角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

代わりの何か。

2014年04月21日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
可愛らしい花柄プリントに黄色を組み合わせてみました。春をイメージする色としたら、「ピンク」と「黄」が代表でしょうか。明るく楽しい春の草履に仕上がったと思います。編むほうも楽しかったこちらのベース生地は、この草履をもって最終となりました。

数日ぶりにストーブへ火を入れたと思ったら、とうとう一度も消せない一日となりました。最高気温は12~13℃でしょうか、よくある「花冷え」というやつですね。桜の開花は少し進んで、数輪だった枝垂れ桜の花びらもその数をわずかに増やした気がします。とは言え、散策のお客様からは「桜ざんねん旅」の言葉があとを絶ちません。毎年のことながら、桜に代わる「何か」を見つけて欲しいと願いますよ。

名古屋市からお越しのおばさま二人旅。『あら、裂き織りか何かかしら?』と話しながら実演席に近づいて見えました。目前まで来て草履と分かってくれたようです。展示パネルを眺めて気づかれたのが、『あらっ、土踏まずが付いてるのねっ』。実演席でよくあるシーンなんですね。
土踏まずが付いていると何が良いのか、ご説明が進むにつれお二人のお顔に真剣さが変わってきました。ひとりのおばさまが試し履きをすることもなく、『23cmと24cm、ひとつずつくださいっ!』

おばさまがおっしゃるのは、『主人が足の疲れを言うので、実は竹踏みかなんかをお土産にしようと思ってたんです』。私が指の股にあるのが「首のツボ」をお教えすると、『まっ、私は首こりがヒドいんですよぉ』。するともうおひとりのおばさまも、『そう言えば、ヨガ教室で指の股のマッサージを教えられたわっ』。
過去にもヨガ教室に通われた経験のあるお客様が、同じことを話してくれました。こちらのおばさまも同じ定番配色①をお選びです。

名古屋市からと知りながら『咲いた頃にリベンジしませんか?』と笑うと、『いえ、少しだけだけど桜も観られたし、こちらの草履とも出会えたから満足です~』。
若干のお世辞が含まれると思いながらも、そう言ってくださったおばさま二人に感謝しています。最大の目的は果たせずとも、この角館で「何か」を見つけてくれたおばさまたちでありました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする