角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

武士は食わねど…。

2014年04月14日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
燃えるような赤い配色ですが、春爛漫の花柄プリントには「萌える」のほうがぴったりかもしれません。今日の角館もポカポカ陽気の一日でした。早すぎる桜の開花は歓迎しないものの、やはり暖かいのは嬉しいです。
見てるだけでワクワクするような平生地がこちらです。



数日前の地元紙に、藩政時代の租税について書いていました。年貢米はもちろん作物を販売して得た金銭を含む、秋田藩への「税金」です。秋田藩には「蔵分(くらぶん)」「給分(きゅうぶん)」と性格が異なる二種の土地(田畑)があって、蔵分というのは藩主の生活や藩財政を賄い、給分というのは家臣の生活を賄う田畑なんだそうです。

その割合が蔵分3で給分7とありました。国税3割、地方税7割といった感じでしょうか。平成の今、日本の国税と地方税を調べてみたら、その割合はやっぱり3:7なんですね。使われ方が藩政時代と今では違う部分も多いでしょうし、秋田藩の割合を全国に照らすのも乱暴とは思いながら、なんとなく面白いと思いましたね。

内閣官房長官を務める菅 義偉 (すが よしひで)さんは、秋田県湯沢市のご出身です。菅さんがかつて総務大臣だった時代に法整備されたのが、「ふるさと納税」でした。簡単に言えば、本来居住地へ納めるべき税金の一部を、生まれ育った土地などへ納めることが出来るわけです。財源に乏しい地方には嬉しい制度でしょう。

仙北市市議会議員選挙の投票が昨日ありました。定員19人に対して2人が落選しています。いつも思うのですが、みなさんに当選してほしいですよ。生活する土地を少しでも良いものにしたい、郷土と地元民を愛する気持ちが立候補につながるのでしょうから、みなさんにその道で頑張ってほしいと思うのは本心です。

いろんな候補者から届けられる選挙資料の中に、「ふるさと納税を増やす」という公約めいた一文がありました。さらに「納税した方に特産品を贈り、市民所得の向上を図る」とあります。これには少しばかり疑問符でしたね。
まず納税していただく側の人間が、「増やす」という言葉を使っていいものでしょうか。この場合納税というより「寄付」に近いですから、善意に対して少しばかり失礼を感じました。

特産品を贈るのは日本中で数多く見られるようです。中には「やり過ぎ」もあって、政府が自重を促している話も聞きました。なんと言いますか、「これだけの品を贈るんだから、来年はもっとくれるんじゃないの」という、言葉は悪いですが卑しささえ感じます。なにより善意の主は、過大とも思える返礼を本当に喜んでくださるんですかね。

市の特産品を業者から買い上げることによって市民所得の向上につながるというのも、商いをする身には不自然を感じます。自分の作品があたかも「馬を走らせる人参」のごとく扱われるのは、いささか寂しくも感じました。願わくば、ふるさと納税をしてくださるほどこの土地に思いのある方々なのですから、商品を納得のうえお買い上げいただく努力のほうが大事じゃないかと思います。そしてそれが商人の本分とも思うわけです。

かつての秋田藩では給分が七割といえ、多くの家臣に分け与えたら一人分はなにほどでもなかったでしょう。内職さえしていた下級武士にいたっては、生活を互いに支えあう部分もあったんじゃないでしょうか。善意はありがたく頂戴するとして、収入が少ないなら少ないなりに「武士は食わねど高楊枝」の心があっていいんじゃないかと感じた次第です。
コメント
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