できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

本気で問われていることに応えている感じがしない?

2017-11-27 19:59:47 | 受験・学校

<大阪市>いじめ・体罰、裁判外で 第三者機関の設置要望へ

Yahooニュース 2017年11月15日付け(もとは毎日新聞のデジタル配信記事)

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171115-00000067-mai-soci

こちらの記事も、2週間ほど前のものですが、紹介することがなかなかできなかったので、今日、ここで紹介しておきます。文中で私のコメントもでてきますので。

それで、以下の文章2つは、どちらもフェイスブックにはそのとき、この記事に対するコメントとして書いたものです。どちらも、大阪市のこの国への要望に対する私の批判、問題意識ですので、こちらに転載して紹介します。

○ひとつめの文章

どうも「うさんくさい」と思ったので、かなり辛口です。

一見「よさそう」で被害者家族・遺族の期待をもたせるかのような、そういう学校事故・事件の裁判外紛争対応の制度化を、大阪市が国に求めているわけですが・・・。

でも、これ、よく考えてみたら、ですよ。

「こんなの、国に解決もとめなくても、いますぐ大阪市で条例つくって、川西市モデルの子どもの人権オンブズパーソン制度を大阪市につくったら、しまいですやん」

「なんでそのことは提案しないの? 要するに国に要望書だして、努力しているフリだけ示して、ええかっこする。そのあと、国が制度つくって『やれ』というまで、待ってるだけ。自分たちの指摘されてる課題を、本気で解決する気なし」ですわ。

これ、要するに、子どものことそっちのけで、非公開の場で、保護者VS学校・行政側の法的紛争をまずは裁判外で鎮めてしまえ、それができたらOKということ。なおかつ、子どもの人権オンブズみたいに学校現場に勧告だしたり、教育行政に是正の意見表明だしたりしてバトルされるような制度にせず、ひとまず法律家主導の紛争解決機関にしておけば、教育改革の「突かれて痛いところ」には触れずに、なんか、上っ面だけなでた提案で逃げられる、と。

大阪市側が本気で、維新の教育改革の矛盾まで含めて、学校をめぐる子どもの課題の本質的な解決まで意図しているのであれば、「子どもの人権オンブズ」のモデルになるはずですよ、この提案。

それができていないって段階で、「これはしょせん、行政の顧問弁護士にとって都合のいい制度にしかならないないな~」というのが、私の理解です。

また、ことの発端が、例の桜宮高校事件訴訟での大阪市側の対応です。

刑事事件としても元顧問の有罪が確定し、懲戒免職処分まで出していながら、民事訴訟では「自殺と暴力的な指導との因果関係を認めない」などという主張をしたからこそ、大阪市側が判決で裁判所から叱られたわけですよ。

「最初から刑事事件の判決や、懲戒免職処分のこともふまえて、大阪市側としては非を認める。和解したい」

そういえば、あの訴訟の流れも変わったわけですからね。

そういう大阪市の対応が批判されたことについて、どう考えているのか?

「裁判所が指摘しているのは、制度の問題とちがうやろ~。あんたらの行政の遺族対応に臨む姿勢の問題やで」と思いますね。

そして、訴訟に至る前の段階で、遺族側に対してどこまで歩み寄り、誠意を示せることができるのか。そこできっちりと誠意を示して、遺族の納得が得られるような対応ができたら、訴訟も起きないだろうし、特に裁判外紛争対応の制度化をする必要もないわけですからねえ。なぜそこは問題にしないのかしら?

そんなわけで、「大阪市はさぁ、紛争外対応の制度化云々の話をする前に、従来の学校事故・事件訴訟での被告側弁護団や被告になった教育行政側の対応を一から問い直して、是正しろよ」と思ったりしたわけです。

そんなわけで、かなり辛口のコメントです。

ついでにいうと。

しっかり勉強して、ものを考えておかないと、この手のたちの悪い小手先の改善策にうま~く乗せられまっせ、当事者のみなさん。

○ふたつめの文章

 

それにしても・・・。

あらためて毎日新聞の記事から読んで見ても、「これ、本気で大阪市、桜宮高校事件で裁判所に指摘された遺族対応の課題、解決する気ないよな」としか思えませんね。

いろいろ理由をつけて、「国の制度の裏付けがほしいから、国に要望を出した」という時点で、とにかく「うさんくさい」としか思えませんわ。

なにしろ「いますぐ川西モデルの条例つくって(=場合によればコピペでも可)、大阪市で子どもの人権オンブズつくればええやん」ですから。

あるいは、いまのこのモデルで大阪市の条例つくって、学校事故・事件の裁判外紛争解決機関が適切に運用できるかどうか、ひとまず数年間、実験してみたらええわけですやん。

でも、どっちも本気でやらない、やりたくない。自分が何かに手を染めて、本気で解決しようという気はない。だけど、裁判所の指摘をうけて、一応、改善しているとか、努力のポーズだけ示して、注目は浴びたい。

そんなことのために「国の制度が整備されてないから」という理由をつけて、「国に対応をお願いする」というかたちにしているとしか思えませんわね、これ。



それは調査委員会のシステムの問題? それとも担い手の問題?

2017-11-27 19:50:29 | 受験・学校

「机に大量紙切れ、高2自殺未遂 第三者委「いじめ」認定」

gooニュース 2017年11月27日付け(もともとは朝日新聞デジタル配信記事)

https://news.goo.ne.jp/article/asahi/nation/ASKCP6WSBKCPPIHB02F.html

私立学校で起きた「いじめ」の重大事態について、その学校が立ち上げた調査委員会が適切な対応を行い、「いじめ」の事実を認めた上で、「自殺未遂」との関係まで認定した事例です。

こういう事例があることでもおわかりかと思いますが・・・。

(1)「私立学校」だからといって、すべての学校がこのような重大事故・事件のケースについて、事実を隠蔽するかのような対応をしているわけではない、ということ。

(2)同じく学校側設置の「調査委員会」だからといって、その学校で起きた重大事故・事件について、学校側の対応の問題点等を厳しく指摘する委員会もある、ということ。

(3)となれば、「私立学校の設置だからうまく調査委員会を運営できない」とか「学校側設置の調査委員会だと公平性が」とか、よく調査委員会の制度設計について問題点が指摘されることがあるのですが・・・。でも、それは本当に「制度」の問題なのか、それともその「制度」の「担い手」の問題なのか、ということ。そこをいま一度、よく検討しておく必要があるのではないか、と私は思います。

 

ちなみに、私はここ最近の調査委員会をめぐる諸問題について・・・。

「どこまでが制度的な問題で、どこからが実際の担い手の課題意識やスキル、事実解明に対する執念の問題、あるいは設置主体の責任意識の問題なのか?」

と考えることが多々あります。

なにもかもいっしょくたにして「制度が悪い」と言うてしまうと、見えなくなるものがたくさんありそうです。



最近読んだ本をまとめて紹介(2581冊目~2592冊目)

2017-11-27 19:24:43 | 本と雑誌

またまた、ある程度、最近読んだ本がたまってきたので、ここで紹介しておきます。

2581冊目:横湯園子・世取山洋介・鈴木大裕編著『「ゼロトレランス」で学校はどうなる』花伝社、2017年

2582冊目:(社)解放・人権研究所編『排除される若者たち フリーターと不平等の再生産』解放出版社、2005年

2583冊目:竹信三恵子『ルポ賃金差別』ちくま新書、2012年

2584冊目:竹信三恵子『これを知らずに働けますか? 学生と考える、労働問題ソボクな疑問30』ちくまプリマ―新書、2017年

2585冊目:吉川徹『学歴分断社会』ちくま新書、2009年

2586冊目:中村征樹編『ポスト3・11の科学と政治』ナカニシヤ出版、2013年

2587冊目:志水宏吉『「つながり格差」が学力格差を生む』亜紀書房、2014年

2588冊目:内田樹『街場の天皇論』東洋経済出版社、2017年

2589冊目:内田樹『日本の覚醒のために』晶文社、2017年

2590冊目:清水義晴『変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから』太郎次郎社、2002年

2591冊目:佐藤学・屋良朝博『沖縄の基地の間違ったうわさ 検証34個の疑問』岩波ブックレット、2017年

2592冊目:林明子『生活保護世帯の子どものライフストーリー 貧困の世代的再生産』勁草書房、2016年