角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

夢の草履。

2014年04月16日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
黄色が混じる和柄がベースなので、組み合わせはひとまず辛子色にしてみました。若干年齢が上がった感じもありますが、同系色で落ち着いた配色と思います。お似合いになりそうな、お洒落なおばあちゃんをお待ちすることにしましょう。

素人に分かりづらい出来事というのは結構多いのですが、最近ではSTAP細胞もそのひとつではないでしょうか。「夢の細胞」とかで一躍世界に名前が知れた小保方晴子さんは、今や世界から非難の的にされています。擁護論もずいぶん多いとはいえ、論文の不備不正は否めないようです。

二か月半前STAP細胞の研究論文を発表する小保方さんの表情は、達成感と誇りを胸に生き生きとしていました。あのときの彼女の顔がすべてウソだったとは思えないんですよね。細胞生物学など言葉さえ知らない私が言うのもナンですが、若い研究者の道がこのまま閉ざされるとしたら残念で仕方ありません。

昨日のブログでフランス人からのお買い上げに触れましたが、フランス人ご夫婦に日本人の通訳さんを伴っていました。通訳さんに『日本へは旅行ですか?』と訊ねてみると、『こちらはフランスでお医者さんをしておられるんです。ストレスのあるお仕事ですから、ときにこうしてすべてを忘れて旅に出るんです』。
通訳さんはとても真面目そうなおばさまで、ムダに笑顔を作らない堅実な実務派といった印象です。もしかしたら旅行会社に所属する専門家かもしれません。

お医者さんであるご主人が草履実演に高い関心をお寄せだったので、『フランスに土踏まずという概念があるのかどうか分かりませんけど、ここがマッサージ効果につながるんです』と見本の草履を触っていただきました。通訳さんのお話では、『土踏まずの概念はこれまであまりなかったようですが、足裏と健康の因果関係は注目されつつある』とのこと。私はにわかにこちらのお医者さんに興味を覚えましたよ。

早速試し履きをお勧めすると、ご夫婦共に笑顔で履き始めました。すかさず通訳さんに感想を訊いていただくと、顔色をひとつも変えず『悪くはないと言っています』。「悪くはない」の言い回しは、「格別に良くもない」が一般的な私たちのイメージです。『悪くはない…ですか』と苦笑いすると、通訳さんはまたしても表情を変えず『(フランス人は)率直に答えるんです』。

その直後、お医者さんが通訳さんに何やら話しかけると、通訳さんの表情が途端に笑顔となりました。『カードが使えるか訊いています。なんか気に入ったみたいですよっ』。カードは使えないもののお買い上げを決めてくださったことを、私より通訳さんのほうが喜んでいましたよ。堅い表情の裏で、結構気にかけてくれてたみたいです。

フランスに帰国したら、おそらくすぐに履いてくださるでしょう。角館草履の健康効果を、お医者さんがご自身で証明してくれたら面白いですね。「夢の草履」かなんかでフランスから講義依頼が来たら、小保方さんのように生き生きと発表できますかね。
なんてバカなことを考えてないで、残した仕事をやっちゃいましょう。そろそろお客様が多くなりだした角館であります。
コメント
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