角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

ツボ、あれこれ。

2014年04月28日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
さっぱりとした青系でまとめてみました。どちらかと言えば男性向けのように見えますが、案外女性にも人気の配色です。今年の桜まつりでは紺系の24cmがよく売れていて、男女半々くらいのように感じています。「今日の草履」ももしかしたら、女性がご自分用に選ばれるかもしれません。

どこもかしこも満開を迎えた角館です。早い枝垂れ桜は花びらが舞い始めているものの、全体の見ごろはまだまだ続きます。今日の角館はここ二、三日の高気温と比較し、若干寒さを感じました。満開が長引く分、桜見物の人々にも地元民にも好都合じゃないでしょうか。これから数日の間に角館を訪れる方々には、「ツボ」にはまる美しさを堪能していただけますよ。

三重県からツアーでお越しのおじさま。少しお酒が入り上機嫌が分かりました。試し履きしながら、『ははぁ~、足の裏のツボにいいわけやなっ』。早速ご自分用をお買い上げになると、『あっ、うちの女房にも買っていこかっ。なんか買わんとウルサイからな~』。
サイズとお好みの色を訊こうと電話するおじさま。『お前、足は何センチや? あっそうか、24cmやな。それで色は?・・・・・お前はやらしいことを言うな~』。

電話を終えたおじさまは何やら苦笑いをしています。『アンタのお金で買うんやったら、色はなんでもエエて言ってますわ』。
こういうご夫婦の会話が私は一番ツボにはまります。他のお客様もずいぶんいたのですが、遠慮なく大笑いさせていただきました。おじさまが奥様用に選ばれた配色は、艶やかな黄色の和柄にエンジの組み合わせです。ご帰宅のあと角館草履を手にした奥様が、ご主人になんと言うのでしょう。お好みのツボにはまってくださるのを願うのみです。

ドイツ人ご夫婦がお立ち寄りでした。奥様は二十年前に五年間日本で暮らしたとあって、なかなか流暢な日本語を話されます。角館草履を見つけると思いついたように、『イエノナカデ、ゲタヲハキタクテサガシテマシタ。デモゲタデハウルサイカラ、コレナラOKデスネ』。
室内で下駄を履く習慣は日本にありませんから、そこは少しツボが違ったようです。そしてお選びの配色は人気ナンバーワンの定番配色①。そこは日本人とツボが同じでしたね。

お帰り際、『ドノクライデコワレマスカ?』。おおむね二年、『一生は履けませんからね』と言うと、ドイツ語でご主人に伝え二人で大爆笑していました。笑いのツボも少し違うかもしれません。
コメント
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