角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

貧農の象徴。

2014年04月04日 | 製作日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
緑で統一した配色は、性別はもとより老若無関係に好まれる方がおります。気持ちの落ち着く癒し系の色とすれば、その意味も分かるような気がしますね。24cmで編みましたから、男性にも女性にもぴったりのお客様と出会えるでしょう。

新聞だったかネットだったか忘れましたが、しばらく前の記事で「経済力と学力の因果関係」を読みました。まず一般的な話として、親の経済力と子どもの学力が比例するといった趣旨です。これには私もかねてから同じ考えを持っていて、わが子を塾へ通わせるにも参考書を買い与えるにも、親が日常の生活に窮していれば叶わないということでしょう。わが家もその類にありました。

ただし経済力が低い家庭の子どもでも、学力に低下が見られない例もあります。それは幼少の頃から親が本の読み聞かせを日常にし、成長期にあって自ら読書を好む子どもなんですね。高額な幼児教材ではない、よくある一般的な本が子どもの学力に大きく影響するわけです。小さな子どもを育てている親は、是非とも知るべき情報じゃないでしょうか。

NHK朝ドラが新しくなりました。「赤毛のアン」を翻訳した女性の生涯を描く、「花子とアン」です。舞台は明治後半、貧しい小作農家に生まれた主人公「はな」は、農作業と幼いきょうだいの子守で満足に学校へも通えません。あるとき行商を生業としていた父親が、土産に一冊の本を与えます。ここから「はな」の本好きがスタートしました。まさに家庭の経済力を超えた、読書による学力向上の話ですね。

それにしても貧農を伝える場面には、「ワラ草履」を編む姿がよく似合います。ここまでのシーンにも数多く登場していて、日々草履を編んで暮らす私は苦笑いしていますよ。2月16日のブログで石川理紀之助の話題をお伝えしたように、当時の貧しい農家は「ワラ草履」を副業としていました。利益が薄い、あるいは安物を意味する「二束三文」の言葉は、「二足」とも書いてワラ草履が語源とも云われます。いかに低い収入であったか想像に難くありませんね。

100年以上が経った平成のご時世。「貧しい」の象徴が草履編みではなくなるよう、孫の代には塾へ通わせられるくらいの経済力を得たいものです。
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