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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「ブラック校則」集めて文科省に要望して、さて、その先は?

2017-12-21 09:50:09 | 受験・学校

“ブラック校則”見直しを PJが発足し実態調査へ

(教育新聞デジタル版(購読会員限定)、2017年12月14日)

ttps://www.kyobun.co.jp/news/20171214_06/

大事な取り組みだと思うし、問題提起的には必要だとは思いますが。

だから「やるな」という気は、全くありません。

でも、厳しい言い方になりますが、問題提起的なこの取り組みの「その先」で、おそらく、行き詰る気がします。

「いろいろ事例を集めても、結局、文科省にお願いするだけですか?」

ここに私のひっかかりがあります。

たぶん「文科省にお願いするだけ」なら、文科省は一枚「校則はかくあるべし」などというあたりさわりのない通知を出して、それで終わりでしょうね。

・・・かつて、このような取り組みを、瀬戸則夫という弁護士は「空爆」と呼びました。

その一方で、実際に何か、校則に関する指導で生きづらさを感じている子ども。

その子どもひとりひとりの生きる場で、実際に動ける人(そのなかには学校の教職員も保護者も子ども自身も含まれる)が、どれだけのことができるのか。

そういう地道で、しんどくて、場合によれば自分の手も汚れるし、自分も傷つくかもしれない。

でも、現場でのそういう粘り強い営みなしには、おそらく「その先」は切り拓けない気がします。

・・・同じく、このような「自分の手も汚れるし、自分も傷つくかもしれない」けど、現場で問題解決の道筋をさぐるような営みを、瀬戸則夫弁護士は「地上戦」と呼びました。

ちなみに、「空爆」路線の限界を打開し、「地上戦」もできるシステムとして生まれたのが、兵庫県川西市・子どもの人権オンブズパーソン。私と瀬戸さんが出会った場所です。

また、瀬戸さんの話を聴きながら、その「地上戦」要員として徹底的に自分をこの十数年つくりこんできたのが、今の私です。

そして、先日のNHK大阪放送局の番組「かんさい熱視線」での私のコメントは、この「地上戦」路線で一貫して行っています。「この話、『空爆』路線じゃ限界にぶちあたるぞ~」と思ったし、「当事者がこのままじゃ嫌だといってるなら、まずはそこから議論を出発させてほしい」と思ったもので。

また、この記事みたいな話に理屈的には「ごもっとも」と思いつつ、体感的にどうも最近、うまくなじめない(そして「できれば、かかわりたくない」と思う)のは、やっぱり「戦場(現場)のリアリティ」みたいなものを自分の体内に持ってるからだろうな~って思いますね。

なにしろ、なんせ時には「誤爆」みたいなこともしかねないですからね、「空爆」路線って。「おいおい、味方を爆撃するな!」「ミサイルぶちこむのはそこじゃねえ。どこ見て撃ってんだお前!」って言いたくなることも、しばしばですわ・・・。「とにかく前線に出てきて、敵状をちゃんと把握しろって。司令部のモニター画面だけ見てもの考えてるんじゃねえ!」って、現場最前線の歩兵としては思うこともありますよ。


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