2123冊目はこの本。
小野智美編『女川一中生の句 あの日から』はとり文庫、2012年。
東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県女川町の中学校で、被災した生徒たちがつくった「俳句」。
この「俳句」のひとつひとつと、その「俳句」である生徒とその家族、そしてこの「俳句」の授業を行った国語の教員・佐藤敏郎さんのことを、新聞記者の方が取材してつくった本。
「被災体験」というつらい体験に向き合う時期を選び、それをサポートする教職員らの環境的諸条件をうまく整えれば、子どもたちが俳句や文章を綴ることを通じて、自らの体験をふりかえり、整理することができることがわかる。
個々の子どものつらかったことにはそっとしておいて何も触れない、何も言わないという対応ばかりがいいことではない、ということがよくわかる一冊。