角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

社会通念との誤差。

2008年08月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ24cm土踏まず付き〔4000円〕
エンジ基調の花柄プリントをベースに、合わせは赤茶の漢文プリントです。赤系の統一感がお洒落ですね、無難にまとまった感じです。
「今日の草履」は、名古屋市からお越しのおばさまがお買い上げくださいました。

いよいよ明日は大曲の花火、今日から花火見物のお客様が見え始めています。新潟県からお越しのご家族も、明日の花火見物でした。中学生ほどの女の子とおしゃべりしたんですが、『長岡の花火もスゴいんですけど、大曲の花火もスゴいって聞いてますぅ』。
そうなんですね、全国に名だたる花火大会がいくつかありますが、大曲の花火もその筆頭グループに挙がるのは間違いないでしょう。

「今日の草履」をお買い上げのおばさまは、四人旅の途中でした。ほかのお客様と同じように『明日は大曲の花火ですか?』とお訊ねすると、『それが違うのよぉ、今夜は角館に泊まって明日帰るの。ほんとは大曲に泊まる計画だったんだけど、十日くらい前にホテルに電話したら全部ダメだったの。“一年前から予約が入ってますよっ”って言われちゃったわよぉ』。

大曲にもたくさんホテルがありますから、まずフツーの時期であれば簡単に予約が取れそうなもんです。それが今日と明日はとてもフツーの日じゃないんですね。人口四万人余りの旧大曲市に、一晩だけで70万人からの人が詰め掛けます。昨年は過去最高の76万人ですから、ざっと人口の20倍ですね。
角館の桜まつりは人口の100倍が押し寄せますが、それは会期二週間ほどの合計数です。一晩で20倍となれば、ホテル予約も「社会通念」とかなりの誤差がありますね。

角館のお祭りで曳山の上に乗る踊り子たち、わが家の三人娘もそのスケジュールが決まりました。三日間のあいだに曳山を納めるまで乗る日が、双子が二日、三女が一日です。
この「曳山を納めるまで」という時刻を、社会通念ではどの程度とお考えでしょう。角館のお祭りは「未明」、日付が変って夜明けまでがその時刻なんです。曳山の状況によっては、明らかに朝を迎える場合さえあります。

先日双子が高校から持たされてきた一枚の紙、それには「お祭り参加に関する保護者説明会」の日程が書かれてありました。もちろん学校へ届出をするのは当たり前と思うんですが、まさか親が学校に呼ばれて注意を受けるとまでは意外でしたねぇ。

でもまぁ、それも致し方ないとも言えます。高校一年の女の子が、明け方まで曳山の上にいるんですからね。「社会通念」との誤差は、もしかしたら角館のお祭りのほうが大きいかも知れません。

コメント
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