今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黒基調の絣風プリントをベースに、合わせはエンジです。角館草履の「王道」とも言うべき、秋田おばこ調の典型例ですね。貫禄さえ感じます。
平生地はこちらになります。
「今日の草履」は東京から花火見物にお越しくださった、お若い女性二人連れのおひとりがお買い上げくださいました。共に夏服でお出でしたから『寒くないですか?』とお訊ねすると、『寒いですぅ』。
そうなんです、昨日と今日の角館は最高気温が22~23℃しかありません。ちょっと前とで10℃も差があるんですから、私たちですら寒さを感じています。それが首都圏からお越しではなおさら寒さが身にしみるでしょう。
『これから花火なんでしょ?』とお訊ねすると、『はい~!』。上着もなにもないと言うので、せめて雨合羽の購入だけは必ずとお伝えしました。雨にももちろん有効ですし、ビニールは体温の放出を防いでくれます。これは角館のお祭りで若い頃から学ぶ知恵なんですね。
二十歳くらいの若い女性5~6人ほどが、艶やかな浴衣姿でお越しでした。お盆以前であれば特に珍しい姿でもありませんが、さすがに今日の気温ではいささか寒かろうと思います。おひとりに『寒くないの?』とお訊ねすると、やはり『寒いですぅ』。見るからにそう思えましたよ。
そのときはそれだけの会話で終わったのですが、あとから米蔵スタッフに聞いたところでは、今晩の大曲の花火にお越しとのこと。もしあのままの浴衣姿で行ったとしたら、ちょっと考えただけでも怖い寒さですよ。
首都圏以南からお越しの方は、八月の今から「寒さ対策」なんて思いも寄らないかも知れません。でも大曲の花火を侮るとたいへんな目に遭うんです。日が沈んだ後の河川敷というのは、とても冷たい風が流れます。最高気温が30℃超えであっても、花火会場の河川敷では「涼しい」を超えてしまうんです。まして今日の最高気温を想えば「寒い」のが当たり前でしょう。
心配していた天気は、夕方から雨が落ち始めました。本降りというほど激しい雨ではありませんが、一層の寒さと思います。
関西からお越しのおばさまグループに、『雨が降ったら中止になるん?』と訊かれました。降雨中止はありえないことをお伝えすると、『ほな良かったわぁ』。
本当の心配は「中止」ではなく「寒さ対策」。大曲の花火見物の「王道」は、寒さに負けない服装なんですね。
明日の実演で繰り広げられるおしゃべりは、果たして花火の「美しさ」か「寒さ」か。花火の打ちあがる音が、角館のわが家まで聞こえています。