昨晩は、ドラマ「下流の宴」の最終回だった。
キャッチコピーは「医者のムスメ、国立大卒業、高学歴の夫、そんな私が「下流」になるの?」。
翔の母親・由美子の悲痛な叫び。
フリーターの息子・翔をどうにか下流から引っ張り上げたくて翻弄する由美子。
翔のガールフレンド・珠緒(翔より年上でフリーター)に「私は医者の娘だったの。あなたの家柄とウチとは違うんです」と言うぐらいプライドが高い。
「私が医大に受かったら、翔ちゃんと結婚させてください!」
珠緒の宣戦布告。
2年間勉強し続けて、医大に合格し、「これで翔ちゃんと結婚できる」と喜ぶ珠緒だったが、結局、翔に振られてしまう。
「~オレ、頑張っている人たちを見て、すごい、とは思うけど、憧れたり、そうなりたい、って思ったことはないワケ。だけど珠緒と結婚したりするとさ、そういう人たちから、同情されたり、バカにされたりするワケじゃん。 そしていつかは、珠緒もそういうひとりになる・・・・」
そんな台詞を吐いて、医大に受かった珠緒を振り、翔は結局、あのまま努力の醍醐味や達成感も味わうことなく老いて死に行くのだろうか。そう思うと後味が悪いというか、考えさせられるドラマである。
原作者の林真理子先生は私の大好きな作家だ。
サイン会や講演会にも何度か行っているが、辛辣な作風とは違い、先生自身は穏やかで優しい方だ。
「自分が努力するよりも他人に努力させる方が難しい」と翔の母親・由美子が言っていた。
やる気がない翔に参考書や啓発本を買い与え、受験のカリスマにまで「息子をよろしくお願いします」と頼み込んだ。しかし、翔には馬耳東風。「やっぱ俺には無理っしょ」と一蹴。
私は人に物事を教えたり努力を喚起するシチュエーションにあまり遭遇したことがない。仕事ではたまにあるが、私より遥かに優秀で要領の良い後輩たちはすぐに覚えてしまい、「なんで覚えないんだよ」と、やきもきしたことはない。
だからよく分からないのだけれども、小学校時代、勉強を教えてくれた母が「なんでわからないの」と鉛筆を噛んでいたことなどを思い出すと、ああ、ああいううことなのかと思う。同時に自分はそんな境遇に直面するのはまっぴらごめんだと思う。
だって、大変そうだし。…ってこの台詞、かなり翔だよな…。
私があのドラマを楽しみにしていた理由の一つに、翔の姉・可奈が嫌いすぎていたっつーのがある。
打算や見栄であえて派遣社員を選び、外資のトレーダーを落としてできちゃった結婚。結婚式前、羨ましがる友達を陰で「負け犬の遠吠え」と口汚く罵ったあの女!彼女の不幸を見届けたいがゆえ、毎週火曜日を楽しみにしていた。結婚後、夫がケチだということが判明!そして夫は仕事が多忙でうつ病になり、退職!夫と共に三重に移るが、姑との息が詰まる生活に耐えきれず、子供を連れて実家に戻ってきてしまう。ケッケッケッ!ざまぁみそづけ!もう少し不幸になってほしかったのだが、今回は大目に見てやろう。
最後のシーン。
翔の為に医大に受かることを目標にしていた珠緒が、合格して、やがて自分の為に歩き出すシーンは少しだけうるっときてしまった。
閉塞感が溢れ、夢を見たり努力をすることになかなか価値を見いだすことが難しい昨今の日本。
珠緒はそんな今の日本に一筋の希望を与える存在だと思った。
そんなわけで、毎週火曜日の楽しみが終わってしまい、ショボーン。
原作を読んだ感想はこちら。
2010年04月11日「読書録」
キャッチコピーは「医者のムスメ、国立大卒業、高学歴の夫、そんな私が「下流」になるの?」。
翔の母親・由美子の悲痛な叫び。
フリーターの息子・翔をどうにか下流から引っ張り上げたくて翻弄する由美子。
翔のガールフレンド・珠緒(翔より年上でフリーター)に「私は医者の娘だったの。あなたの家柄とウチとは違うんです」と言うぐらいプライドが高い。
「私が医大に受かったら、翔ちゃんと結婚させてください!」
珠緒の宣戦布告。
2年間勉強し続けて、医大に合格し、「これで翔ちゃんと結婚できる」と喜ぶ珠緒だったが、結局、翔に振られてしまう。
「~オレ、頑張っている人たちを見て、すごい、とは思うけど、憧れたり、そうなりたい、って思ったことはないワケ。だけど珠緒と結婚したりするとさ、そういう人たちから、同情されたり、バカにされたりするワケじゃん。 そしていつかは、珠緒もそういうひとりになる・・・・」
そんな台詞を吐いて、医大に受かった珠緒を振り、翔は結局、あのまま努力の醍醐味や達成感も味わうことなく老いて死に行くのだろうか。そう思うと後味が悪いというか、考えさせられるドラマである。
原作者の林真理子先生は私の大好きな作家だ。
サイン会や講演会にも何度か行っているが、辛辣な作風とは違い、先生自身は穏やかで優しい方だ。
「自分が努力するよりも他人に努力させる方が難しい」と翔の母親・由美子が言っていた。
やる気がない翔に参考書や啓発本を買い与え、受験のカリスマにまで「息子をよろしくお願いします」と頼み込んだ。しかし、翔には馬耳東風。「やっぱ俺には無理っしょ」と一蹴。
私は人に物事を教えたり努力を喚起するシチュエーションにあまり遭遇したことがない。仕事ではたまにあるが、私より遥かに優秀で要領の良い後輩たちはすぐに覚えてしまい、「なんで覚えないんだよ」と、やきもきしたことはない。
だからよく分からないのだけれども、小学校時代、勉強を教えてくれた母が「なんでわからないの」と鉛筆を噛んでいたことなどを思い出すと、ああ、ああいううことなのかと思う。同時に自分はそんな境遇に直面するのはまっぴらごめんだと思う。
だって、大変そうだし。…ってこの台詞、かなり翔だよな…。
私があのドラマを楽しみにしていた理由の一つに、翔の姉・可奈が嫌いすぎていたっつーのがある。
打算や見栄であえて派遣社員を選び、外資のトレーダーを落としてできちゃった結婚。結婚式前、羨ましがる友達を陰で「負け犬の遠吠え」と口汚く罵ったあの女!彼女の不幸を見届けたいがゆえ、毎週火曜日を楽しみにしていた。結婚後、夫がケチだということが判明!そして夫は仕事が多忙でうつ病になり、退職!夫と共に三重に移るが、姑との息が詰まる生活に耐えきれず、子供を連れて実家に戻ってきてしまう。ケッケッケッ!ざまぁみそづけ!もう少し不幸になってほしかったのだが、今回は大目に見てやろう。
最後のシーン。
翔の為に医大に受かることを目標にしていた珠緒が、合格して、やがて自分の為に歩き出すシーンは少しだけうるっときてしまった。
閉塞感が溢れ、夢を見たり努力をすることになかなか価値を見いだすことが難しい昨今の日本。
珠緒はそんな今の日本に一筋の希望を与える存在だと思った。
そんなわけで、毎週火曜日の楽しみが終わってしまい、ショボーン。
原作を読んだ感想はこちら。
2010年04月11日「読書録」