角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

嬉しい「ミイラ」。

2008年08月21日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ22cm土踏まず付き〔4000円〕
青基調の「いろは」プリントをベースに、合わせは藍色基調の縞プリントです。同系色の落ち着いた色合いが素敵と思います。好まれるとしたら「おばあさん」と呼ばれる年代かなぁと思ってましたが、やはり70歳代と思しきおばさまがお選びくださいました。

巻かれてしまうと「いろは」が分らなくなりますが、平生地はこんな感じです。



角館を終の棲家に移住された方を複数知っていますが、ちょうど一年前のブログにひとりの男性をご紹介しました。
昨年の晩秋くらいに町でお買い物をされている姿を見かけていたんですが、冬場は私も西宮家にいないせいか、ずーっとお逢いすることなく過ぎていました。それでも「終の棲家」をテーマにブログを綴るときは、どうしてもこのときの男性を思い出していたんです。

8月16日のブログでご紹介した「今日の草履」、こちらをオーダーされた女性はお母さんと思しき女性とお越しでした。そのお母さんは前日もお越しになっていて、どうしたわけか私の草履をお勧めくださるんです。話し言葉は明らかに標準語なんですが、旅の途中とはいささか雰囲気が違うんですね。まぁ、当地にはいろんな方が出入りしますから、特段気に留めることもなく過ぎていました。

今日の夕方、ずいぶんお久しぶりに先の男性がお越しです。『いやぁ、久しぶりでしたねぇ』と言葉を交わすのと同時に、とある女性を紹介されました。その女性は確かに最近お逢いしています。一呼吸置いてどなかはすぐに分かりました。私の草履をお勧めくださったお母さんなんです。その瞬間男性の口から出た言葉は、『私の家内なんですよっ』。

いやはやなんと、奥様も角館を気に入ってくださり、この春から一軒家に住まいを移され共にお暮らしなんだそうです。それで私の草履をお勧めくださった意味が分りました、なにしろご自身もお履きになってるんですからねぇ。
そしてお母さんがお勧めになっていた方々は、ご自身のお子さんたちなんですね。ご両親の新たなお住まいを見るため、お盆休みを利用してお越しになっていたようです。

奥様は、『高齢者向けのボランティアをしたいと思ったんだけど、まだ言葉が分らなくて無理だと思ったの。それで言葉が関係ない歴史案内人の勉強をはじめてるのっ』。
東京から終の棲家に角館をお選びの女性が、県外から角館にやって来る方々を案内するボランティア活動に参加するなんていうのは、なんともイイ話じゃないですかっ。

一年前ご主人が心配していた奥様の説得、今ではむしろ奥様のほうが角館人に近くなっているようです。「ミイラ取りがミイラ…」という例え話がありますが、こんな「ミイラ」なら私は大歓迎したいですね。

コメント
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