大事態の調査委員会へのアドバイスの事例をふまえて、『「いじめ防止対策」と子どもの権利』(かもがわ出版)を書きました。

そして、数多くの被害者家族や遺族(いじめの重大事態を含む)と、調査委員会の委員さんたち(教育学などの研究者・医師・弁護士・カウンセラー・ソーシャルワーカー等)、そして学校・教育行政関係者のあいだで、いろんな話を聞いて、相互交流がうまくいくように関係調整を続けてきました(いまなお、関係調整を続けているケースがあります)。

そのうえで、たとえば加古川市教委のいじめ防止対策検証委員会を通じて、調査委員会がつくった再発防止策の提言と、それをふまえた加古川市教委のいじめ対策の検証・助言を行っています。あるいは今年度から、兵庫県猪名川町のいじめ防止に関する審議会の委員も務めています。

そういうここ最近の私の取り組み。文科省の学校安全や生徒指導の担当官、どこまで把握しているのでしょうか? 

ちなみに、過去の私の取り組みに注目して、これまで文科省の担当官が話を聞きに来たのは、2014~2015年度の学校事故対応の有識者会議が始まる前(2013年ごろ)に2回くらいあった程度です。

まだ学校安全、特に事故対応についてはこんなかたちで、はるか10年くらい前に私に話を聞きに来たことがありましたが…。いじめの重大事態対応では、これまで一度だって、文科省の生徒指導の部局、私の話、聞きに来たことがありません。

そんな現状で、よくもまあ、文科省の生徒指導担当の部署、重大事態の起きた現場に「助言する」とかいえるなあって、私なら思います。それこそ「誰が助言しにいくの? できる官僚いるの? 研究者や専門職いるの?」と折ったりもします。

もしも、その文科省から派遣された担当者が、現場で見当違いのこと助言したら、重大事態対応でまとまる話もまとまらなくなります。また、現場をかえって混乱させるくらいなら、行かないほうがましです。だから「そもそも、私がやってきたことくらい、勉強してほしい、文科省の担当官」と思ったりもします。これは生徒指導だけでなく、学校安全の部署も同じです。

そして、これまで私が書いた本を読んだりしたうえで、文科省への取材をして、こういう記事(ニュース)配信してほしいです。。マスコミの学校事故・事件関連の報道の質も、このNHKのニュース見てる限り、かなり落ちているように思います。それこそ、大津中2いじめ自殺事件のころは、しょっちゅうNHKの担当記者、取材に来ていましたね。いまはちっとも、取材に来ませんが…。



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